リーガルエッセイ
公開 2025.10.22

「暴力行為等処罰」に関する法律とは

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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暴力行為等処罰に関する法律って

先日、ある地域の大きなお祭りで、5名の逮捕者が出たと報じられました。
そのお祭りでは、太鼓台が市内を練り歩くそうなのですが、その過程では、たくさんの担ぎ手のかたが太鼓台を差し上げ、技を競い合うことが見どころの一つにもなっているようです。
報道によれば、逮捕罪名は、暴力行為等処罰に関する法律違反とのこと。
被疑者らが、担ぎ手をあおり、1時間あまりに渡って、約50回、自分たちの太鼓台を、別の太鼓台にぶつけ続け、担ぎ棒を折るなどしたと報じられています。
まだ捜査は始まったばかり。
事実関係はわかりません。
ですので、この件を離れて、暴力行為等処罰に関する法律違反という犯罪について取り上げてみたいと思います。

暴力行為等処罰に関する法律違反という少し長い罪名の犯罪、聴きなれないかたもいるのではないかと思います。
この法律は、誤解をおそれずに言うと、集団の威力を示したり、凶器を示したり、数人が共同したりして、暴行、脅迫、器物損壊などの行為に及んだりすることや、常習的に暴行、傷害、脅迫等の行為に及んだりすることなどを処罰するもの。
私自身も、検察官時代、何度もこの犯罪を捜査した経験があります。
たとえば、包丁を示して「殺すぞ」などと脅す行為。
これは、凶器を示して相手の生命に危険を及ぼすことを告知する行為として、単なる脅迫罪ではなく、暴力行為等処罰に関する法律に該当すると評価することになります。
ただ、立証の状況によっては、単なる脅迫罪として起訴することも。
被害者としては、包丁を突き付けられたと認識した。
でも、被疑者としては、包丁を所持はしていたが、これを被害者に突き付けるつもりなどなかったし、被害者からは見えていないものと認識していたなどと供述している。
目撃者やその他客観証拠もない。
そんなときには、被害者の供述を裏付ける証拠がないとして、暴力行為等処罰に関する法律違反ではなく、脅迫罪として起訴するということもあるでしょう。
暴力行為等処罰に関する法律違反の犯罪は、脅迫罪に比べて、少し法定刑も重くなっています。

今回報じられた件については、事実関係はわかりませんが、報道されていた事実だけから推測すると、集団の威力を示して、太鼓台を損壊する行為に及んだとされていることが暴力行為等処罰に関する法律違反に該当すると評価されての逮捕であると思います。
このお祭りについて、市のホームページで調べてみたところ、お祭り実施の1か月前ころ、市長が、お祭りの推進委員会に対し、「平和採点実施に向けての要請書」を送付していたとのこと。
太鼓台同士の衝突や暴力行為が頻発し、近年、残念な形でこのお祭りに関する情報が全国に伝わっているという現状を踏まえ、地元企業、警察署からも危険行為禁止への要請が発出されていることなどが書かれていました。
伝統的な地域のお祭りを大事に守っていきたい地域のかたがたの思いが伝わってきました。
今後の報道に注目していきます。

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