逮捕に関するよくある質問

逮捕に関するよくある質問

逮捕されてしまった場合、どうなりますか?

民事事件とは私人と私人が権利や法律に関する争いを起こすものですが、これに対して刑事事件とは、国が「犯罪を起こしたと疑われる者」を捜査し、本当に犯罪が行われたかどうか、行われていた場合はどのような刑罰を与えるのかを決める事件です。

犯罪(と思われる事件)が発生し、警察がそれを110番通報などで察知した場合、警察は捜査を開始します。

警察は事件を捜査し、犯罪性があると思われる場合は犯人を特定して逮捕します。この際、被疑者は身に覚えがなくても警官に異議を申し立てることはできません。逮捕後48時間以内に、事件は警察から検察官に引き継がれ、被疑者の身柄も検察官に送致されます(これを送検といいます)。留置や勾留の必要がないと判断された場合はすぐに釈放となりますが、そうでなければ3日間、被疑者は身柄を拘束されます。
そして勾留請求を受けた裁判官が「勾留が必要」と判断すれば10日間、さらに「もっと時間が必要だ」と認められた場合にはプラス10日間、勾留が延長されます。

逮捕されてしまったときに、すぐ弁護士を立てる方がよいのはなぜですか?

逮捕から勾留までの期間は、たとえ家族といえども自由に面会することができません。
できたとしても警察官の立ち会いのもと一日一回だけ、面会時間も20分程度と短いものですから、あまり多くの話をすることができません。

こうした状況が被疑者本人に与える影響は、計り知れないほど大きなものがあります。
何より精神的なダメージは非常に重く、不安で押しつぶされそうな感覚に陥りがちです。
そのため自分に不利な供述をしてしまうこともあるでしょう。
そんな状況を避けるためにも、逮捕直後から弁護士を選任し、本人の不利益回避に動くことが重要になるのです。

弁護士は、逮捕直後であっても親族とは異なり被疑者に接見することができます。
土日祝日や夜間など、面会時間外であっても接見ができますし、時間や回数の制限もありません。
警察官が立ち会うこともないのです。
これは拘束されている被疑者にとっては、非常に大きな心の支えとなります。

被疑者は自由を拘束されたまま、外部の情報から遮断された状態に置かれています。
ですから弁護士を通じて得られる情報、例えば家族からの伝言、周囲の人々がどのように動いているか、勤務先にはどのように話しているかといったことを聞くことで、不安を解消することができるのです。

また弁護士は法の専門家として、今後の展開について説明することができますし、取り調べや供述調書についての知識を与え、不利益な言動をしないよう、指導することもできます。

勾留されている施設によって違いはありますが、物品や現金の差し入れも可能です。
家族の写真や手書きの手紙などを差し入れてもらえば、被疑者本人にとっては大きな力になるでしょう。

さらに状況によっては、勾留の取り消しや延長の却下を求めて、裁判官に働きかけることもできます。
それによって早期に釈放されれば、本人の心身のダメージを軽くすることにもつながります。

釈放までの流れを教えてください。

警察は事件を捜査し、犯罪性があると思われる場合は犯人を特定して逮捕します。この際、被疑者は身に覚えがなくても警官に異議を申し立てることはできません。逮捕後48時間以内に、事件は警察から検察官に引き継がれ、被疑者の身柄も検察官に送致されます(これを送検といいます)。もし逮捕が不適当であったと判明した場合はこの時点で釈放されます。

よく映画やテレビドラマなどで、警察に逮捕された犯人が「弁護士を呼べ!」などと叫んでいるシーンを見かけますが、送検前の被疑者と接見(面会)できるのは原則弁護士だけとされています。この際の弁護士の役割は、被疑者に認められた権利や今後の手続きについての流れを説明し、事実を確認したうえで「どのような姿勢で取り調べに応じるか」といった助言を与えることです。

検察官は送検後24時間以内に勾留請求するか釈放するかを決定しなくてはなりません。事件が軽微なもの、あるいは誤解によるようなものである場合は釈放されますが、釈放すると証拠隠滅や逃亡するおそれがあると判断された被疑者は勾留され、最長で逮捕から23日間の身柄拘束を受けることになります。

この時点で「証拠隠滅や逃亡のおそれはない」ということを主張し、十分な証拠を検察官や裁判所に提示すれば、勾留を回避したり早期の釈放を求めたりすることも可能でしょう。ただしこうした交渉は当事者である被疑者には難しく、実際には弁護士の役目となります。

