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帰る間際の「実は」にこめられたもの
相談の時間が終わり、お帰りになるというとき、お客様の表情は、最初にお会いしたときとまったく違ったものになっていることが多いなと感じます。
「ああ、もうこんな時間になってしまって」なんておっしゃいながら、お持ちくださった資料をバッグに入れ、お出ししたお茶を慌ただしくお飲みになりながら「ごちそうさまでした」などとおっしゃるとき、そのお声は、少し軽やかになっているように感じます。
ここまでが予定されていた相談。
けれど、ドアに向かう途中で、お客様の足が止まることがあります。
あるいは、ドアノブに手をかけたまま、ふと振り返ることも。
「全然関係ないのですけど、実は…」
そのお声は、あまり大きくないし、早くもない。その瞬間まで言うか言わぬかずっと迷っていたところ、言うことにした決意が込められた静かな力強さを秘めていることも。
私は、そのようなとき、その「全然関係ない」という話がどれほどお客様にとって大事な意味をもっているか、どんな思いでその一言をおっしゃろうとしているか全力で耳を傾けなければならないと思っています。
それこそが聴くべき話なのだとさえ思っています。
最初から話せなかったわけではない。
意図的に話さなかったわけでもない。
ただ、相談の時間中はご自身の中で、まだ「話していい話」になっていなかったのだと思うのです。
私の方から、その「全然関係ない話」は「話していい話」なのだということを十分に伝えきれていなかったともいえると思います。
相談の冒頭で語られるのは、主に出来事。
いつ、どこで、何が起きたか。
けれど帰り際に出てくるのは、出来事にくっついた複雑な表現のしにくい感情であることが多いように思います。
本当は怖かったこと。
納得していないまま飲み込んだ相手の言葉があったこと。
「私が悪かったのかもしれない」と、ずっと引っかかっていた気持ち。それらは、法律の質問の形をしていないことも。
「こんなことを言っても、意味がないかもしれませんが」
「法律とは関係ないかもしれないんですけど」
そう前置きしてから語られる話ほど、その人にとっては核というか軸になるようなとても大切なものであることが多いように思っています。
次の予定もある。
時間を守ることも仕事の一部。
それでも、相談の終わりに出てきた言葉を、途中で遮ることはできないのです。その言葉は、ようやく生まれて外に出てきたばかりだから大切に守り、育んでいく必要があるから。
不思議なことに、その「最後の話」を聞き終えると、お客様の表情が、少し変わるように思います。
客観的な状況は何も変わっていないのに、なぜか、肩に背負っていた大きな荷物を下ろしたかのような表情になることも。
そのようなとき、そのお客様にとって本当に必要だったのは、法的な観点からの答えじゃなかった可能性もあるのだと思うのです。
自分の感じていたことを言葉にしてそれをご自身の耳でも聴いて確認できたこと。感情を外に出しても、否定されないという体験。自分の心に噓のない思いを伝えられたこと。そんなひとつひとつが必要だったのかもしれないなと勝手ながら想像したりもします。
相談が終わり、今度こそお帰りになるお客様の表情は、まだ問題は解決していないのに、笑顔でいっぱいであることも。
お帰りになるお客様がもやもやしたものを心に抱えたままにお帰りになることがないように、お客様の感情がどこかに置き去りにされていないかということにもしっかり目を向けていきたいと思います。
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