取引先が民事再生手続きを開始

取引先につき民事再生手続きが開始された場合、当該取引先に対する債権を全額回収することは困難ですが、民事再生手続きにおいてどのように対応したらよいかを知っているかどうかで、当該取引先からの回収額に差が生じる可能性があります。
裁判所は、民事再生手続き開始の申立てと同時に、債務者からの申立てに基づき、弁済禁止の保全処分を出すことが一般的です。これにより、債権者は、民事再生手続き開始の申立て日以前の原因に基づき発生した債権につき、原則として、民事再生手続きによらなければ弁済を受けられなくなります。
他方、債権の発生原因が民事再生手続き開始決定以後にある場合、この債権には、原則として、弁済禁止の保全処分の効果が及ばず、再生手続きによらずに弁済を受けることも可能ですし、法律上、全額弁済され得る債権となります。
また、債務者から新たな担保提供を受けるなどの行為は、管財人や監督委員から否認されるおそれがありますので注意が必要です。
民事再生手続き開始決定が出されたら、届出期間内に債権届出をする必要があり、これを怠ると失権することとなります。
しかし、債権届出がなされない場合でも、債務者が債権の存在を知っている場合には、自認債権として認否書に記載されるので、弁済対象にはなります。ただし、自認債権には債権者集会における議決権がなく、また、他の債権に較べて遅い支払時期となります。
また、再生計画案を検討して再生計画案に対する賛否を決定することもできます。民事再生手続きに関する閲覧謄写請求や、債権者説明会などを通じて情報収集を行った上で決定します。再生の見込みの有無の判断のポイントとしては、①債務者の破綻の原因を除去することができるか、②大口の債権者や金融機関などの支援が得られるか、③再生によれば清算の場合と比べ有利な弁済が見込めるか、④債権者説明会や債権者集会において、①ないし②に関する明確な回答があるか、というものが挙げられます。

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