起訴された場合の流れを教えてください。

検察官は勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを決定します。
不起訴とは「事件が犯罪にあたらない」「被疑者は犯人ではない」「犯罪の成立を認める十分な証拠がない」などの理由から検察官が起訴を見送ることです。不起訴であれば、被疑者は犯罪者でないことが認められたことになります。このため弁護士は意見書を提出したり被害者と示談交渉を行ったりと、不起訴を目指して最大限の努力をします。
検察官が起訴に踏み切ると、いよいよ舞台は裁判所に移ります。公判請求の場合は法廷で刑事裁判を受けることになり、仮に被疑者が無罪となっても、裁判中は長期間にわたって身柄が拘束されます。公判で有罪か無罪かが決まり、有罪となった場合は刑罰の内容が判決で言いわたされます。

なお、この段階でも弁護士の活躍により刑罰を軽微なものにしたり、あるいは執行猶予を勝ち取ったりという可能性は残されています。刑事事件の被疑者となってしまった場合、できるだけ早く弁護士の助力を得るようにしましょう。

執行猶予とは何ですか?

執行猶予とはその名の通り、刑の執行を一時的に猶予する、という意味です。

たとえば「懲役3年・執行猶予5年」という場合、刑の言い渡しを受けてから5年間、罪を犯すことなく過ごしたならば、この刑の言い渡しそのものが無効となり、懲役に行かなくても良い、ということになります。
ただし、執行猶予期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはならなくなります。

執行猶予は「前科がない」「3年以下の懲役もしくは禁固、又は50万円以下の罰金刑」のときに罪状に応じて勘案され、言い渡されます。
ですから犯した罪の内容によっては、執行猶予が付かない場合もあります。

また、執行猶予はあくまでも「刑の猶予」であり、刑そのものが消えるわけではありません。
猶予期間を満了しても、宣告された刑そのものが消えるわけではありませんから執行猶予付きの判決が出たとしても、それは「前科」として残ります。

そのため履歴書を書くときには、賞罰の項目にその旨を記載しなくてはなりませんが、執行猶予なしの実刑に比べると、刑務所に行かずに済みますし、いくつかの職業に就けないなどの制約はあるものの、一般的な社会生活を送ることができます。

万が一、何らかの犯罪を犯し、起訴されたなら、裁判では執行猶予の獲得を目指した弁護活動が重要になります。

なぜ執行猶予という制度はあるのですか?

執行猶予は本人の更生を促す制度です。

人のものを壊したり、あるいは人を傷つけたりしたならば、当然その償いはしなくてはなりません。
壊したものと同じものを弁償したり、ケガの治療費や慰謝料を支払ったりと、その償いは通常、相手にお金を支払うことで行われます。 これが民事上の損害賠償です。
それとは別に、社会のルールを破ったことに対する社会的な制裁が課されます。 これが刑事上の刑罰です。
刑事罰はいわば警告としての機能があり、社会のルールを破るとどうなるかを明らかにし、他の人々が同じような罪を犯さないようにする犯罪予防の目的があります。

その一方で、罪を犯したことを反省している人間に対しては、その更生を妨げるおそれもあります。
犯罪に対する刑罰というのは、古くから「懲らしめ」のために行われてきましたが、近代に入ってからは、本人の反省を促し、二度と過ちを犯さないように更生の道を開く、という考え方に重きが置かれるようになってきました。
そうした刑罰に対する考え方の変化の中から、執行猶予という制度が生まれました。
日本では明治時代の終わり頃に導入され、少しずつ改善されながら現在の形に落ち着いています。

執行猶予が付く・付かないの基準はありますか?

前科のない初犯の場合は執行猶予付きの判決が出ることが多いです。

ただし罪の内容と本人の反省の度合いなどによって異なりますので「初犯ならば執行猶予が付く」というものでもありません。
執行猶予が付くかどうかは、さまざまな要素を勘案して判断されるものだからです。

その「さまざまな要素」とは、どのようなものでしょうか?
犯罪行為の内容が悪質なものかどうか、前科はないか、被害の弁償や示談は成立しているか、被害者の処罰感情はどうか、本人の反省など再犯防止の度合いはどうか…このような要素が勘案されます。

「街中でケンカをして相手を殴り、ケガを負わせた」という事例であれば、発端は何だったのか、どのような経緯でケンカに発展したのか、素手か、あるいは何らかの凶器を使ったのか…など、これらのことが「犯罪行為の内容」にあたり、それが悪質なものかどうか検討され判断されます。

このように、執行猶予が付くかどうかは個々の案件とその内容によって大きく変わりますので、「こうした場合は執行猶予」と機械的に判断することができません。
ですが起訴された本人にとっては、執行猶予が付くかどうかでその後の生活は大きく変わります。

犯罪を犯してしまったなら早急に弁護人を選任し、不起訴、それが無理ならば執行猶予の獲得を目指してください。

刑事事件における示談とはどのような手段ですか?

