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新聞記事の画像データを社内イントラネットにアップロードしていませんか?
先日、新聞三社が、ある自治体を提訴したとの報道がありました。
その自治体が、新聞各社の許諾を得ないままに、自治体の職員らが見ることのできるイントラネット上に記事等の画像データを掲載したとして、損害賠償請求したというものでした。
報道によると、請求の金額は、3社合計で4億3600万円とのこと。
この報道を見たとき、「え?これ、だめなの?」と思ったという方もいるのではないでしょうか。
「著作物についても、私的に利用する分には問題なかった気がする。社内で記事データを共有するのは私的な利用の範囲内なんじゃないの?」という感覚がもとになってそのように感じる方もいるのかもしれません。
このような案件では、損害額をどう算定すべきか、ということも問題になるのですが、今回は、そもそも、社内で記事データを共有することが著作権法上問題になるのだということについてお話してみたいと思います。
新聞記事の画像データを作成して記録媒体に保存し、その画像データをイントラネット上にアップロードして従業員らが閲覧できる状態に置いたことについて、著作権侵害であると認めた裁判例があります。
この裁判で、被告は、新聞記事について「事実の伝達をするものにすぎず、文章表現もありふれており、記者の個性が発揮されているとはいい難い。」などと主張して、著作物ではないと主張しています。
この点どう思われますか?
新聞大好き、そして、仕事をしている中でも、多くの記者さんから取材をいただき、いろいろお話をさせていただく機会が多い私からすると、「とんでもない!」と言いたい。
もちろん、記事によりますが、その多くに関していえると思うこと。
それは、社会で起きている物事のどこに、どのような問題意識をもって着目するか、その問題意識について、どのような切り口で記事を書くか、記者自身はどのように考えるか(または、その考えを記事で示すのか否か)、記事を作成するにあたり、どのような人、場所、物についてどのようなリサーチをするか、どのタイミングでそれを報じるか…さらには、一読者である自分には想像もできないあれこれについても深い分析、考察、調査等を経て、ひとつの記事が生まれてくるであろうこと。
その過程は、まさに思想又は感情を創作的に表現したもの。
判決においても、記事内容を分かりやすく要約したタイトルが付されていること、文章表現の方法等について表現上の工夫が凝らされていること、(問題となっている記事についても)記載内容の取捨選択がされ、記者の何らかの創造性が顕れていることなどから著作物であるとの判断がされています。
もちろん、「新聞記事」とはいっても、その内容には、法律上、「著作物に該当しない」と定められている「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は例外ですが、誤解を恐れずにいえば、大半の記事が著作物にあたり得ると考えておいたほうがよいのではないかと私は思います。
そして、著作物にあたり得る新聞記事を社内イントラネット上にアップロードすれば、それは、著作者の複製権、公衆送信権を侵害することになり、これは、民法上の不法行為に該当し得るといえます。
ここについて、「社内で閲覧できる状態にしただけなんだから、私的使用として問題ないのでは?」という考え方をする方もいるかもしれませんが、これは誤りといえそうです。
そもそも、私的使用というのは、著作権法でも「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするとき」と定められており、過去の裁判例でも、「企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、その目的が個人的な使用にあるとはいえず、かつ家庭内に準ずる限られた範囲内における使用にあるとはいえない」との判断がされているものがあります。
「そんな法律の解釈なんて知らないよ。故意がなかったんだから、損害賠償の責任なんて負わないよ」という言い分もあるかもしれない。
実際、過去の裁判例でも、このような記事のアップロードに関し、違法だなんて知らなかったという主張がされた事例があるようです。
でも、裁判所は、この点について、新聞社が、新聞上に記事の著作権が保護されていることに関する記事を掲載していたこと、被告自身も自社のウェブサイトでコンテンツの著作物性を主張し、事前に許可のない仕様を禁じていることなどを踏まえると、新聞記事に著作物性が認められることがあり、その使用にあたっては新聞社の許可を得る必要があるという一般的な知識を被告がもっていなかったとは認めがたいから少なくとも過失があるとの評価をし、損害賠償責任を認めています。
これについても、事案によるとは思いますが、故意、過失があったと評価される場合は多いといえそうです。
では、社内で新聞記事を共有したいというとき、いったいどうすればいいのか。
少し長くなってしまったので、この点についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
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