リーガルエッセイ
公開 2026.07.08

嫌なことが3つ重なって、気づいたこと

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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嫌なことが、3つ

最近、心底嫌な気分になることが立て続けに起きました。
しかも3つ。
どれも、自分が誰かに何かをしてしまった、という類いのものではないのです。
少なくとも私の感覚では。
人の言動に、私のほうがずいぶん傷ついたり、腹を立てたりしたという出来事。
要するに、一見すると、私はどれも「やられた側」なのです。
最初、私は、「ああ、嫌なことが重なったなあ」と思いました。
こういうときの必殺対処法。
「これだけついていないことが連発したのだから、あとは浮上するだけ!やった!これだけ嫌なことが起きたなら、かなりいいことが起きるに違いない!」
という発想で今回も乗り切ろうとして、ふと立ち止まりました。
まったく別々の場面で、関係のない相手と、たまたま3つも嫌な気分になる。
これは本当に、ただの偶然なのだろうか。
もちろん世の中には、純粋に理不尽な出来事に見舞われることはある。
それは確かにあると思う。
ただ、こと今回の私の3つについては、どうもそういう手触りではなかったのです。
3つの共通項、それは、私。
だとすると、何か私に考えるべき点があるのかも。
まずは、そもそも私が相手の言動を誘発したのではないかという仮説。
これは、絶対一部あたっているところはあるように思っていて、私が、そもそも、陰でくだらない揶揄や的を射ない批評の対象になるような存在として仕事をしたり、人と関わったりせず、もっと高い次元で生きることができていれば、今回の出来事は起きずに済んだように思う。
それなのに、今回、3つの機会に、このような体験をしたということは、私が、自分が憤る相手の言動が届くようなレベルで生きてしまっていることに原因があるわけで、そんなレベルの生き方に甘んじている自分に腹が立つ。
他人の言動に腹を立てている場合じゃないぞ、と猛烈に思った。
ただ、急に高次元な域にたどりつけない私には、ほかにも考えなくてはいけないことがありそう。
相手の言動に対する私の受け取り方に、何か癖のようなものがあるのかもしれないという視点でも起きた出来事を振り返ってみる必要があるのではないかと思ったのです。
同じ出来事でも、反応の仕方はいろいろあり得ます。
たとえば、蚊に刺されたというときに、「うわ、刺された!」くらいで流す人もいれば、「もうそんな季節か!」と受け止める人もいる。
ちなみに、私は、虫一般が苦手なので、視界に入ること自体恐怖なのに、さらに、針で刺されてかゆさを残されるなんてことを受け入れることなど到底できず、いつも、「なめられた!許せん!」と一瞬で臨戦態勢に。
そんなふうに考えてみると、今回の3つの出来事についても、私は、「嫌な出来事が3つもあった」と受け止めたけど、客観的には、「3つの嫌な出来事」なんて、そもそも起きていないのかもしれない。
私が受け取り方でそう名づけて、律儀に3つ数えて、被害の記録として保存しているだけなのかもしれない。
捉え方しだいで、起きたことの中身は、案外変えられると思うからです。
とはいえ、傷ついた自分を、まちがいだったと切り捨てたいわけでもないのです。
たしかに、起きる出来事にいちいち腹を立てたり傷ついたりといった反応をするのでなく、さらーっと「ああ、あなたはそう考えるのねー」と流すことができればそれが一番番楽だなとも思うのです。
だから、自分の中で、そういった意識はもっていたい。
そして、ときにその考え方を使いこなせるようになりたいなとも思う。
そういえば、どうしたら反応せずにいられるか秘訣を知りたくて、「反応しない練習」という本を読んで勉強したっけ。
でも、一方で、私は、自分の反応に蓋をせず、ちゃんとムッとしてやることもまた、「悪いこと」として切り捨てたくはないのです。
腹が立つのは、私の中で大事にしているものが侵害されたかのように感じるからで
あって、そういう「大事にしているもの」を持つこと自体を自分で認めてやりたいし、守ってやりたいとも思うので。
傷ついたり、腹を立てたりするということに関して感度が高いのは、たぶん、悪いことばかりではなくて、いいように作用することもあるんじゃないかとも思う。
だから、まずはその自分をそっとねぎらってから、あらためて、自分のために必要とあらば、ゆっくり時間をかけて受け取り直せばいいと思う。
あとは、とにかく、こんなしょうもないことで憤る世界から、私自身が一刻も早く脱出すること。
そんな挑戦的なワクワクした気持ちに結局着地。
嫌なことが3つ、ではなく、気づきが1つ。
今回の帳尻は、それくらいでちょうどいいのかなと思っています。
お客様とも、たまに、ご依頼いただいた案件そのものの話から少し離れ、そんな話をする時間も好きです。

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