
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
「ビジネスと人権に関する指導原則」は、企業の責任として「人権を尊重する」ことを求めています。
この「人権を尊重する」は、あまりにも抽象的な概念のように思えませんか?
正直、「まあ、それっぽいことをHPで理念として掲げていればそれでひとまずOK!まずは、足元の売り上げ目標こそが大事!」という受け止め方をしている企業も多いのではないかなと思うのです。
つまり、この人権尊重の理念は、企業の事業に具体的に影響を及ぼす話ではないのだという捉え方がされがちであると思うのです。
でも、この考え方は、完全に誤りです。
人権尊重は、とりあえずHPにそれっぽいことを掲げておけばよいという空論ではありません。
人権に負の影響を与えている事象が発覚すれば、その内容により、自社のみならず、取引先などあらゆるステークホルダーにも深刻な影響を及ぼします。
まさに今、その現実をジャニーズ事務所における性加害問題をめぐる取引先企業の対応に見ることができます。
とはいっても、「人権の尊重」というままでは、企業が具体的に何を行えばいいのかわからないと思います。
この点、企業による人権への取り組みの全体像は、3つの枠組みから構成されています。
- 1つ目が、方針によるコミットメント。
- 2つ目が、人権デューディリジェンスの実施。
- 3つ目が、救済措置。
今回は、1つ目の「方針によるコミットメント」を取り上げます。
方針によるコミットメントとしてやるべきことの具体例としては、
- 自社人権方針の作成と公開
- 人権への取り組みの責任者を含むマネジメント体制の説明
が挙げられます。
ジャニーズ事務所における性加害問題をめぐり、同事務所所属のタレント起用方針を見直すと発表した企業が「自社の人権方針に照らし」などという説明をしたことが報じられていますが、ここで言われていた「人権方針」のことです。
人権方針を作成するにあたっては、満たすべき条件があります。
- 企業の最上層レベルによる承認があること
- 内部・外部の適切な専門家により情報提供を受けたこと
- 企業の従業員、取引関係者及びその他企業活動・製品またはサービスに直接関係している者に対する人権配慮への期待が明記されていること
- 一般に入手可能でかつ内外問わず全従業員、共同経営、共同出資者及びその他関係者に周知されていること
- 企業全体に定着させるために企業活動方針や手続きに反映されていること
各社の人権方針は、会社のHPで公開されているため確認することができるのですが、いろいろな企業の人権方針を見比べていると、企業により③の条件への意識に濃淡の差を感じることがあります。
③の条件を満たすためには、その前提として、自社の人権課題の実態を調査、分析し、自社の状況を把握する必要があります。
その上で、自社の構成員、事業内容等固有の人権侵害リスクを踏まえて対応方針を策定することが求められているはずですが、企業によっては、この点の意識が十分でなく、一般的、抽象的な対応方針にとどまっているように思われるケースもあるように思います。
自社固有の人権侵害リスクを踏まえた人権方針を策定するというのは、たとえば、リクルートホールディングスにおいて、一般的な人権方針に加え、各戦略ビジネスユニットごとの具体的な取り組み方針として、「アルゴリズムと公正性に関するIndeedの指針」「パーソナルデータ指針」「RGF Staffing人権方針」を策定していることなどが例として挙げられると思います。
みずほフィナンシャルグループでは、自社の事業内容を踏まえ、「情報管理」「マネー・ロンダリング等防止」「責任ある投融資」など項目を掲げ、各項目に関し、人権侵害が起きないよう努める旨の方針を策定しています。
このような人権方針は、取引先において人権侵害問題が浮上した際、自社がどのように対応すべきかという指針になり、また、取引停止等の根拠として示し得るものとなります。
「人権方針を策定したい」「今ある人権方針を見直すべく、まずは自社固有の人権侵害リスクの洗い出しから取り掛かりたい」などのご希望がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
初回相談60分無料※ ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
-
電話でご相談予約
-
メールでご相談予約
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00