コラム

公開 2021.11.25 更新 2022.11.17

立退料の相場や交渉の仕方、支払わなくてよいケースなどを弁護士が徹底解説

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立ち退き交渉の進め方や立退料の相場などについて弁護士がわかりやすく解説します。
立ち退きとは、貸主側の都合で入居者に物件から退去してもらうことです。
立ち退き請求は、原則として正当事由がないと認められません。

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立ち退きとは

立ち退きとは、貸主側の都合で、賃貸物件の入居者にその物件から退去してもらうことです。

そもそも、いくら物件の所有者であるからといって、自由に入居者を退去させることはできません。
賃貸物件の入居者は、借地借家法という法律で強く守られているためです。

そのため、入居者に物件から立ち退きをしてもらうためには、原則として、立ち退いてもらうだけの正当事由が必要となります。

ただし、いざ裁判となったとき、立ち退きが認められるためのハードルは決して低いものではありません。
老朽化した物件であっても、修繕すれば引き続き住むことができる状態であることから、修繕をしたうえで引き続き賃貸すべきとした裁判例も存在するほどです。

そのため、立ち退きについては、まず入居者との交渉で解決を図るべきでしょう。

建物明渡との違い

立ち退き請求と似たものに、「建物明渡訴訟」が存在します。
建物明渡訴訟とは、賃貸契約の終了後も入居者が物件に居座る場合に、物件を明け渡してもらうことを目的とした訴訟のことです。

建物明渡訴訟について詳しく知りたい方は、リンク先をご覧ください。

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一般的な立ち退きの流れと期間

一般的な立ち退きの流れは、次のとおりです。

立ち退き交渉をまとめる

まずは入居者に立ち退きについて説明し、当事者同士で立ち退き交渉を行いましょう。
交渉が難航しそうな場合には、弁護士に交渉を依頼することも選択肢の一つです。

立ち退き交渉は、遅くとも立ち退き期日の6ヶ月以上前から始めてください。
できれば、1年ほど前の早期から打診をしておくとよいでしょう。

借地借家法に、建物の賃貸借契約において賃貸人から中途解約の申し入れをした場合、その申し入れから6か月を経過することによって建物の賃貸借が終了する旨の規定などがあることが最大の理由ですが、それだけでなく、早くから交渉を始めることで入居者が時間的余裕を持つことができ、交渉がまとまりやすくなります。

交渉がまとまらなければ裁判をする

当事者同士で立ち退き交渉がまとまらない場合には、裁判で結論を出すこととなります。
ただし、裁判になった場合、立ち退きには正当事由が求められます。

必ずしも望んだとおりの判決が出るわけではありませんので、十分な正当事由がない場合には、できるだけ当事者同士の交渉で解決することを目指しましょう。

合意書を作成する

立ち退き交渉がまとまったら、合意内容を必ず書面にしておきましょう。
書面に残していなければ、後から「合意はしていなかった」などと主張されるおそれがあるためです。

合意書があれば、その後入居者が約束を反故にして退去期日以降も物件に居座るようなことがあった場合に、裁判の重要な証拠となります。

合意書には決まった書式はありませんが、対象となっている賃貸借契約を特定するための情報の他、退去期日や立退料など退去に関して合意した条件を明記しましょう。

合意書は双方が署名捺印をしたうえで、1通ずつ保管することが一般的です。

あとは、期日までに退去をしてもらい、同日に立退料を支払うことで立ち退きが完了します。

立退料とは

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立退料とは、何のことを指すのでしょうか?
一般的に、立退料とは貸主側の事情により入居者に退去をして欲しい際に、立ち退きを条件として入居者に支払う金銭のことを指します。

いくらかの金銭を支払う代わりに、その物件からの退去に同意してもらうわけです。

内訳

立退料には、次の費用を合算して考えることが一般的です。

  • 転居費用:引越のためにかかる費用です。
  • 転居先の初期費用:引越し先の物件にかかる礼金や仲介手数料などです。現在の家賃と転居先の家賃との差額を一定期間負担する場合もあります。
  • 迷惑料:立ち退きによって入居者がこうむった迷惑に対する費用です。これは、立ち退きの正当事由や入居からの期間など、状況に応じて大きく変動します。

正当事由と立退料の関係

そもそも、立退料の支払いは法的な義務なのでしょうか?

