リーガルエッセイ
公開 2025.12.12

異業者のメンバーで話すということ

刑事_アイキャッチ_475
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

異業種のメンバーで話すということ

私は、ある地域の経営者の方たちが定期的に集まってともに勉強したり懇親会をしたりするコミュニティに所属しています。
その目的を聴かれると、「異業種の方たちと接点をもつことで、自分の学びになるからです」などと答えるようにしているのですが、ただただ、身近に、一緒に遊べる仲間が欲しかったというのが正直なところ。
お互いの仕事のこととか、立場とか、役割とかそんなことを何も考えずに、気楽に付き合える心地よい仲間が欲しかったというのが本音でした。
そんな適当な目的で加入しているものですから、勉強会の参加率は著しく低く、逆に、懇親会等イベントのみ参加してしまうような不真面目な会員でした。
最近になり、そのコミュニティで、お休みの日の早朝にみんなでカフェに集まってモーニングを食べながら互いの仕事の近況を報告したり、野望を語ったりする会が開催されるようになりました。
私は、最近、早朝、ランニングをしていて、ちょうど、そのみんなで集まるカフェが、私のランニングコースの延長にあったので、ランニングついでに、ちょっと足を延ばして顔を出してこようくらいのノリで、先日その朝会に参加してみることにしたのです。
そんな軽い感じで参加した時間でしたが、とても心地よいものでした。
完全な異業種で、お仕事上で接点など見つけるのは難しいと思えたお仕事について話を聴いていたら、実は、お互い大事にしているものが、「起きた後の対応」でなくて「起きることの予防」にあるという共通点を見つけられ、「起きるための予防として何ができるんだろうね」という話ができたり、ある人が語った野望についての話をきっかけに、「え、それこんな風に動けば意外とすぐに実現できそうじゃない?」という話ができたり。
また、ある方は、大きなマンションのベランダにある避難設備の点検、修理等のお仕事をしているのですが、その話を聴いていたとき、「たしかに避難ばしごは自宅マンションとかホテルとかにあるのは認識しているけど、その使い方全然知らないよ。緊急時に、冷静にその対応ができるとは到底思えないんだけど」「それって、マンションに住んでいない人にとっては他人事みたいに思えるかもしれないけど、たとえば経営者が出張先のホテルに行ったときに、いざというとき、避難設備を迅速に正しく使えるかって、まさに、会社にとってのリスク管理の視点から超重要だよね」などというやりとりがありました。
なるほど、と思いました。
私の中で、リスク管理といえば、自分の守備範囲内でしかとらえられておらず、頭に思い描くのは、不正予防という観点のみ。
でも、実は、いろいろなお仕事が、会社やその役員、従業員らの仕事や生活を支えていて、いろいろな立場でそのリスクを防止するために努めているんだという、なんとも当たり前のことに気付かされた気がしました。
自分は、弁護士だから、法律的な側面からお客様のお仕事や人生に関わるのだけれど、でも、もっと広い視野で、目の前のお客様にとってのあらゆるリスクを想像したり、それを低減するためにどんな仕事があるのかということを考えたりできることというのは、自分の差し出すサービスをより深いものにできるのではないかと思えたからです。
ちょっと抽象的で、だから、何がどう変わるのかというと、なかなかうまく言葉にはできないのですが。
彼は、その朝会の直後にささっと避難設備の使い方に関し、とてもわかりやすい動画を自ら作成し、それをコミュニティに属する経営者のかたがたに共有し、それはそれは皆さんから感謝されていました。
課題が発見された過程、ひとまず簡単にその解決を図るための一歩を踏みだす行動というものを目の当たりにして、自分の仕事でも同じような視点でできることがないかなと考えるきっかけにもなりました。
早起きが何よりも苦手なわが子も、この朝会に出席する許可を得て、当日は驚くほど早く起き、(隠れてあくびをしながら)一生懸命大人たちの会話に耳を澄ませていました。
前夜、子どもに「本来参加資格がない子どもがみんなの会に混ぜてもらう以上、ただただみんなから話を振ってもらうのでなく、『あの子がいてくれてよかったよ』と思ってもらえたらいいよね。あなただからこそ、参加者のみなさんに価値提供できることはないかね?」と問いかけ、一緒に考えることができたのも子どもにとってありがたい経験でした。
前夜一生懸命考えたことを翌日皆さんに伝えたら、「〇〇ちゃん、こういう才能あるよ!こういうことやってごらんよ。協力するから!」などと言っていただいたりし、子どももうれしそうでした(勝手に、私抜きで遊びに行く計画を立てたりもしていた…)。
意識的に視界を広げながら、よりよい仕事ができるように努めていきたいと思います。

弁護士へのご相談予約で、
初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
些細なご相談もお気軽にお問い合わせください
弁護士へご相談可能な時間帯
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00

こんな記事も読まれています

CONTACT

法律相談ご予約のお客様
弁護士へのご相談予約で、
初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
些細なご相談もお気軽にお問い合わせください
弁護士へご相談可能な時間帯
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00
弁護士へのご相談予約で、初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
弁護士との初回面談相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます