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公開 2022.04.05

マンション管理費の滞納、どうしたら?回収方法、時効について解説!

マンション管理費の滞納、どうしたら?回収方法、時効について解説!

マンション管理費や修繕積立金の滞納が、増えています。滞納管理費の回収には時効があるため、早めの対策が必要です。
管理費の滞納がある場合に、管理組合が回収に向けてできることや注意点、弁護士がお役に立てることをわかりやすく解説します。

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マンションの管理費等の滞納が年々増えている

マンションの管理費や修繕積立金(管理費等)の滞納は、年々増加傾向にあります。
国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果」によれば、3ヶ月以上管理費や修繕積立金の滞納をしている人がいるマンションは、マンション全体の24.8%にものぼります。
中でも、特に築年数の古いマンションで割合が高い傾向にあるようです。

管理費等は、共有部分の清掃や大規模修繕の積立てのために使うお金であり、滞納が増えると計画どおりのマンション管理ができなくなるおそれがあります。
そのため、滞納は各マンションの管理組合が頭を悩ませている問題でしょう。

では、区分所有者がマンションの管理費を滞納するのには、どのような背景があるのでしょうか?

管理費等滞納の背景

マンションの管理費等を滞納する人が増加している背景には、まず経済の長期的な低迷が考えられます。
長期的な視点で世帯収入の増加を見込んでマンションを購入したものの、思ったように収入が上がらず、管理費等の支払いに困窮してしまっているケースがあります。
昨今のコロナ禍が、この傾向にさらなる拍車をかけることが懸念されます。

また、平均寿命の長期化により、老後資産が不足したり、不足を懸念したりする人が増えていることも、管理費等を滞納する背景として考えられます。
これは、前述のとおり築年数の古いマンションに滞納が多いというデータからも推察できます。

さらに、親族間の関係が希薄になっていることも、滞納増加の背景にあると考えられます。
例えば、高齢両親が暮らすマンションの管理費を高齢両親が滞納していたとしても、別で暮らす子の世帯が気付いていないケースが増えていることも少なくないものと思われます。

こうした事情が重なり合い、マンションの管理費等を滞納する人が増えているのです。

管理費等滞納の問題点

管理費や修繕積立金が滞納されると、どのような問題があるのでしょうか?
問題点について、具体的に解説していきましょう

修繕計画等に狂いが生じてしまう

管理費や修繕積立金を滞納されることによる最も大きな問題は、マンションの修繕計画等に狂いが生じてしまうことです。
一戸建ての住宅とは異なり、マンションはエントランスやエレベーター、外壁などといった共用部分を多く擁しています。
この共用部分は、マンションの購入者(区分所有者)全員で管理することが必要です。

そのために必要となる費用が、管理費や修繕積立金という形で徴収されています。
マンションの管理組合が代表してその管理費や修繕積立金を集め、外部業者に委託しつつ定期的な清掃や周期的な大規模修繕を行い、マンションを維持管理しているのです。

しかし、この原資となるはずの管理費や修繕積立金を滞納する人がいると、この計画に狂いが生じてしまいかねません。
管理費等の滞納により、修繕等をするための費用が不足してしまうためです。
たった一人の滞納でも、積み重なれば全体の修繕計画などに支障をきたすことがあります。

マンション内の人間関係が悪化する懸念がある

滞納が生じてしまうと、それが原因でマンション内の人間関係が悪化してしまうこともあります。
なぜなら、滞納者が存在することで、区分所有者間に不公平感が生じてしまうためです。

前述のとおり、マンションは区分所有者全員が費用を出しあって維持修繕していくものです。
それにも関わらず、一部の人が滞納をしてしまうと、修繕計画を実施できないといった形で他の区分所有者が迷惑を被ることになります。

また、管理組合としては、滞納者に対し管理費等を支払ってもらうよう働きかけていたとしても、滞納状態が続けば、管理組合への不信感が生じてしまうことにもなりかねません。
きちんと管理費等を支払っている区分所有者からすると、なぜ一部の人は管理費等を支払わずに済むのかといった不満を抱く結果となり、
場合によっては、「払わない人がいるのなら私も払いたくない。」といった心理から、滞納の連鎖につながる危険性もあります。

マンションの管理費等の時効の完成を防ぐためにはどうすればいい?

