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不貞をした妻は親権をとれないのか~うちの弁護士は手がかかる第3話~
「うちの弁護士は手がかかる」第3話を視聴しました。
今回は、親権が問題となったトラブルを扱ったもの。
妻が頻繁にホストクラブに通い、高額な支払いをし続けていたのみならず、特定のホストと不貞関係にあったと疑われる証拠が見つかったというのです。
ともに宿泊した際の領収書も発見されたようでした。
離婚を考えている夫婦が、互いに親権を獲得したいと考えている中、妻が不貞していたことが明らかになったとき、そのことのみをもって妻は親権を獲得できないのか、そんな話をしてみたいと思います。
ドラマでも妻側の代理人弁護士がちらっと主張していましたが、不貞をしたことがダイレクトに親権を獲得できないという結論に結び付くことはないと思います。
親権を判断する際に基準となるのは、監護の実績(従来の監護状況)、監護能力、経済力、居住環境、教育環境、愛情、監護補助者の有無、子の年齢、性別、発育状況、子の意思など。
子の意思については、調査官がその確認をすることがあります。
(調査官は、家事事件で、子どもと面接をして、問題の原因や背景を調査し、当事者や子にとってもっともよいと思われる解決方法を検討し、裁判官に報告します。裁判官はその報告を踏まえて調停等を進めていくのです。)
この基準をもとに考えてみると、妻が、ホストとの不貞に夢中になって、連日、子どもをひとり放置したまま夜にホストクラブに出かけていたり、宿泊して帰ってこない日もあったり、その不貞相手のホストが家に出入りするなどし、子どもに暴力を振るったり、そんな事情が認められる場合には、監護の実績や監護能力、居住環境等に影響する可能性があり、親権の獲得にとって不利な状況が認められるといえるでしょう。
以下、ちょっとドラマとは離れます。
ドラマだと子どもの意思というものがわかりやすく描かれますが、実際は、子どもの意思がどこにあるのか、ということを正しく認識することは難しいなと思っています。
「自分自身も親だから、子どもの気持ちはわかるつもり」とか「弁護士としていろいろなケースを担当してきたから、親子のことはよくわかるつもり」などという考えをもつことは危険だなと思うのです。
自分の気持ちを正確に言葉にすることはとても難しいですし、そもそも、人の気持ちなんて、そんなに単純なものじゃないですよね。
ある人との間でちょっと嫌なことがあれば、「この人と一緒にいるの、不快だな」と思ってしまったり、ある人の表面的な言葉を真に受けて、簡単に好意をもってしまったり。
また、同じ一人の人についても、こういう点は好きだけど、こういう点は許せない、などいろいろな角度から見ているはず。
気持ちは移ろいやすいこと、一人の人に対してだって、一言で言い表せない複雑な感情を抱いていることを考えると、そんな難しいものを他人が簡単に理解できると考えるべきじゃないのかなと思います。
大事なのは、子どもがなんと言っているかという表から見えるものだけにとらわれるのでなく、離婚する当事者が、親権者になる側であっても、そうでない側であっても、夫婦の間のことで、子どもがその影響を受けるという事態の重みを感じながら、子どもの笑顔を守り続ける覚悟をもつことなのだと思っています。
夫婦の間でこじれた感情を抱きながら、完全に、それと別個のものとして子どものために自分は何をすべきかを考えることって、言うほど簡単じゃない。
それでもやはり、離婚を選択する以上、そう簡単なじゃないことに向き合い続ける必要があるのだと思います。
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