リーガルエッセイ

公開 2023.10.10

「送りつけ商法」とは

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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注文した覚えのない物が自宅に届いたら

先日、注文していない商品を勝手に送りつける「送りつけ商法」の手口でご高齢者から現金3万円をだまし取ったとする詐欺の被疑事実による逮捕報道がありました。

この事案で送りつけられたのは、高麗人参の成分が入っているという粉末など。
送る相手に対し、届いた商品の代金を払わなければならないと信じ込ませるために、事前に「注文があったので商品を送りました」などといううその電話をかけていたとも報じられています。

まだ捜査は始まったばかりで、事実関係はわかっていません。

ですから、今回は、この事案から少し離れ、「送りつけ商法」というものについてお話ししてみたいと思います。

もしかしたら、この報道を見たとき、「届いた商品を注文した覚えがないのに、その代金を払うなんてこと、少なくとも自分に限ってはないだろう」と思われるかもしれません。

これは、ネット通販をどの程度利用する日常か、ということによっても少し違ってくるかもしれませんね。

私は、普段から、あまり買い物をしませんし、ネット通販についても、本当に限られた場面でしか利用しないため、大体、これがこのくらいの時期に届く、という把握をしているし、そもそも代金引換払いにしないため、注文していない代金引換払いでの商品が届いたら、「おかしいな」と思うはず。

ただ、普段から、買い物はネット通販を利用しており、その支払い方法もまちまちで、代金引換払いを利用することもあるという場合は、必ずしも注文した商品1個1個を具体的に認識しておらず、届いたものの代金を払ってしまう、ということもあり得るかもしれません。
また、ご家族と一緒に住んでいるという場合は、「自分は認識していなかったけれど、家族のだれかが注文したものなのかな」と勘違いして代金を支払っておくという対応をする場合もあるかもしれません。

もし、注文した記憶のない商品が届いたら、どうしたらいいか、という点については、特定商取引法という法律に基づく3つのポイントがあります。

1つ目は、商品を直ちに処分できるということ。
自分が注文していないのに、相手が金銭を得ようとして一方的におくりつけてきた商品については、消費者側は、それを直ちに処分することができます。

2つ目は、代金の支払いを求められても、支払いは不要ということ。
もし、消費者側が、その商品を開封したり、処分したとしても、代金支払い請求に応じる必要はありません。

3つ目は、代金を払ってしまったとしたら、それを返せと求めることができるということ。
もし、それが自分が注文した商品かもしれないと勘違いしたり、代金を払わなければいけないんだと勘違いしたりして間違って代金を払ってしまった場合でも、払ったお金を返せと請求することができます。
もっとも、一度払ったお金を返せと求めることは、それ自体手間もかかりますし、相手によっては回収が難しいケースもあると思います。
なによりも、「払わない」という対応が重要になります。

このようなことを知っていたとしても、いざ商品を手にしたとき、「本当にこれを処分してもいいの?」「代金を払わないと裁判を起こされるのではないかと不安」などと思うこと、あると思います。
その場合は、消費者ホットライン188に連絡してみることをお勧めします。

自分が注文した覚えのない商品が届いたとき、「自分のミスで注文してしまったのかな。代金を支払わなければ」と思ってしまう要因として、「注文していない商品を一方的に送りつけることでその代金をだまし取る」という詐欺の手口があるなどということの想定がない、ということが挙げられると思います。
こうした詐欺の手口をひとつひとつ認識しておけば、いざ、自分がその事態に直面したときに「これは、あの送りつけ商法では?」というセンサーが働きやすくなるはず。
このような報道をきっかけに、ご家族などにもこのような情報を共有し、被害予防をする姿勢が大切だと思います。

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