マンションの管理費等の時効の完成を防ぐためにはどうすればいい?
マンションの管理費等には、時効があります。
その時効期間は、「権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」です。

マンションの管理費等の場合には、本来の支払時期から5年間が時効期間だと考えておくと良いでしょう。
つまり、何もしないまま5年が経過してしまうと、もはやその滞納された管理費等は請求できなくなってしまうわけです。

では、時効を成立させないためには、どうしたら良いのでしょうか?
ここでは、時効の完成を猶予したり更新をしたりする方法のうち、主要なものを紹介します。

時効の完成猶予や更新とは

時効の完成猶予とは、一定の事由により、一定期間内は時効期間が到来しても時効が完成しないというルールのことです。
例えば、時効まで残り1ヶ月という時点で時効の完成猶予事由の一つである催告を行えば、残りの1ヶ月の経過に関わらず、催告から6ヶ月間は時効の完成が猶予されるのです。

一方、時効の更新とは、これまで経過してきた時効期間をゼロに戻して再スタートさせるルールをいいますので、時効の更新の場合には、その時点からまた新たに時効の進行がスタートします。
例えば、時効まで残り1ヶ月という時点で管理費等の滞納者が債務を承認すれば、その後5年間は時効が完成しないのです。

裁判上の請求等

裁判上の請求等とは、裁判所を通して滞納した管理費等の支払いを請求することです。
これには、通常の訴訟のほか、後述する支払督促も含まれます。

裁判上の請求等をした場合、仮に権利が確定することなくその事由が終了した場合であっても、裁判等の終了から6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。
また、請求の結果、権利が確定した場合には時効が更新され、裁判等が終了した時点から新たに時効がスタートします。
なお、確定判決や裁判上の和解により権利が確定した場合には、時効の期間は10年となります。

強制執行等

強制執行とは、滞納者が受け取っている給与等を差し押さえ、そこから滞納している管理費等の支払いに充てたり、滞納者の所有する財産を強制的に売却し、その売却代金を管理費等の支払いに充てたりすることです。

強制執行や担保権の実行等をした場合には、取消しや申立ての取下げで事由が終了した場合であっても、その終了の時から6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。
また、強制執行等が行われた場合には、強制執行等の終了時から新たに時効がスタートします。

仮差押え等

仮差押えや仮処分をした場合には、その事由の終了から6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。

催告

催告とは、「管理費等を払ってください」といった債務の履行を請求する意思の通知を行うことをいいます。典型的な方法として、通知書といった文書を送る方法があります。
催告をした場合には、その時点から6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。

ただし、催告によりすでに時効の完成が猶予されている間に再度の催告を行ったとしても、二度目以降の催告には時効を完成猶予する効果はないことには注意してください。
つまり、さらに時効を延ばしたい場合は、時効の完成が猶予されている間に裁判上の請求などを行う必要があるということです。

また、催告自体は口頭でも成立するものの、時効の完成猶予という効果を得るためには、後から「催告されていない」と主張されてしまわぬよう、内容証明郵便で催告を行うなどの工夫をしておきましょう。

承認

承認とは、相手方が債務の存在を認めることです。
例えば、滞納者が管理費等を滞納していることを認めることだと考えてください。

管理費等を滞納している人がその旨を承認した場合には、その時点から新たに5年の時効がスタートします。

マンションの管理費等の滞納に対する予防策

マンションの管理費等の滞納を防ぐには、どういった対策があるでしょうか?
ここでは、考えうる予防策を紹介していきます。

徴収方法を口座振替とする

すでに導入されているマンションも多いかもしれませんが、管理費等をその都度の振り込みとするのではなく、口座振替とする方法です。
その都度の振り込みとした場合には、うっかり振込手続を忘れてしまったことにより滞納がなされるケースがあると考えられます。
一方で、口座振替の場合は自動で引き落とされるため、振込忘れを避け管理費等を徴収することが可能です。