結論からお伝えすると、立退料の支払いは法律上の義務ではありません。
立退料などの金銭を支払わなくとも立ち退き交渉が進み、円満に立ち退いてもらえるのであれば、それで構わないのです。

では、立退料とは、法律上どのような位置づけなのでしょうか?
まず、貸主側から立ち退きを要求するためには、原則として一定期間前に立ち退いて欲しい旨の通知をすることに加え、「正当事由」も必要となります。
「正当事由」の有無については、賃貸人または賃借人が建物を使用する必要性、賃貸借に関するそれまでの経過、建物の利用状況、建物の現況(損傷の有無、老朽化の程度)、そしていわゆる立退料の有無・金額などを考慮して決められます。

例えば、「建物としての機能には問題ないが、もう少し見栄えのよい建物に建て替えて、賃料アップを狙いたい」という場合、この「正当事由」が十分とはいえません。
そこで、この「正当事由」を補う要素のひとつが、立退料なのです。
そのため、立退料は法的な義務ではないとしても、交渉材料の一つとして持っておくとよいでしょう。

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支払う時期

立退料は、退去後に支払うことが一般的です。
先に立退料のみを支払ってしまうと、退去予定日を過ぎても入居者に居座られ、立退料の増額を求められるような事態となる場合もありますので注意が必要です。

【ケース別】立退料の相場

立退料の相場は、次のとおりです。
ケースごとに解説していきましょう。

ただし、これはあくまでも一般的な相場です。
実際には、貸主正当事由の内容や入居者側の事情などによって変動しますので、参考としてご覧ください。

借り家

アパートなど借家からの立退料は、次の式で算定されることが多いでしょう。

  • 立退料=転居費用+転居先の初期費用+一定期間分の家賃差額

ただし、貸主側の正当事由が不十分な場合には立退料を増額する場合もあります。
結果的に、家賃の6ヶ月から10ヶ月分程度の金額になることが多いでしょう。

一軒家(持ち家)

借地上に賃借人が一軒家を建てて生活している場合には、よほどの事情がない限り立ち退きは認められません。
仮に立ち退くとすれば、家を取り壊さなければならず、借地権者にとって莫大な損失が生じるためです。

借地借家法においても、借地権者は、建物を借りて住んでいる借家人よりもさらに強く保護されています。

立ち退きが認められるとすれば、契約の更新期にあり、かつ地域一体での再開発が進んでいて周囲は既に立ち退いている場合や、土地所有者自身が建物を建ててその土地を自ら使う強い必要があるような場合に限定されるでしょう。
この場合であっても、立退料は借家より相当に高額となるのが通常です。

一応の目安としては、次の合計となるでしょう。

  1. 建物の取り壊し費用
  2. 転居費用
  3. 借地権の買取価格

借地権の買取価格とは、土地の更地価格に、30%から90%の間で地域ごとに異なる借地権割合を乗じて算定します。
仮に更地価格が3,000万円の土地であり、この地域の借地権割合が60%であれば、この土地の借地権価格は1,800万円となります。
場合によっては、さらに迷惑料としての金額が上乗せされます。

建物を建てて土地を利用している借地権者の立ち退きには、その土地を購入するのと同程度の立退料が必要であると考えておくとよいでしょう。

店舗

店舗建物を貸しており、賃借人がそこでお店を営んでいる場合の立退料は、住居として利用している場合と比べて高額となる可能性が高いでしょう。

具体的には、次の式などで算定されます。

  • 立退料=移転費用+移転先の初期費用+一定期間分の賃料差額+営業補償

移転費用と移転先の初期費用、一定期間分の賃料差額の考え方は、貸家の場合と基本的には同様です。
ただし、店舗の場合には内装工事をしていることも多いため、造作物の取り外しなどで、これだけでも住居の場合よりも高額となるでしょう。
店舗の場合には、これに営業補償が追加されます。

