リーガルエッセイ

公開 2023.10.11

刑事ドラマの鉄板ネタ①

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

刑事ドラマの鉄板ネタ

私は、趣味という趣味がないのですが、昔から刑事ドラマは好きで、今でもたまに見ることがあります。
大学生のころは、大学でキラキラした学生たちを見るとまぶしすぎて、大学には、冴えない自分の居場所はないと早々に認識して、ずっと家にひきこもる毎日だったので、毎日、「〇〇サスペンス」とか「〇〇刑事の事件簿」とかそんなドラマの再放送を延々見続ける生活をしていました。
視聴の仕方もちょっとくせがあって、一視聴者としてぼーっと見るわけではないんです。
自分が捜査を担当する主人公になりきり、1時間なり2時間なりのドラマの間、懸命に犯人を追い続けるのです。
ところどころに落ちている事実のかけらを拾い集めて、いかにして主人公よりも早く真犯人にたどり着けるかという闘い。
おそらく、私自身が検察官として担当した事件の数よりも、刑事ドラマを視聴することで経験した気になっている事件の数のほうが圧倒的に多いと思います。

そんな、刑事ドラマを見尽くしている私にとっては、刑事ドラマの鉄板といえる場面がいくつか思い当たります。
おそらく、意識して刑事ドラマを多く見ていなくとも思い当たるくらいのあるある場面。

そんな話をしてみたいと思います。

1つ目が、取調べの中で、被疑者の口から、真犯人にしか語れない事実を引き出し、見事逮捕に至るという場面。
取調官が、被疑者に、「お前があの日現場にいたのを見た人がいるんだよ」と言ったのに対し、被疑者が「黒いコートを着た人間なんて、おれ以外にもいくらでもいるだろ」と言う被疑者。
取調官がにやりとして「目撃者が黒いコートを着たお前を見たなんていつ言った?報道もされていない。あの日、犯人が黒いコートを着ていたことを知っているのは、真犯人だけなんだよ。」と告げ、被疑者ががっくりうなだれ、以降、犯行告白へ…
このパターンでは、「ある日、ある狭い地域にだけ大雨が降ったというゲリラ豪雨」がキーとなることも。
つまり、この事例でいうと、被疑者が「目撃者は、とても人の顔をみわけることなんてできなかったはずだ!その日は、激しい雨が降っていたから!」と供述したのに対し、取調官がにやりとして、「令和〇年〇月〇日〇時〇分ころ、日本全国で大雨が降っていた地域は、犯行現場である〇〇市〇〇地域だけだ!お前がいたと主張していた〇〇地域では、その日、一滴の雨も降っていなかったんだよ」と告げ、被疑者ががっくりうなだれ、以降、犯行告白へ…というパターンもあります。

なお、このケースと類似するものとして、主人公が、疑わしい人物と2人きりという場面で、相手を挑発し、犯行告白をひととおりさせたタイミングで、にやりとしてポケットからボイスレコーダーを高く掲げ、「ありがとう。全部録音させてもらったよ」というパターンもあります。
このような場面において、視聴者は、「そんなこと言ってしまったら、その録音したボイスレコーダーを取り上げられて証拠隠滅されてしまうのでは」とハラハラすると思いますが、そこは、録音にとどまらず、あらかじめ、警視庁記者クラブなどに電話をつないだ状態で犯行告白をタイムリーに第三者に共有するパターンもあり、私は、精神衛生上、そちらの方が好みです。

2つ目が、主人公の周辺にいるキャラの何気ない一言が、主人公に真相につながるヒントになるという場面。
これもまた鉄板中の鉄板と言ってよいのではないかと思います。
シゴデキ主人公のそばには、ほぼ確実に、おっちょこちょいで、戦力にならないけれど憎めないキャラが存在します。
主人公の助手だったり、部下だったり、パートナーだったり、立場はいろいろですが、普段は決して仕事ができるわけではないキャラが、主人公が捜査に行き詰まり、頭を抱えたころのタイミングで、何かするんです。
それは、ふと出た言葉だったり、ちょっとした動きだったり、表現としてはいろいろなパターンがありますが、たいていそれは、捜査とは全然無関係な視点から出たもの。
たとえば、主人公が捜査に行き詰まって、「もう一度冷静に証拠を見直さねば」と言って事件記録をパラパラめくっているときに、のんきにランチから戻ってきた部下が「いやー、まいりましたよ。〇丁目の家の庭につながれている犬にこれでもかって吠えられちゃって!あの犬、なかなか人に懐かなくて、飼い主以外には吠えまくるんだよなあ」などと言うのです。
事件記録をめくる主人公の手が止まります。
そして、主人公は「お前、今なんていった?あの犬は知らない人には吠えまくるって?事件現場に行くためにはあの道を避けることはできない。そして、事件記録のどこを見ても、あの日、犯行時刻ころ、犬が吠えたという証言はないんだ。それは何を意味する?現場に行った真犯人は、あの犬が唯一吠えない人物、つまりあの犬の飼い主だ!(←ちょっと飛躍あり)」などと叫び、犯人が特定される…

3つ目が…と続くのですが、そして、3つ目は、私が一番多く目にするあるある鉄板場面ではあるのですが、少し長くなってしまいそうなので、別記事にします!

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