「示談」とは、傷害や強制わいせつなどの「被害者がいる刑事事件」で、被害者と加害者が話し合いによって事件を解決する手段です。示談の成立のために加害者が被害者に対して金銭を支払って損害賠償し、和解に至るなどの方法がよくとられます。

被害者のいる事件では、被害者が警察または検察官に対して被害届や告訴状を提出することにより「刑事事件」として認められる場合があります。

刑事事件は民事事件と異なり、当事者同士の和解によって問題を解決することはできません。しかし「そもそも刑事事件として認められない」とするならば検察からの起訴も行われず、当然裁判も行われないことになります。このため、もし事件が親告罪(告訴がなければ起訴ができない犯罪)の場合、示談によって被害者の許しを得られ、告訴状を取り下げてもらえることができれば起訴は避けられます。

また、検察が起訴・不起訴あるいは起訴猶予のいずれかを決定する際にも示談の成立は大きな影響を与えます。検察は被害の大きさや加害者の反省状況など総合的な状況から起訴・不起訴を決定するため、親告罪でない場合でも不起訴処分になる可能性が大幅に高められるのです。

示談が成立すると、どのようなメリットがありますか?

加害者が身柄を勾留されている間に示談が成立すれば、起訴されても保釈(拘置所からの解放)が認められる可能性が高くなります。

仮に示談交渉が長引き、裁判所で審判を受けることになっても示談をあきらめるべきではありません。裁判官が判決をくだす際、示談の成立は被告人(加害者)によって非常に有利な事情として認められ、量刑を軽減してもらえる可能性が高いからです。裁判所が量刑を決定する際に示談が成立していれば、本来実刑判決がくだされるところが執行猶予で済む可能性も考えられます。

示談金に相場はありますか?

示談の成立は被害者側の意思で決定します。
例えば、弁護士が「このような被害の場合、示談は示談金○○円くらいで成立しています」といった相場を提示したとしても、被害者側がそれに納得しなければ示談は成立しません。「お金で解決しようとしている」「誠意が感じられない」などと言われればそれまでですし、「世間がなんと言おうと、○○円はもらわなくては損害賠償してもらったことにならない」と主張する被害者もいるかもしれません。そういう意味では「示談金に相場はない」ということになります。

ただし、被害者側が原則として示談に応じる姿勢をみせ、示談金の交渉を行う段階までくれば、交渉にあたる弁護士などが「このような被害状況であれば、示談金はこれぐらいが妥当かと思われますがいかがですか?」と打診してみる金額には一応の相場があります。

とはいえ、例えば「痴漢行為」の場合でも、「迷惑防止条例違反」相当なのか「強制わいせつ罪」が成立しそうなのか、といった状況によって相場は大きく違ってきます。一律に「痴漢行為=およそ○○万円」などといった相場金額は頭に入れず、弁護士と相談して判断するべきでしょう。

示談成立のために気をつけるべきことはありますか?

刑事事件における示談には段階的に「そもそも刑事事件にしない」「不起訴とする」「量刑を軽減する」といったメリットがあり、加害者側はできるだけ早い段階で示談を成立させておきたいものです。

ただし、示談成立の可否は被害者側の意思ひとつにかかっています。単に相場以上の示談金を提示すればうまくまとまるといったものではありません。深い反省の色をみせ、誠意を持って最大限の償いをさせていただくといった姿勢で交渉にあたってください。

また示談を急ぐあまり、事件発生直後から当事者(加害者の家族など)が直接、しつこく示談を求めるといった姿勢は感心しません。「申し訳ないことをしたなどという反省はなく、ただ罪を軽くしたい一心なのか」と反感を持たれる可能性が高いでしょう。そういう意味では、示談交渉はこうした交渉の経験が豊富な弁護士などを代理に立てたほうが安心ではないでしょうか。

示談交渉を弁護士に依頼するメリットは何ですか?

被疑者から依頼を受けた弁護士は、検察官や裁判官にアプローチする一方、示談交渉のために被害者への働きかけも行います。
ただ、交渉がうまくいくかどうかは被害者側の感情によるところが大きく、ケースバイケースになります。

もともと友人同士や同僚といった間柄でのトラブルなら、一時的な感情の高ぶりはあったとしても、冷静に説得すれば話は通じるものです。ことの発端がささいな言葉の食い違いや思い違いであったなら、円満に解決することも難しくないでしょう。

事件前からお互いに何らかの確執があって、それがある日突然爆発してしまったとなると少し複雑になります。
事件そのものの解決はもちろんですが、その要因となった確執を解消する努力もする必要があるからです。

また、さほど親しくない間柄で起こったことであれば、解決の難易度は少々高くなるかもしれません。
被害者としては「理不尽な暴力を振るわれた」という意識が強いでしょうし、そうした感情を解きほぐさなくては示談に持ち込むことはできないでしょう。

どのような場合でも、弁護士に任せることが解決の早道になります。

弁護士は法の専門家であるとともに「交渉のプロ」です。
双方の言い分をしっかりと聞き、公平かつ冷静な判断で、お互いの納得のいく着地点を探ることができます。

当事者同士が話し合うと、感情の高ぶりが再び起きるなどして、なかなか解決に至らないことにもなりがちですが、弁護士ならば、そうした心配もありません。弁護士を依頼することの大きなメリットのひとつです。

「前科が“つく”」とは具体的にはどのような状態をいいますか?