店舗は、その場所にあるからこそ顧客が付いていることが少なくありません。
移転してしまえば常連客が離れてしまうリスクがあり、これまでどおりの収入が見込める保証はないでしょう。
また、似た条件の物件を探すことは住居以上に困難です。
そのため、営業補償としての金額が、立退料として上乗せされることが一般的です。

立退料の総額は、結果的に月額賃料の2年から3年分程度となることが多いものの、状況によってはさらに高額となる場合もあります。

オフィス

オフィスや事務所として建物を貸している場合の立退料は、賃貸住宅の場合と同じく、次の式などをもとに算定されることが多いでしょう。

  • 立退料=移転費用+移転先の初期費用+一定期間分の賃料差額

オフィスや事務所の場合には、店舗と異なり移転により常連客が離れるという事情は通常ありません。
そのため、営業補償は考慮されないことが一般的です。
結果的に、月額賃料の2年から3年分程度の立退料となることが多いでしょう。

借家権の買取による立退料の計算方式

建物を借りて使っている場合、入居者には原則として借家権が発生しているといえます。
立退料を算定する際、この借家権に着目し、借家権を金額で評価し、その金額で買い取る計算法も存在します。

借家権の評価方法としては主に4パターンが存在し、それぞれの内容は次のとおりです。

収益還元方式

収益還元方式は、差額賃料還元方式とも呼ばれる評価方法です。
この方式では、移転先の賃料と現在の賃料との差額に着目し、借家権を評価します。

具体的な計算式は、次のとおりです。

  • 借家権=(移転先の賃料-現在の賃料)×複利年金現価率

なお、複利年金現価率とは、現金などを積み立てて複利で一定期間運用していった場合における、最終的な総額の現在価値を求めるための係数です。

実際の差額は月々発生していくわけですが、この差額分がかからずにお金として複利で運用した場合の将来額を計算し、これを今の価値に引き直しています。

割合方式

割合方式とは、不動産の価格に着目して、そこから借主の利用権を求める計算方法です。
借家権の取引慣行がある地域でのみ使用される評価方法です。

具体的には、次の式で算定されます。

  • 借家権=(土地の更地価格×借地権割合×借家権割合)+(建物の自用価格×借家権割合)

借地権割合は30%から90%の間で地域ごとに異なる値が定められています。
その地域の借地権割合は、国税庁が公表している「路線価図・評価倍率表」のホームページから確認することが可能です。

一方、借家権割合は、原則として全国一律で30%とされています。

収益価格控除方式

収益価格控除方式とは、物件を貸していることでその物件の価値が落ちていることに着目し、その価値の下落分を借家権として算定する評価方式です。

具体的には、次の式で算定されます。

  • 借家権=自用としての物件価格-借家としての物件価格

比準方式

比準方式とは、借家権の取引事例に着目した計算方法です。
次の式で算定されます。

  • 借家権=借家権の事例価格×事例と比較した各要因比較

ただし、実際には借家権が単独で売買の対象となることはほとんどなく、そもそも事例価格自体が存在しないことが一般的です。
そのため、実際にこの方式で評価することは現実的ではないでしょう。

立ち退きに関するよくあるトラブルと対処方法

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立ち退きに関するトラブルや、その対処方法をお伝えします。

よくあるトラブルの事例

立ち退きに際するトラブルでよくあるのが、入居者から立ち退きを拒否されてしまうことです。
だからといって、勝手に鍵を変えたり私物を運びだしたりすることは違法です。
さらなるトラブルの原因となりかねませんので、絶対に行わないようにしましょう。

では、入居者から立ち退きを拒否されてしまった場合には、どうすればよいのでしょうか?

