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自分に見えていないところまで想像するということ
リーガルエッセイというコーナーでありながら、おそらく全体の2割くらいはリーガル要素のない内容になっているということを自覚しながら、今回も元気にリーガル要素のない話をしてみたいと思います。
先日、私の中学生の娘が、あるイベントに、手作りの物を出品するというチャレンジをしました。
そのイベントというのは、公共の施設で、自宅にある不用品を持ち寄り、それを必要としている人にお渡しするというもので、その際、お渡しする相手も何か持参していれば、物々交換をするというようなもの。
不用品だけではなく、自分の手作りの物を持ち込んでもいいというお話だったので、絵を描いたり、物を作ったりすることが大好きな娘が、そのイベントに参加したいと言ってきたのです。
私と一緒に買い物に行ったときに、娘がそのイベントに関して書かれたポスターを見つけて、自分で問い合わせをして参加を決めたというもの。
娘は、イベントに向けて、刺しゅう糸を編んでミサンガにし、そこに金具をつけてキーホルダーを作ったり、レジンでネックレスを作ったり、さらには、それらをお客様にお渡しする際の小さな袋まで用意して、その袋にもひとつひとつ手書きでイラストを入れたり…夜も遅くまでそんなこまごまとした作業をうれしそうにしていました。
私は、そのような娘の姿を、「こんなにも一生懸命取り組んでいるのだから、一人でもいいから、娘の手作りの品を手に取ってくれる人がいるといいな」と祈るような気持ちで見守っていました。
そして迎えたイベント当日。
私は、娘を現地まで送り届けると、さっさと自宅に帰り、仕事をしていました。
すると、1時間くらいして娘から電話がありました。
娘が、興奮した声で「ママ!お客様が来てくれた!〇〇さんだよ」と言うのです。
〇〇さんというのは、私が所属する地元経営者交流会のお仲間の一人。
今年の夏、地元経営者交流会の仲間でBBQが開催され、私はそこに娘と一緒に参加してきたのですが、その場で、交流会のお仲間たちが、娘の描いた絵をそれはそれは盛大に褒めてくださったり、物作りが好きだという娘に対し、そういう「好き」をもつことのすばらしさを熱く語ってくださったりしたという出来事がありました。
その出来事は、娘の今回のチャレンジに大きく影響していると思えてならなかったので、私は、そんな応援をしてくれたお仲間たちに、娘のイベント参加の報告をするとともにチャレンジの舞台に立つパワーをいただいたお礼を申し上げたく、グループチャンネルにメッセージをしていたのです。
そうしたところ、それを見た〇〇さんが、娘のチャレンジを応援しようと、サプライズでイベントに駆けつけてくださったというのです。
そして、その後も、〇〇さんに続き、同じ経営者交流会に所属するたくさんの方が娘を応援するためだけに、続々とイベントに駆けつけてくださり、娘のチャレンジを褒めたたえ、娘の手作り品を受け取ってくださったとのこと。
そのイベントを主催されていた方も、「たくさんのお仲間が駆けつけてくださって、すごかったですね。ここにこんなに人が来てくださったのは初めてのことです」と娘におっしゃってくださったそうでした。
帰宅した娘は、初めてのチャレンジで不安な気持ちでいたところ、見知った方々が駆けつけてくださり、一生懸命作った作品を持ち帰ってくださったということで、本当にうれしかったと大喜び。
そんな中、私は、娘がイベントに向けて毎日がんばってきたことをこれでもかと褒めた上で、駆けつけてくださった方々について話をしました。
私がどうしても娘に伝えたかったのは、応援に駆けつけてくださった方々がその日娘のためにしてくださったことの重みについて。
娘にとって、その方々が自分の目の前にいらした10分くらいの時間がすべてに見えたかもしれない。
でも、自分でお仕事をされている方々が、お仕事のある日の日中、その場を離れて娘のもとに駆け付けるということ自体がとても大変なことであるということ、そして、イベントに駆け付けるために、往復30分くらいの移動時間もかけているはずであること、その時間を作り出すために、他の仕事の調整が必要であった可能性もあること、もしかしたら、お昼休憩時間をカットしてイベントに駆け付ける時間を捻出してくださったかもしれないこと、イベントの場にいてくださっている時間や、移動している時間は、取引先からの連絡に対してタイムリーに対応することができず、それについては、イベントから帰った後でフォローする必要があったかもしれないこと。
そんな、娘には見えていないところで、イベントに駆け付けてくださった方々は、たくさんの時間や労力をかけてくださっているということを十分想像した上でそのありがたさに感謝しなければいけないね、という話をしました。
きっと、応援に駆け付けてくださった方々は、そんなこと娘に感じさせることもなく、あたかも、近くにいたからふらっと立ち寄ったかのような雰囲気で応援にきてくださったと思うのです。
でも、そのような方々の応援をありがたくいただく私たちは、目に見えていないその方々の思いをちゃんと感じなくてはいけないと心から思いますし、娘にそのような想像がまだ難しいところがあるのであれば、親である私がしっかり伝えていきたいなと思いました。
そして、今回のことに限らず、娘には、人からのご厚意を受け止めるにあたっては、自分には見えていないことまで見ようと全力で想像した上で感謝する気持ちをもっていてほしいなと思っています。
気付けばもう10月も後半戦。
今年もあと2か月余り。
そんなタイミングで、またひとつ、人の温かさが沁みわたる経験ができたので、お話ししてしまいました。
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