コラム

公開 2021.10.26

大家さん必見!賃貸物件のよくあるトラブルと対処・予防方法

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賃貸物件の大家さん・オーナーが遭遇するよくあるトラブルとその対処方法、未然に防ぐためのポイントをわかりやすく解説します。賃貸物件の大家さんは、入居者とのトラブル以外にも水漏れや入居者同士のトラブルにも遭遇する可能性があります。賃貸物件を経営する際は、弁護士の活用も検討すると良いでしょう。

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入居者に賃料を滞納されるトラブル

物件を貸し出していると、さまざまなトラブルに見舞われることがあります。
中でも多いトラブルは、入居者による賃料の滞納です。

まずは、賃料の滞納をされた場合の対応や、賃料の滞納を防ぐ方法について解説します。

賃料を滞納された場合の対処法

賃料を滞納された場合には、次の方法で対応をしましょう。

入居者に口頭や書面で請求する

滞納を確認したら、家賃が期限までに支払われていないことをすぐに入居者へ口頭や書面で連絡し、早急に支払って欲しい旨の請求をします。
この時点ですぐに支払いがなされ、以後も滞納をしないのであれば問題は解決です。
併せて、次月以降は期限内に支払って頂くよう念を押しておきましょう。

内容証明郵便を送付する

入居者に連絡しても3ヶ月や4ヶ月程度滞納が続く場合、内容証明郵便を送付します。

内容証明郵便には、滞納している賃料の支払い期日に加え、その期日までに支払わない場合、改めて通知をすることなく賃貸借契約を解除することを明記しておくと良いでしょう。
問題を長期化させないため、この時点から弁護士へ相談し、弁護士から内容証明郵便を送付してもらうことも検討してください。

契約の解除と退去の通知をする

内容証明郵便に記載の期日までに支払ってくれない場合は、賃貸借契約を解除し、物件の明け渡しを請求します。

訴訟をする

明け渡しを請求したにもかかわらず、入居者物件から退去せず居座り続ける場合は、訴訟を提起します。
また、訴訟の結果、明け渡しを命じる判決が出たにもかかわらずなお退去しない場合は、強制執行により退去させることが可能です。

賃料の滞納を防ぐためには

滞納が発生し裁判となってしまうと、時間や費用、労力がかかってしまいます。
そのため、賃料の滞納はできるだけ未然に防いでおきたいところです。
では、入居者による賃料の滞納を防ぐにはどのような方法が考えられるでしょうか?

振り込みではなく口座振替とする

家賃は、その都度の振り込みではなく、口座振替で受領したほうが良いでしょう。
口座振替とすることで、期限までにうっかり支払いを忘れてしまうという事態を防ぐことができます。

遅延損害金を設定し周知する

支払いが遅れた場合の遅延損害金を賃貸借契約書に定め、契約締結時に周知しておくことも、滞納を予防することにつながります。
併せて、滞納が続く場合には法的措置を取る可能性がある旨を伝えることで、滞納の抑止力とすることも一つの方法です。

入居者に連帯保証人をつける

それでも滞納が生じた場合に備えて、契約時に連帯保証人も取っておくと安心です。
連帯保証人は、支払い能力が十分にある家族などとしてもらいましょう。

滞納が発生したらすぐに連絡する

滞納が発生したら、すぐに入居者に連絡することも、以後の滞納を防ぐことにつながります。
滞納しても大家さん側から何の連絡もなければ、多少の滞納であれば大した問題ではないと入居者が捉えてしまい、安易な滞納を繰り返されてしまうかもしれないためです。

入居者が規約違反をするトラブル

賃貸物件で大家さんが知っておくべきトラブルとして、入居者の規約違反も挙げられます。
規約違反の例としては、例えば無断で転貸する、ペット禁止の物件でペットを飼育する、単身用の物件で勝手にルームシェアする、住居用の物件で営業を行うなどがあります。

では、こういった場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか?
対処法と予防方法について解説します。

規約違反をされた場合の対処法

規約違反が起きてしまった場合は、次のように対応しましょう。

違反状況の確認をして入居者に連絡する

まずは、実際に違反状況が発生しているのかどうか確認することから始めてください。
違反が確認できたら、違反状況を是正するよう入居者に連絡をします。

なお、いくら大家さんとはいえ、火災などの緊急時以外に無断で居宅内に立ち入ることはできません。
留守中に合鍵を使うなどして居宅内へ侵入すると罪に問われる可能性がありますので、無断での侵入は行わないようにしましょう。

内容証明郵便を送付する

違反状況を是正すべき旨を連絡した後も違反の状態が続く場合は、内容証明郵便を送付します。
この時点から弁護士へ相談し、弁護士から内容証明郵便を送付してもらうと良いでしょう。