まずは、入居者が立ち退きを拒否する理由を聞きだすなどしたうえで、丁寧に交渉をしてみてください。
例えば、転居先が見つかるか不安だということが立ち退きを拒否している理由であれば、転居先を紹介することで同意をしてくれる可能性があります。

また、通っている病院から遠くなるのが困るなど、生活に支障がでるため立ち退きを拒否しているのであれば、要望に沿った転居先を探してあげるのも解決策のひとつでしょう。

他には、なんとなく住み慣れた場所から移るのが不安という場合もあります。
その場合は、転居先を実際に見てもらうことで、これまで住んでいた老朽化した家とは違った魅力に気づいてもらえるかもしれません。
家賃が上がるのが不安ということであれば、一定の期間分の家賃差額を立退料として上乗せする方法もあります。

まずは、このように入居者の不安に寄り添い、落としどころを探ってみましょう。

弁護士による交渉

とはいえ、それでも立ち退き交渉に応じてもらえない場合もあるでしょう。
中には、できるだけ立退料を多くもらおうと粘る人もいないわけではありません。

そのような場合は、ぜひ弁護士へ相談してください。
弁護士が代わりに交渉を行うことで、立ち退きに同意をしてくれる場合もあります。

立退料を支払わなくてよいケース

では、立ち退きを要請するにあたり、立退料を支払わなくてよいのはどのようなケースでしょうか?
典型的な2つのケースをご紹介します。

入居者の契約違反があった場合

立退料が不要となる1つ目のケースは、入居者に契約違反があった場合です。
例えば、何ヶ月も賃料を滞納していたり、勝手に第三者に又貸ししていたり、勝手に改築をしてしまっていたりといった場合を想定するとよいでしょう。

入居者にこのような契約違反があった場合には、解約ではなく、債務不履行による解除が可能と考えられ、その場合は基本的に立退料を支払う必要はありません。

定期借家契約の期間満了の場合

また、退去させたい入居者との賃貸借契約が定期借家契約であれば、原則として立退料は必要ありません。
定期借家契約とは、一般的な普通借家契約と異なって契約の更新がなく、契約期間の満了によって賃貸借関係が終了する借家契約を指します。
期間が満了しても、双方が合意をすれば「再契約」をすることはできますが、賃貸オーナーか入居者のいずれか一方でも再契約を拒否すれば、期間満了で契約が終了します。

こういった特性から、建て替えを計画している賃貸住宅の空室を埋める目的や、計画的に大規模リフォームを行いたいといった目的を持つ賃貸オーナーに活用されています。

定期借家は借地借家法の一部改正により創設され、平成12年3月より施行されています。
また、定期借家契約は、必ず公正証書などの書面によることに加え、あらかじめ「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書等とは別の書面で説明することが必要です。

そのため、定期借家契約である旨の書面の交付がない場合や、平成12年3月以前よりその入居者に貸している建物であれば、定期借家契約ではありません。

立退料を安く抑える方法

貸主の立場からすれば、立退料をできるだけ低く抑えたいと考えるのは自然なことでしょう。

では、立退料をできるだけ安くするためには、どのような対策を取ればよいのでしょうか?

時間的余裕を持って立ち退き交渉を行う

時間的余裕を持って立ち退き交渉を行うことで、立退料を低く抑えられる可能性が高くなります。

そもそも借地借家法の規定により、立ち退き請求は遅くとも6ヶ月前から行うことが必要です。
そのため、遅くとも6ヶ月前、できれば1年ほど前から入居者と話を進めておくことをおすすめします。

早くから話をすることで、入居者は余裕を持って次の物件を探したり引越しの準備をしたりすることが可能となります。

一方、立ち退き請求から立ち退き期限が近ければ、上記の法的に必要な期間に不足することを指摘されたり、入居者は移転の準備も大変となり、より高額な立退料を請求される可能性があります。

転居先の物件を用意する

入居者が高齢である場合などには、移転先の物件を見つけられるかという不安があることから、立ち退きになかなか応じてもらえない可能性があります。

貸主側で転居先の物件のあっせんや紹介をすることで入居者に納得してもらいやすくなり、立退料を低く抑えられる可能性があります。

入居者の少ないタイミングで立ち退き交渉を行う

アパートなどの集合住宅の場合、入居者が少ないタイミングで立ち退き交渉をおこなうことで、全体の立退料を抑えることができます。

立ち退いてもらう人数が多ければ、その分トータルでの立退料が高額となるためです。

そのため、立ち退きの必要性が生じた時点以降は、仮に空室が生じても新規の入居者募集は行わず、ある程度入居者が減った段階で交渉を始めることもありえます。

立ち退き交渉をスムーズにするコツ

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入居者との立ち退き交渉をスムーズに進めるためには、次の点に注意しましょう。

