コラム

大家都合の「立ち退き料」の相場は?入居者と交渉が必要な場合の対応

大家都合の「立ち退き料」の相場は?入居者と交渉が必要な場合の対応

立ち退き料の相場金額・目安について解説します。
老朽化による賃貸物件の建て替えや売却などで、入居者に大家が立ち退きをお願いしても拒否されることがあります。
その場合立ち退き料を支払う方法が一般的ですが、立ち退き料の支払いは義務ではなく金額の規定もありません。
交渉が難航する場合は弁護士に依頼しましょう。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(千葉県弁護士会)
千葉県弁護士会所属。創価大学法学部卒業後、創価大学法科大学院を修了。最高裁判所司法研修所修了後、Authense法律事務所へ入所。

立ち退き料とは

立ち退き料とは、何のことを指すのでしょうか?
一般的に、立ち退き料とは賃貸物件オーナー側の事情により入居者に退去をして欲しい際に、立ち退きを条件として入居者に支払う金銭のことを指します。

いくらかの金銭を支払う代わりに、その物件からの退去に同意してもらうわけです。

立ち退き料の支払いは法的に義務?

そもそも、立ち退き料の支払いは法的な義務なのでしょうか?

結論からお伝えすると、立ち退き料の支払いは法律上の義務ではありません。
立ち退き料などの金銭を支払わなくとも立ち退き交渉が進み、円満に立ち退いてもらえるのであれば、それで構わないのです。

では、立ち退き料とは、法律上どのような位置づけなのでしょうか?
まず、賃貸オーナー側から立ち退きを要求するためには、原則として一定期間前に立ち退いて欲しい旨の通知をすることに加え、「正当事由」も必要となります。
「正当事由」の有無については、賃貸人または賃借人が建物を使用する必要性、賃貸借に関するそれまでの経過、建物の利用状況、建物の現況(損傷の有無、老朽化の程度)、いわゆる立退料の有無・金額等を考慮して決められます。

例えば、「建物としての機能には問題ないが、もう少し見栄えの良い建物に建て替えて、賃料アップを狙いたい」という場合、この「正当事由」が十分とはいえません。
そこで、この「正当事由」を補う要素のひとつが、立ち退き料なのです。
そのため、立ち退き料は法的な義務ではないとしても、交渉材料の一つとして持っておくと良いでしょう。

立ち退き料を支払わなくて良いケース

立ち退き料を支払わなくて良いケース

では、立ち退きを要請するにあたり、立ち退き料を支払わなくても良いのはどのようなケースでしょうか?
典型的な2つのケースをご紹介します。

入居者の契約違反があった場合

立ち退き料が不要となる1つ目のケースは、入居者に契約違反があった場合です。
例えば、何ヶ月も賃料を滞納していたり、勝手に第三者に又貸ししていたり、勝手に改築をしてしまっていたりといった場合を想定すると良いでしょう。

入居者にこのような契約違反があった場合には、解約ではなく、債務不履行による解除が可能と考えられ、その場合は基本的に立退料を支払う必要はありません。

定期借家契約の期間満了の場合

また、退去させたい入居者との賃貸借契約が定期借家契約であれば、原則として立ち退き料は必要ありません。
定期借家契約とは、一般的な普通借家契約と異なって契約の更新がなく、契約期間の満了によって賃貸借関係が終了する借家契約を指します。
期間が満了しても、双方が合意をすれば「再契約」をすることはできますが、賃貸オーナーか入居者のいずれか一方でも再契約を拒否すれば、期間満了で契約が終了します。

こういった特性から、建て替えを計画している賃貸住宅の空室を埋める目的や、計画的に大規模リフォームを行いたいといった目的を持つ賃貸オーナーに活用されています。

定期借家は借地借家法の一部改正により創設され、平成12年3月より施行されています。
また、定期借家契約は、必ず公正証書などの書面によることに加え、あらかじめ「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書等とは別の書面で説明することが必要です。

そのため、定期借家契約である旨の書面の交付がない場合や、平成12年3月以前よりその入居者に貸している建物であれば、定期借家契約ではありません。

立ち退きに関するよくあるトラブルと対処方法

立ち退きに関するトラブルや、その対処方法をお伝えします。

よくあるトラブルの事例

立ち退きに際するトラブルでよくあるものとしては、入居者から立ち退きを拒否されてしまうことです。
だからといって、勝手に鍵を変えたり私物を運びだしたりすることは違法です。
さらなるトラブルの原因となりかねませんので、絶対に行わないようにしましょう。

では、入居者から立ち退きを拒否されてしまった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

まずは、入居者が立ち退きを拒否する理由を聞きだすなどした上で、丁寧に交渉をしてみてください。
例えば、前述のとおり、転居先が見つかるか不安だということが立ち退きを拒否している理由であれば、転居先を紹介することで同意をしてくれる可能性があります。

また、通っている病院から遠くなるのが困るなど、生活に支障がでるため立ち退きを拒否しているのであれば、要望に沿った転居先を探してあげるのも解決策のひとつでしょう。

他には、なんとなく住み慣れた場所から移るのが不安という場合もあります。
その場合は、転居先を実際に見てもらうことで、これまで住んでいた老朽化した家とは違った魅力に気づいてもらえるかもしれません。
家賃が上がるのが不安ということであれば、一定の期間分の家賃差額を立ち退き料として上乗せする方法もあります。

まずは、このように入居者の不安に寄り添い、落としどころを探ってみましょう。

弁護士による交渉

とはいえ、それでも立ち退き交渉に応じてもらえない場合もあるでしょう。
中には、できるだけ立ち退き料を多くもらおうと粘る人もいないわけではありません。

そのような場合は、ぜひ弁護士へ相談してください。
弁護士が代わりに交渉を行うことで、立ち退きに同意をしてくれる場合もあります。

まとめ

立ち退き料の支払いは法的な義務ではなく、その金額が法律で定められているわけでもありません。
とはいえ、立ち退き料を支払うことは立ち退き交渉を有利に進めることにつながりますので、「立ち退き料は一切支払わない」という姿勢ではなく、交渉カードの一つとして捉えておくと良いでしょう。

また、最終的に訴訟となった場合には、正当事由の有無が主な争点となります。
そのため、立ち退き交渉が難航しそうだと判断した場合には、交渉がこじれてしまう前に、早めに弁護士へ相談してください。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

オーセンスでは、立ち退き交渉についてチームを立ち上げて取り組んでいます。
賃借人のタイプに合わせた柔軟な交渉の結果、立ち退き料の相場よりも低い金額で交渉がまとまったケースも数多くございますので、立ち退き交渉につきましてはぜひ弊所にご依頼ください。

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