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子どもの習い事問題
今回、リーガルな要素なしのお話です。
私は、子どものころ、書道、ピアノ、クラシックバレエ、絵画、英会話など常に習い事に忙しい日々でした。
いずれも、自分からやりたいと言ったものではありませんでした。
子ども時代、あまり周囲の物や人に興味をもたずに、一人でぼーっとする日々を送っていた私の様子を見た親が、何か興味をもてるものと出会えるようにという思いでいろいろな場を整えてくれたのだと思います。
私は、自分からやりたいと言って始めたものではなかったものの、親が整えてくれて、一度は始めた習い事について、さぼるとか辞めるとかいう選択肢を考えたことはなく、特にそれほど興味があったわけではないのですが、いずれももくもくと続けていました。
一度始めたことについては、定められた期間が満了したり、その舞台を設定した親による判断で辞めると言われたりしない限りは、懸命に継続することが当たり前だと思っていて、それ以外の選択肢を考えることなどなかったのです。
だから、私は、わが子が、自分から「この習い事、やらせてほしい!」と望んで始めた習い事でありながら、すぐに飽きてしまい、その教室の日に「今日は気分が乗らないから休む」と言ったり、「やっぱりやめたい!」と言ってきたりするのを目の当たりにして愕然としました。
「そんなこと許されるはずないだろう」と思いました。
自分からやりたいと言って始めたことについて、途中で放り投げることを一度でも許容すれば、この子は、今後の人生でも、何か課題と直面するたびに、逃げ続ける選択をすることになると危機感を抱きました。
だから、昔は、途中で辞めるのを許さなかったり、それでもなお教室に行こうとしないときには、「二度と新規の習い事をさせない」と脅したりしていたのです。
でも、その後、いろいろなきっかけがあり、私は、考えをがらっと転換することにしました。
自分の中の、「一度始めたことは、何があろうと最後まで続けなければならない」という鉄の掟を手放してみることにしたのです。
鉄の掟を手放した上でどのように考え方の書き換えをしたかというと、まず、大前提として、子どもが、自分から「~をやってみたい!」と思えたこと自体を「good job!」と捉えてみました。
「そういえば、私は、何に対しても興味関心をもてないから、すごく狭い世界で生きてきたけど、子どもの『ここ行きたい』『これやりたい』にしぶしぶ付き合っている中で、付き合う人の範囲が広がったり、一人だったら絶対に行かなかった場所に行ったり、一人だったら絶対に経験できなかったことをさせてもらったりしてきたな」ということに気づきました。
すると、「~をやってみたい!」と思えることって、そういえばだれにでもできることじゃないし、そのような思いをもてることは、自分自身や人、もしかしたら自分が生きる道のようなものと出会うためにとても大事なことなんじゃないかと思えました。
そんな風に考えると、その後、そのやってみたかったことを続けないということの捉えかたも変わってきました。
「やってみたら、自分にとって続けたいと思えることではなかった」ということがわかったというだけのこと。
「自分にとって魅力が感じられなくなったことをいやいや続けるのではなく、もっと興味をもてることを探すことに時間とパワーを使う」ということも一つの選択なんだなと思えました。
逆に、「そのスピーディなジャッジ、good job!」という捉え方さえできるんじゃないかとも思いました。
ただ、やっぱり私の中にこだわりはあります。
一度始めたことを辞めるにあたって、「辞め方」についてはしっかり考えたいと思っているのです。
子どもの中に、「やり始めたことを途中で放り投げた」というネガティブな体験として残ることを避けるために、「この習い事を始めたことで~が体験できた」ということを言語化して確認しあったり、今回の体験を自分の好き嫌いの解像度をあげる材料にするために、その習い事を辞めたいと思ったポイントを明らかにしたり、最終日は全力でがんばり気持ちよく締めくくることを促したり、ということは丁寧に行うようにしています。
私自身の鉄の掟をこんな風に書き換えることで、なにより私自身が少し楽になりました。
そして、この「自分の鉄の掟の手放しと価値観の書き換え」って、習い事問題だけではなく、子育てのいろいろな場面で活用できるなと感じています。
私自身振り返ると、私が子どもに関してイライラする場面って、必ず、その大元に「本当はこうすべきなのに」という思いが隠れているのです。
だから、私は、子育ての中で、子どもに対して「本当はこうあるべきなのに」という前提が自分の怒りや不安の影に隠れていることに気づいた場面で、「その前提って本当?ほかの考え方はない?」といちいち自分に問いかける試みを続けています。
「本当はこうすべきなのに」を手放すことで、私自身が、自分を縛り付けている鎖を緩めるような気持ちになれる気がしていて、子育てに関して、自分が「問題」と捉えていたことが自分の考え方ひとつで問題ではなくなるような感覚をもっています。
そして、そんな中、子どもがまたまた新たな習い事を始めました。
正直、「最初の1か月は新しいことを始めたワクワク感から嬉々として通うだろうけど、まあ2か月目あたりから徐々に飽きるだろうな」と若干冷めた目で見守っていたのですが、3か月目に突入した今も、楽しそうに通っています。
初期のワクワク感が消失し、倦怠期に入ったかに見えたのですが、先週、その習い事を続けるにあたって不安要素となっていた、ちょっと厳しめな先生に対し、自分から接触回数を増やしにいくことで苦手意識を払拭したことで、ますます行くのが楽しみになったと子どもから報告を受けました。
これまでだったら、「あの人苦手」で終わってしまっていたかもしれない関係性を自分の努力で改善したなんて!
その報告に私は涙の大感激。
この習い事だって今後どうなるかは全くわかりませんが、今後も、子どもが「やってみたい!」と思えて未知の領域にチャレンジしてみたこと、その中で、今までと違った選択をして一歩成長したことにしっかり注目して、そのたびに、丁寧に「good job!」を伝えていきたいなと思うのです。
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