入居者と日ごろから良好な関係を築いておく

立ち退き交渉をスムーズに進める最大のコツは、日ごろから入居者と良好な関係を築いておくことです。
良好な人間関係が築けていれば、貸主側の事情を丁寧に説明することで、立ち退きの必要性に納得してもらえる可能性が高いでしょう。

一方、入居者との関係が希薄であれば、貸主側の事情を入居者に納得してもらうことは容易ではありません。
この場合には、なぜ立ち退く必要があるのかといった事情や、立ち退きに際して立退料を支払うなどの条件をより丁寧に説明して、入居者に理解してもらうことが重要です。

誠意を持って事情を丁寧に説明する

誠意を持って事情を丁寧に説明することも、立ち退き交渉をスムーズに進めるポイントとなります。

入居者の立場で考えれば、自分に非がないにもかかわらずある日突然引越しや移転の必要が生じたと言われても、すぐに納得ができるものではありません。
その場所は入居者にとって生活などの本拠であることが少なくないうえ、引越しには費用や相当な労力が必要となるためです。

貸主としては、入居者のこのような心情を念頭に置いたうえで、誠実に話し合いを進める必要があるでしょう。
仮に「自分が貸主なのだから、自分の状況に応じて立ち退いてもらって当然だ」という態度で交渉に臨めば、入居者も態度を硬化させてしまい、立ち退き交渉が難航する可能性が高いといえます。

早い段階から弁護士へ相談する

立ち退き交渉の必要性が生じたら、早い段階から弁護士へ相談することも、立ち退き交渉をスムーズに進める方法の一つです。

不動産法務に詳しい弁護士は立ち退き交渉の経験が豊富であることも多く、状況に応じた交渉の進め方を熟知しています。
また、立退料が必要な場合も、立退料の相場についてアドバイスをもらうことができるでしょう。

そのため、早期に弁護士へ相談することでスムーズに交渉を進めることができ、かつ個別事情に沿った相場を知ったうえで立退料の提示をすることが可能となります。

慣れない交渉を無理に自分で行い、入居者との関係を悪化させてしまわないためにも、立ち退き交渉の際には弁護士をうまく活用するとよいでしょう。

立ち退きを拒否された場合どうする?

立ち退き請求をしたからといって、スムーズに受け入れてくれる入居者ばかりであるとは限りません。
中には、立ち退きを拒否する入居者もいることでしょう。

この場合にはまず、早期に弁護士へ相談してください。
いったん立ち退きを拒否した入居者に立ち退きに応じてもらうことは容易ではなく、より慎重に対応を進める必要があるためです。

立ち退きを拒否するには、入居者それぞれの理由があります。
弁護士とともに対応方法を検討したうえで、入居者が立ち退きを拒否している理由を検討し、たとえば転居先あっせんや立退料増額の提案などをすることで、立ち退きに応じてもらえる可能性が高くなります。

立ち退き請求に正当事由がある場合には、最終的には訴訟をすることも選択肢に対応を行いましょう。

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まとめ

立退料の支払いは法的な義務ではなく、その金額が法律で定められているわけでもありません。
とはいえ、立退料を支払うことは立ち退き交渉を有利に進めることにつながりますので、「立退料は一切支払わない」という姿勢ではなく、交渉カードの一つとして捉えておくとよいでしょう。

また、最終的に訴訟となった場合には、正当事由の有無が主な争点となります。
そのため、立ち退き交渉が難航しそうだと判断した場合には、交渉がこじれてしまう前に、早めに弁護士へ相談してください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業。一橋大学法科大学院修了。離婚や相続といった家事事件のほか、建物明渡請求を中心とした不動産法務や企業法務など、様々な案件を取り扱う。依頼者の感情の機微まで気を配り、丁寧な対応を心掛けている。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
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