さらに、引き落とし日の数日前に、引き落としを知らせる張り紙や手紙の投函などを行えば、残高不足で振替ができなくなるような事態を防ぐことができます。

管理費等がなぜ必要なのか説明する

各区分所有者に管理費等が必要な理由をきちんと説明をすることも、滞納を防ぐことにつながります。

管理費等の存在はマンションの購入時に説明されますが、その管理費等が何に使われており、滞納をすることでどのような問題につながるのかきちんと理解していない人は少なからずいます。
管理費等の重要性を理解していないばかりに、安易な気持ちで支払いを怠る人もいるかもしれません。
そのため、収支報告の資料とは別に、区分所有者にとってわかりやすいことばで管理費等の用途を説明すると良いでしょう。

管理規約を工夫する

管理規約を工夫することも、管理費等の滞納を防ぐ方法の一つです。
例えば、規約で遅延損害金について規定したり、滞納した管理費等を裁判手続等により請求する場合にかかる弁護士費用等を滞納者が負担する旨を規定したりすることが考えられます。

遅延損害金などのペナルティを周知する

規約上に規定した滞納時のペナルティを周知することも、滞納の予防策となります。
仮に滞納した場合の遅延損害金の計算例を示すのも一つの手です。
ペナルティを周知することで、安直な滞納を防ぐことにつながります。

滞納が発生したら早期に対処する

滞納が発生した場合は、放置することなく早期に対応することが、滞納の連鎖や長期化を防ぐことにつながります。
滞納したけど問題にならないという状況では、滞納が再発してしまったり他の区分所有者にも滞納が広がってしまったりする可能性が高くなるためです。
滞納が生じたら早期に対応できるよう、滞納時の対応についても管理規約に盛り込んでおきましょう。

交渉してもうまくいかない場合はどうすれば良い?

交渉してもうまくいかない場合はどうすれば良い?
管理組合が独自に請求しても管理費等を支払ってもらえない場合は、どうすれば良いでしょうか?
その場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、例えば次のような方法で解決することが可能です。

支払督促

支払督促とは、管理組合などの申立人による申立てのみに基づいて簡易裁判所の書記官が滞納者に対して金銭の支払いを命じる制度であり、法的手段の中で最も簡易迅速な方法です。
支払督促手続を利用すると、裁判所から管理費等の滞納者に対して、「滞納している管理費等を、〇日までにきちんと支払いなさい」という文書が送付されます。

単なる内容証明の場合、無視をしたところで財産が差し押さえられることはありません。
一方、支払督促であれば、命令を無視した場合には実際に財産を差し押さえることができます。
なお、支払督促が届いてから2週間以内に、督促異議の申立てがなされた場合には、自動的に通常の訴訟手続に移行することとなります。
 

強制執行や競売

法的手段を取り管理費等を支払うべきとの判決が出たにも関わらず、それでもなお管理費等を支払わない場合には、強制執行や競売を行うこととなります。

強制執行とは、相手の給料や賃金、預金などを差し押さえて、そこから直接取り立てることで債権の回収に充てる方法です。
また、競売とは、管理費等を滞納している区分所有者の所有するマンションを強制的に売却することをいいます。

なお、管理費等請求権には、法律によって先取特権という担保権が与えられているため、訴訟を経ることなくいきなり競売をすることも可能です。
滞納が悪質な場合には、最終的にこのような方法を取ることも可能だということを知っておくと良いでしょう。

まとめ

マンションの管理費等が滞納されると、マンション管理に多大な影響が生じてしまいます。
また、いざ滞納が発生してしまえば、その取立てには多大な労力やコストがかかることもあります。
そのため、まずは滞納ができるだけ生じないよう、管理費等の徴収方法や管理規約を見直すことから始めましょう。

滞納が発生している場合には、早期に弁護士へ相談してください。
マンション管理費や修繕積立金の滞納は、早期の解決がカギとなります。
滞納が長期にわたるとその影響は大きなものとなるので、早い段階での解決を目指しましょう。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

滞納が発生した場合の対応方法にはいくつかの種類があり、どの方法が最も適切なのかは状況により異なります。
私どもは、滞納が発生した場合にどういった方法を取るべきなのか、また具体的になにをすればいいのかといった判断を代わりに行うことができます。
また、管理組合等の代理人として訴訟提起や催告といった法的手続きを行うこともできます。
管理費滞納にお悩みでしたら、ぜひご相談下さい。

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