リーガルエッセイ

公開 2023.09.07

弁護士は自分の仕事獲得のために離婚の後押しをするのか?

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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最近、離婚に関わる発信をした際、「弁護士は、自分の仕事のネタのために他人の家庭を平気で壊す」「弁護士は、仕事獲得のために、離婚の方向で相談者の背中を押す」というような趣旨の反応を示されたことがありました。

当たり前のことですが、そんなことがあってはならないと思っていますし、というよりも、あってはならない以前に、そんなことが頭をかすめたことなどないので、「そういう見方をする人がいるんだな」と驚きました。

でも、こうした反応をする方がいるということは、ほかにも口にしないだけで、そんな不安をもちながら弁護士に相談することをためらったり、相談しながら疑心暗鬼になったりする方もいるのかもしれないと思いました。

そこで、私なりの考えを話したいなと思います。

もちろん、いろいろな考えの方がいると思うので、私が、「弁護士はこう考えている」などと主語を勝手に広くして語ることはできず、あくまでも私は個人的にこう思っているという話です。

私自身が離婚を経験していることもあり、その経歴を見た女性からご指名いただき、離婚の相談をされる機会が多くあります。
なかには、「離婚したいのですが、最後の一歩を踏み出す勇気がなく、背中を押してほしくて相談しにきました」とおっしゃる方もいます。

でも、私は、絶対に、そうおっしゃる方のご意向を酌んで、離婚に向けて、背中を押すなんてことはしません。
あまりにも無責任な行動になると思うからです。
その方にとって、離婚することが正解なのか、それとも、離婚しないことが正解なのかは私が決められることではないからです。
ですから、そのようなときは、はっきり「そんなことはできません」とお伝えします。
そうやって離婚したいという気持ちが強くなりつつあるのに、踏み切れないということは、何かがひっかかっているということ。
その何かを明らかにしないままに、背中を押して、離婚の道を選択するよう促すなんて、私自身が離婚を経験したからこそ、そんな乱暴なことできません。

今、世の中で、離婚する方が増えているなどと言われることがありますが、一人一人の人生にとって、思いがあって結婚し、作り上げた家庭の形を変えるということはとても大きな意味をもつと思います。
何より、離婚に向けた手続きも、離婚後の生活も、平坦な道のりなんかではありません。
そんなとき、「あれ?私は、本当に離婚という選択でよかったのかな」という思いが頭をよぎることほど不安でしんどいものはないと思います。
どれだけ時間がかかっても、自分で考え尽くして出した結論であればこそ、その結論を正解にするために、歯を食いしばることができるのだと私は考えています。

なので、離婚したいと思いながらも、踏み切れずにいるという方には、何がひっかかって踏み切れずにいるのかということを明らかにするお手伝いをしたり、その過程で、法的な知識が必要であれば、それをお伝えしたりしますが、それをもとに、離婚するのか、それとも現状を踏まえてよりよいパートナーシップを築くための方法を模索していくのかはご自身で考えていただきます。
もちろん、その場で、結論を出したほうがよいなどと急かすことなどもあり得ません。
むしろ、きちんと時間をかけてゆっくり考えることをお勧めしています。

離婚に向けた手続き、その後仕事をしながら子どもを育てていくことの大変さを私なりに理解しているからこそ、「自分には離婚しか道がないのではないか」と頭がいっぱいになっている方に、むしろ、他の選択肢もあるのではないかというお話をして、見える範囲を少し広げる方向でのお手伝いをすることも意識するようにしています。

そして、これは、離婚問題に限った話ではありません。
他の分野においても同様です。

こういうこと、あまりにも当たり前のことで、これまであえてお話しする機会もなかったのですし、何も関わりのない方が勝手にあれこれ想像して批判等されることに対しては、内容によって法的措置をとれば済む話ではあるものの、目の前のお客様が、もしこのような不安を抱きながらお話しされていることもあるのかもしれないなと思い、お話ししてみることにしました。

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