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いじりといじめ~うちの弁護士は手がかかる第2話~
「うちの弁護士は手がかかる」第2話を視聴しました。
ムロツヨシさんがひとりになったときにやるしゃべりは、あれはアドリブなんでしょうかね?
カットがかかった瞬間、出演者さんたちが「ムロさん、あれ笑っちゃうからアドリブは勘弁してよ」と言ったのに対し、したり顔になるムロツヨシさんを鮮やかに想像しながら見ています。
それにしても、さすがに、過去にいじめをしたクラスメートたちに殺人未遂罪が成立するというのは少し無理があるかな…と思います。
たしかに、いじめの内容は、被害者に対する葬式ごっこという極めて悪質なもの。
被害者の遺影を置いたり、被害者が亡くなったとして色紙にお別れのメッセージを書いたりという許されざるものです。
ただ、殺人未遂罪が成立するといえるためには、殺人の実行行為が必要です。
殺人の実行行為とは、人を死亡させるという結果を生じさせる現実的危険のある行為。
ドラマに出てきたような一連のいじめ行為のひとつひとつが、人を死亡させるという結果を生じさせる現実的危険のある行為であると評価することは難しく、殺人の実行行為があるとはいえないと考えます。
クラスメートたちへの「あなたたちは犯罪者」という言葉は、クラスメートたちに、自分たちのしたことの重みを認識させる言葉として必要な言葉だったという評価もあり得るとは思いますが、厳密な意味で、「犯罪者」といえるかについては疑問が残るところです。
ドラマの中にもちらっと出てきましたが、いじめの加害者側が、いじめを「いじり」として軽く考えており、自分の行為がいじめに該当する行為だという認識も、相手を傷つける意図もなかったと弁解すること、あると思います。
でも、この弁解は通用しません。
いじめ防止推進法で、いじめとは、「児童等に対して、当該児童等が罪責する学校に在籍している等、当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」と定義づけられています。
そして、この被害児童が心身の苦痛を感じているかどうかについては、いじめられた子どもの立場に立つ必要があり、いじめられている本人がそれを否定する場合が多々あることを踏まえ、子どもの表情や様子をきめ細かく観察して確認する必要があるとされています。
ですから、たとえ加害者側が、相手を傷つけるつもりはなかったとしても、いじめを受けた側が苦痛を感じているのであれば、それは、「いじり」などではなく、いじめと評価され得るのです。
ドラマでは、弁護士たちが、当時のクラスメートたちを当時の教室に集め、いじめ被害者の少年をもその場に立たせ、彼らのしたことは犯罪なのだと伝え、結果、クラスメートたちが改心するという流れでした。
実際はとても難しい問題です。
心の傷を事後的に癒すことはとても難しいこと。
今、まさにいじめについて子どもたちにしっかり考える機会を作り、被害に遭う人をひとりでも少なくするために、これからもいじめ予防授業をはじめとする法教育活動に力を入れていきたいと思います。
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