リーガルエッセイ

公開 2024.02.02

サッカー選手に対する刑事告訴について

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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サッカー選手に対する刑事告訴をめぐる報道について

先日、あるサッカー選手に関し、「性加害」の疑いで刑事告訴されている旨報じられました。
週刊誌の記事に基づく報道という限りで目にしたものですし、当該選手においては、事実に反するとして逆に女性らに対する虚偽告訴の事実で刑事告訴した旨も報じられていますので、真相は現時点で何もわかりません。
ただ、それぞれ刑事告訴されたという報道が事実であれば、今後、事実関係を明らかにするための捜査が進んでいくものと思います。

そのように、まだ事実は全くわからない状況ですので、具体的な事実関係から離れ、一般論として気付いたことを2つ取り上げてみたいと思います。

1つ目が、報道やSNSの発信などを見ていると、本件が「不同意性交」といえるのかという観点からの記載がある点について。
不同意性交等罪は令和5年7月13日以降の犯行について適用のある犯罪です。
一方、報道によると、刑事告訴は、令和5年6月に起きたことに関するものであるとのこと。
これを前提にすると、適用を検討されるべき犯罪は、不同意性交等罪ではなく、強制性交等罪や準強制性交等罪になるはずです。
準強制性交等罪というのは、相手が意識のない状態や抵抗することができない状態に乗じたり、意図的にそのような状態にさせたりした上で性交等をした場合に成立します。
捜査機関は、事実関係を明らかにした上で、この犯罪の成否を検討することになります。

2つ目が、口外禁止条項について。
報道には、被害者の方に対し、示談の話し合いの過程で「口外禁止条項」を盛り込むように迫ったことが反省の情がない姿勢と受け止められた可能性について指摘されているように読めるものがありました。
一般論で言うと、たしかに、その条項の持ち掛け方、前提となる事実関係について加害者側でどう受け止めているかということなどによっては、不誠実な態度として受け止られる可能性はあると思います。
ただ、一般的に、示談に際し、当該事件のことや示談に至る過程、示談の内容などについて、第三者に口外することについてやめましょうという約束をすることは多くあります。
加害者側にとっても、被害者側にとっても、起きた出来事について、周囲に知られたくないと思うことがあったり、また、同じ出来事を巡る認識であっても、どうしても双方において齟齬が生じてしまうことはあると思われる中、それぞれが自身の思うところを外に発信することで、新たなトラブルが生じてしまう可能性もあったりするからです。
SNSによる発信が容易にできるようになった今、特にこの口外禁止条項を交わす必要性を感じる当事者のかたは多くいらっしゃるように感じます。
ですので、一般的に、口外禁止条項を交わしたいと求めることが、すなわち不誠実な対応と評価されるかというと、そこには疑問があるところです。

報じられた件とは離れますが、報道を見ていて気付いた点をお話ししました。
引き続き、この件に関する報道に注目していきたいと思います。

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