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カスハラ対策 全企業対象に義務化❶
先日、厚生労働省が、カスタマーハラスメントに関する改正法のスタートを2026年10月1日とする方針を明らかにしたと報じられました。その改正法というのは、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」というとても長い法律で、6月11日に公布されたもの。
この改正法の中では、すべての企業に対して、カスハラ対策を講じることが義務付けられています。
これから、何度かにわけて、この改正法について取り上げてみたいと思います。
今回は、カスハラとはどのようなものかについて。
実は、カスハラに関しては、厚労省が公表している「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」などでその定義について説明がありました。
カスタマーハラスメント対策企業マニュアルでは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と考えられています。
この「当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なもの」って少し意味がわかりにくくないですか?
私は、これだけ読んでも、意味がよくわかりません。
ここについては、このマニュアルに「顧客等の要求の内容が妥当かどうか、当該クレーム・言動の手段・態様が社会通念上不相当であるかどうかを総合的に勘案して判断すべきという趣旨」であるとの説明がされています。
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例では、「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するものをいう。」と定義づけています。
そして、この「著しい迷惑行為」の内容については、「暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為」と定義づけています。
では、改正法においてはどのような定義づけがされているのか。
改正法では「職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境が害されること」と定められています。
こうして定義に関する説明のされ方を並べてみると、その説明のされ方は、少しずつ違っているようです。
でも、要は、顧客等のとる言動が、通常想定し得る業務に対するご意見の域を超えていて、そんなひどいふるまいをしたら、仕事をしている人にとってダメージが大きく、仕事の支障になるよね、というようなレベルのものをカスハラとしましょう、ということなのだろうなと思います。
そのようなレベルに至っているかどうかは、事例ごとに、事情を総合的に考慮して評価するということ。
ここに関しては、改正法に、「厚生労働大臣は、(カスハラに関し)事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとすること」と定められており、今後、改正法スタートまでの間に出される指針で、「これはカスハラかどうか」というような点がより判断しやすくなるような説明がなされるものと考えられます。
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