契約の解除と退去の通知をする

内容証明郵便に記載の期日までに是正されない場合は、賃貸借契約を通知し、物件の明け渡しを請求します。
違反内容や契約内容によっては違約金の請求も可能です。

訴訟をする

契約解除後も明け渡しせず居座り続ける場合は、訴訟へと移行し、最終的には強制執行にて退去させることとなります。

規約違反を防ぐためには

では、入居者の規約違反はどのように予防すれば良いでしょうか?
規約違反を防ぐために考えられる方法を紹介します。

規約を周知する

規約違反を防ぐため、規約を入居者に周知するようにしましょう。
違反してしまう入居者の中には、違反であるとの認識がない場合もあるためです。

入居時に賃貸借契約書は交付していたとしても、契約書をきちんと読んでいない入居者や、入居時に受けた説明を忘れてしまう入居者も少なくありません。
そのため、してはいけないことは契約書とは別の書面でわかりやすくまとめて交付したり、物件内の掲示板に掲示したりするなどして、改めて規約を周知することをおすすめします。

違反した場合のペナルティを周知する

規約違反となる事項と併せて、違反した場合には違約金が請求されたり退去となったりする可能性がある旨も周知しておくと良いでしょう。
違反した場合のペナルティを知ることで、安易な規約違反を防ぐことにつながります。

規約違反を発見したらすぐに対処する

規約違反を発見した場合は、すぐに対処するようにしましょう。
すぐに対処しないと、規約違反が長期化してしまったり、規約違反をしても問題ないとの認識が入居者内で広がり他の入居者までが規約違反をしてしまったりする可能性があるためです。

入居者同士の争いが起こるトラブル

入居者同士の争いが起こるトラブル

賃貸物件では、入居者同士のトラブルが起きる可能性もあります。
では、入居者同士のトラブルが起きたらどう対処すれば良いのでしょうか?
予防策と併せてお伝えします。

入居者同士の争いが起きた場合の対処法

入居者同士のトラブルが起きた場合、大家さんとして行うべき対応は次のとおりです。

張り紙や全戸配布などをして様子を見る

入居者同士のトラブルは、騒音やベランダでの喫煙などのマナー違反が原因で起こるケースが少なくありません。
そのような場合は、注意を促す文書を全戸へ配布したり掲示板に掲示したりして、様子を見ることから始めると良いでしょう。

この段階では、どの部屋に対する苦情なのかまでは文書内で特定せず、以下のような内容を記載します。

  • 苦情の内容(深夜に複数人で話している、深夜に楽器の音が響いている、ベランダで喫煙をしている人がいる、など具体的に)
  • 近隣から苦情が出ている旨
  • 具体的な改善方法(21時以降は特に話し声に注意する、20時以降は楽器を演奏しない、ベランダで喫煙はしない、など)
  • 改善されないようなら、部屋を特定の上厳重注意する旨

これにより、トラブルのもととなっている入居者が自分のことだと気付けば、改善される可能性があります。

入居者を特定して厳重注意する

張り紙などをしても改善されない場合は、実際に入居者を特定して個別に注意します。
個別に注意をしても改善されない場合は、身元保証人となっている親などへ連絡を入れることも一つの手でしょう。

内容証明郵便を送付する

個別の注意でも改善されない場合は、弁護士から内容証明郵便を送ってもらいましょう。
これでも収まらない場合には、裁判などの法的な措置へ移行することとなります。

ただし、騒音などによるトラブルは家賃の滞納などと異なり、証拠を押さえることが難しいうえ、規約違反といえるほどの騒音かどうかの判断も難しいため、話し合いで解決することがより望ましいといえます。

入居者同士のトラブルを防ぐためには

入居者同士のトラブルを防ぐにはどうすれば良いでしょうか?

トラブルを防ぐには、物件利用のマナーについて契約書へ記載したり、契約書とは別に守るべきマナーを文書化して入居者に署名してもらったりすることが考えられます。
例えば、ベランダを含む共用部分での喫煙の禁止や、夜間の楽器の演奏の禁止などです。
併せて、物件利用のマナーを掲示板に掲示するなどして、常に周知もしておくと良いでしょう。

また、問題が起きた際に入居者同士で注意しあってしまうと、トラブルがより大きくなってしまう原因となりえます。
そのため、問題が起きた際は、まず大家さんや管理会社へ連絡をするように伝えておくことも重要です。

水漏れに関するトラブル

賃貸物件の大家さんは、水漏れに関するトラブルも知っておくべきです。
物件内で水漏れが起きてしまった場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか?

修理費用は誰が支払うのか

水漏れが起きた場合の修理費用の負担者は、その水漏れの原因によって次のように異なります。

大家さんが修理費用を負担すべき場合

水漏れの原因が蛇口や水道管など賃貸物件の設備が老朽化したことなどである場合、修理費用は大家さんの負担となります。

入居者が修理費用を負担すべき場合

入居者が水道の蛇口を閉め忘れたまま外出したなど、入居者の過失などが原因で水漏れが生じた場合、修理費用は原則として入居者が負担します。

ただし、水漏れしている旨を入居者から連絡を受けたにもかかわらず、大家さんが迅速な対応をしなかったことが原因で被害が広がってしまったなどの場合は、大家さんも費用を負担すべきとされることがありますので、迅速に対応するようにしましょう。

