取引先が破産手続きを開始

ある日突然、取引先(もしくはその代理人弁護士)から、破産手続きや、民事再生手続きや、会社更生手続きを申立てたとの内容が記載された書面が送られてきたら、皆さん驚いてしまいますよね。
倒産手続きは、裁判所に申し立てる前に、関係者にばれてしまうと、取り付け騒ぎや、債権者が押し掛けてくるなどの混乱が生じてしまうため、基本的には、関係者に内緒で準備を開始し、申立てを行います。
そして、破産手続き等の、裁判所の管理下で行われる倒産手続きにおいては、債権者は、原則として、その時点の債務者の資産に応じて、按分弁済を受けるしかありません。按分弁済とは、例えば、債権者5名、債務の総額が1億円で、資産が2000万円の場合、この2000万円を、それぞれの債権の金額に応じて配分することをいいます。自身の債権額に、2000万円を1億円で除した20%(配当率といいます。)を乗じた金額が配当されることになります。したがって、1000万円の債権を有する債権者は、その20%である200万円の配当をうけることになります。
しかし、破産手続きの場合では、実際の配当率は、5%もないことが多く、配当すらない場合もあります。
ただし、担保権を有している債権者などは、この破産手続きとは別に、担保の目的物から優先的に回収をすることができ、それでも債権が残る場合には、破産手続き内で配当を受けることができるなど、倒産手続き上、いろいろな制度が設けられておりますので、取引先が倒産したからといって、債権回収を諦めてしまうのではなく、一度、弁護士に相談して、何か対応策をとることができないか検討してもいいでしょう。

取引先が破産した場合、債権者は、原則として、債務者の資産から債権額に応じて按分で配当を受けられるに過ぎず、そのために債権届出をする必要があります。破産手続きとは、債務者の資産を債権者に平等に配当する手続きですから、抜け駆け的な債権回収は許されません。仮に、取引先から優先的に弁済を受けたとしても、破産管財人から、当該行為につき否認権を行使されてしまいますし、罰則を受けるおそれもあるため、注意が必要です。
しかし、破産手続きに拘束されない債権もあります。そこで、破産手続きに拘束されない債権の存在を把握することが必要です。
破産手続き中においても、個別財産について担保権を有する担保権者は、原則として自由にその権利を行使することができます。取引先が所有する不動産に抵当権を設定している場合には、その実行を裁判所に申し立て、売却代金から優先的に弁済を受けるような場合が例として挙げられます。
このような権利を別除権といい、当事者の契約に基づく約定担保物権である、抵当権、質権、譲渡担保権、所有権留保があり、契約ではなく法律上当然に発生する法定担保物権である、先取特権、商事留置権があります。
また、破産手続き開始前に破産者に対する債権と破産者に対する債務とが対立状態にある場合には、原則として、自由に相殺することが可能であり、実質的に債権を回収することができます。

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