リーガルエッセイ

公開 2020.06.16 更新 2021.08.13

離婚調停 親に同席してもらうことはできる?

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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親に同席してもらいたいが、認められる?

緊急事態宣言も解除となり、この1、2週間で、これまでストップしていた裁判所の調停期日について、裁判所から次回期日を決めるための日程調整の連絡が入り始めました。
緊急事態宣言の発令とともに、裁判所が一斉に期日の取り消しをしたという報道を見て、ご自身で離婚調停を申し立てたいと思いつつ、少し落ち着いてからにしようかと申立てを待っていたかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
また、この長い自粛生活の中で、家庭で夫婦間の考え方の違いが浮き彫りになり、離婚を決意され、調停を申し立てようと決意されたかたもいらっしゃると思います。
ご自身で離婚調停を申し立てようか、と考えていらっしゃるお客様から、よく質問されることがあります。
それは、「調停の部屋には、母と一緒に入り、母に同席してもらうことはできますよね」ということです。
もちろん、お立場により、必ずしもお母様というわけではなく、それがお父様だったり、成人したお子様だったり、兄弟姉妹のかただったりすることもあります。
たしかに、お1人で初めての調停に臨むのはとてもご不安ですよね。
そして、これまでのいきさつを家族に相談してきたとすると、事情を知っている家族の同席を希望されるというお気持ち、とてもよくわかります。
今日は、離婚調停の場に、家族が同席できるか、ということをお話しします。

基本的には、ご本人だけ

結論を言うと、基本的には、調停の部屋に入れるのはご本人だけです。
もちろん、弁護士を代理人としてつけた場合には、弁護士も同席します。

実は、代理人許可申請というものがあり、家族の誰かを自分の代理人として調停に出席させてください、という申請する手続き自体は用意されていて、代理人として許可されれば、調停の部屋に入り、話し合いに参加することはできます。
ただ、その申請をしたからといって、裁判所が、家族を代理人として許可するとは限りません。
この点、実際、申請が許可されることがあるのか、あるとしたらどのような場合なのか知りたく、家庭裁判所に電話して聞いてみたことがあります。
電話の対応をしてくださったかたは、「もちろん、一律どうということはできませんが、申請を許可するということはなかなか想定しづらく、よほどのことがないと難しいでしょう。離婚という身分行為については、ご本人の意思こそが大事なのに、ご本人が出席しないと話し合いが意味を持ちません。ご本人もいる、家族が同席するというケースは、それによって、話し合いが混乱してしまうことも多々あると思うので」とおっしゃっていました。
そして、家族が代理人として許可されることがなかなか難しい上、代理人でない立場で家族が調停の部屋に入り、本人に付き添う、ということも通常は認められていないとのことです。
個別に、調停委員が、そのかたに付き添っていただかないと話し合いが進まず、逆に付き添っていただければ、話し合いが進む可能性が高いと認めた場合は、同席を認めることがないとは言えないものの、実際上はほぼないでしょう、というお話でした。

不安なときはどうしたらいい?

たしかに、離婚の話し合いに当事者以外の家族が関わってくると、当事者同士だけであれば、もっとスムーズに解決したかもしれない問題が複雑になり、話がこじれるということは多々あります。
いろいろな原因はあると思いますが、家族は、ご本人のこれまでの大変さを身近で見聞きしてきたという場合が多く、ご本人の今後を心配する気持ちから、いろいろな助言をされることがあると思うのです。
家族とはいっても、考え方が違うことは多くある中で、家族が、「こうしたらいいんじゃないか」「その提案は飲むべきではない」などと考えを述べたり、ときには、家族のかたが相手方当事者のかたによくない感情を持っているあまり、ご本人以上に感情的になってしまい、話し合いがなかなか進まないということもありそうです。
もちろん、離婚に関わる決断はとても大事なことですし、離婚後も家族の支えをもらいながら生活していくという場合、家族との話し合い自体は必要になるかもしれません。
でも、最終的には自分自身が選択し、決断していていく必要があるので、やはり、調停の部屋にはご本人だけが入る、ということは基本的にはやむを得ないと思っています。

とはいえ、調停は、長時間に及びますし、その間、調停委員を通して、相手との間でやりとりをするわけですから、気持ちの負担は大きく、不安になりますよね。
調停では、もちろん個別の案件によりますが、基本的には30分程度部屋に入っては、その後30分程度、相手が話している順番のときに待合室で待っていることになります。
そして、その待合室に家族が入ることは可能です。
ですので、どうしても不安なかたは、裁判所まで家族に付き添ってもらい、自分が調停の部屋に入っている間は、待合室で待っていてもらい、部屋から出てきたら、次に入る時まで、一緒に待合室で時間を過ごすということも考えられます。
これだけでも、心強いですよね。

待合室に家族がいるというだけでは不安であるという場合は、弁護士を代理人とし、弁護士同席のもとで調停を進めることも検討されたほうがよいでしょう。
調停の席で弁護士が同席していれば、その場で判断を求められたとしても、弁護士と相談しながら進めていくことが可能です。
事前に、弁護士から、調停とはどんなものか、当日どんなことが話し合われるのか、説明をして安心して調停に臨むこともできます。
ご不安なかたはぜひ一度ご相談ください。

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