なお、入居者が費用を負担できない場合に備え、入居時に個人賠償責任保険付きの火災保険への加入を義務付けておくと安心です。

水漏れトラブルが起きた場合の対処法

水漏れトラブルが起きてしまったらどのように対処すれば良いのでしょうか?
水漏れの連絡を受けたら、次のように対応します。

水道業者への連絡と応急処置

水漏れの連絡を受けたら、まずは状況を確認し、水道業者に連絡をします。
水道業者が来るまでの間に被害が拡大しないよう、応急処置を行ってください。

なお、入居者に無断で居室へ侵入するとトラブルとなる可能性がありますので、居室へ侵入する前に入居者に連絡を取るようにしてください。

とはいえ、入居者と連絡が取れず連絡を取るまでに被害が拡大してしまう可能性が高い場合は、居室へ侵入せざるを得ない場合もあります。
こうした事態に備え、漏水時などは無断で居室へ入る場合がある旨を契約時に説明し、契約書にも記載しておいてください。

保険会社への連絡

応急処置が済んだら、保険会社へ連絡を取ります。

費用を大家さんが負担すべき場合は、大家さんが契約している保険会社へ連絡してください。
入居者が負担すべき場合は、入居者が契約している保険会社へ入居者から連絡を取ってもらいましょう。

退去時の原状回復に関するトラブル

退去時の原状回復に関するトラブル

賃貸物件のトラブルは、退去時の原状回復に関するものも少なくありません。
トラブルを防ぐためには、大家さんが原状回復についてのルールをきちんと知っておくことも重要です。

原状回復とは

原状回復とは、賃貸物を入居者に引き渡した後に賃貸物に生じた損傷がある場合、賃貸借が終了したときにその損傷を原状に復することをいいます。
つまり、貸したときの状態で返してもらうことだと考えれば良いでしょう。
ただし、賃貸物に生じた損傷には、入居者が負担すべきものと、大家さんが負担すべきものが存在します。

大家さんが負担すべき原状回復費用とは

大家さんが負担すべき原状回復費用は、通常の使用によって生じた賃貸物の損耗や賃貸物の経年変化です。

どこまでの原状回復費用を入居者に負担させられるかについては、従来からトラブルの多い点でしたが、2020年4月1日に施行された改正民法により、経年劣化等は入居者に負担とならない旨が明記されました。

例えば、家具の設置による床やカーペットのへこみや設置跡、畳の変色、フローリングの色落ちなどは経年劣化に該当すると考えられますので、これらの原状回復費用を入居者に負担させることはできません。

入居者が負担すべき原状回復費用とは

一方、通常の使用によって生じた損耗や経年変化以外の損耗についての原状回復費用は、入居者に原状回復費用を負担させることが可能です。
例えば、引越作業で生じたひっかきキズやカーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビなどの原状回復費用は、入居者負担となります。

原状回復費用の負担についての詳細は国交省のガイドラインに記載がありますので、大家さんはこちらも一読しておくと良いでしょう。

原状回復トラブルを防ぐためには

原状回復トラブルを防ぐためには、次のような対策が考えられます。

大家さんが原状回復費用の負担につき正しく理解する

まずは、大家さんが原状回復費用の負担について正しく理解しておくことが重要です。
本来入居者に負担させることのできない原状回復費用についても入居者に請求してしまうことが、トラブルの原因となり得るためです。

費用負担につき契約時によく説明する

原状回復費用の負担に関して契約書に記載することはもちろん、契約時に入居者へよく説明しておくこともトラブルを防ぐことにつながります。
国交省ガイドラインなどを参考とし、具体的な例を挙げて説明しておきましょう。

物件の写真を撮っておく

入居直前に、入居者立ち合いのもとで物件の写真を撮っておくと安心です。
物件の写真を撮っておけば、退去時についていた傷などが入居前からついていたなどと主張され、トラブルになることを防ぐことができるためです。

まとめ

賃貸物件の大家さんは、トラブルに遭遇してしまう可能性も少なくありません。
とはいえ、多くのトラブルは契約時など事前の工夫で予防することが可能です。
また、いざトラブルが生じてしまった場合でも、その大半は初期に適切な対応を取ることで、早期に解決することへとつながります。

しかし、初動を間違えてしまうとトラブルが大きくなり、長期化してしまう可能性も否定できません。
無理にご自分で対応をして、問題を大きくしてしまわないためにも、賃貸物件を経営する際には弁護士の活用もご検討ください。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

  • 賃料を滞納する賃借人に対して、内容証明郵便を弁護士名義で送ることで、賃料支払うように促すことができます。
  • 契約を正当に解除したにもかかわらず、物件から退去しない賃借人に対して建物明渡等請求の訴訟提起を行うことができます。
  • 賃借人との間でトラブルが起きた際に、大家さんの代わりに窓口として対応を行うことができます。
記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。大阪市立大学法学部卒業、大阪市立大学法科大学院法曹養成専攻修了(法務博士)。企業法務に注力し、スタートアップや新規事業の立ち上げにおいて法律上何が問題となりうるかの検証・法的アドバイスの提供など、企業のサポートに精力的に取り組む。また、労働問題(使用者側)も取り扱うほか、不動産法務を軸とした相続案件などにも強い意欲を有する。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
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