刑事事件で有罪の判決を受けた人は検察庁の「前科調書」というものに記載されることになっています。この前科調書に犯罪歴を記載されてしまうと、もう生涯取り消すことはできません。このような状態を「前科がつく」といいます。 ただし、前科については戸籍謄本や住民票などに記載されることはなく、一般に公開したり、個人からの照会が認められたりすることはありません。

前科調書をはじめ、警察組織や各自治体が持つ犯歴管理に関するデータベースには興信所の探偵などはアクセスできませんし、弁護士であっても「前科等の有無が訴訟等の重要な争点となっていて、ほかに立証方法がないような特別な場合」を除いては照会できないことになっています。ですから前科がついたからといって日常生活やプライバシーを大きく侵害されることはありません。

前科がつくとどのようなデメリットがありますか?

・別の刑事裁判に巻き込まれた場合に、悪い印象となる
前科がつくことはやはり本人のプラスにはなりません。たとえば将来、別の刑事裁判に巻き込まれた場合、捜査の段階で検察や裁判所に「前科調書」を調べられ、前科があることによって悪い印象を与えてしまい、判決が不利に働く可能性も考えられるでしょう。

・就職の制限が制限されたり、資格取得ができない可能性がある
公認会計士、医師、教職員、公務員(警官や自衛隊員を含む)、社会福祉士など多くの職業では前科が欠格事由となり、採用・就職が制限されたり、資格取得ができなくなったりする可能性もあります。 
これらの欠格事由の調査にあたっては前科調書や犯罪人名簿(各自治体が保管する名簿で、前科調書から交通犯罪を除いたもの。ただし一定期間が経過すると記録が抹消される)などが照会されることになります。また同様に、選挙権・被選挙権の有無や叙勲などの候補者資格を確認する際にも同様の照会が行われる場合があります。

・社会的信用を失ってしまう可能性がある
法律関連というよりは社会的慣習で、懲役刑・禁錮刑などの実刑や執行猶予付き判決を受けた人に対して「犯罪歴のある要注意人物」という意味を含めて「前科がある人」というような言い方をします。
興信所などが信用調査をした場合、前科調書などを照会することはできなくても、新聞報道やインターネット情報などから過去の犯罪歴を調べることは可能です。この際に前科があることが判明すれば、調査報告書にはその旨が記載されてしまう可能性があります。

前科をつけないための最善の方法は何ですか?

刑事事件への関与を疑われても、検察の段階で不起訴または嫌疑不十分や起訴猶予となれば裁判は行われず、前科はつきません。一方で、日本において起訴された場合の有罪率は99.9%とされています。

つまり起訴される=前科がつくといえるでしょう。そのため、前科をつけないためにはあらゆる弁明や証明の機会を活用して検察に働きかけ、不起訴に持ち込むことが最善の方法です。

しかし、法律の専門知識を持たない人が不起訴を求めたり無罪を主張したりしても、法律の専門家たちを相手に十分こちらの主張を理解してもらうことは困難でしょう。そこで、どのような方法なら前科がつくことを避けられるかという戦略を練るためにも、法律の専門家である弁護士を味方につけることは非常に重要ではないでしょうか。

家族が逮捕されてしまいました。どうなりますか?

誤解されやすいところですが、何らかの事件を起こして、あるいは起こしたと判断されて、「逮捕」され、警察沙汰になったとしても、全ての人が留置場に入れられるわけではありません。

ですが長期の懲役刑に該当するような罪を犯した、あるいは犯したと疑われる場合などは、一般的に身柄を拘束する必要がありますのでそのまま被疑者として留置場に入れられることが多いでしょう。

では、逮捕されたあとはどうなるのでしょうか?

逮捕により身柄を拘束されると、決められた逮捕期間の中で警察による取り調べが行われます。
警察官による身柄拘束期間は最大48時間ですので、この時間内に取り調べを終え、犯罪の嫌疑が濃厚であれば検察官に送致されることになります。
その後検察官は取り調べの結果等をもとに、被疑者を釈放するかどうかを24時間以内に判断します。

もしも逃亡や証拠隠滅の恐れがあるなどと判断された場合には、引き続き被疑者の身柄を拘束します。これが「勾留」です。
なお勾留は検察官が裁判官に勾留請求を出し、それが認められて初めて可能になります。

勾留期間は10日間ですが、その間に取り調べを完了することができないなど、やむを得ない場合には検察官は勾留延長を裁判官に請求できます。それが認められると、勾留期間がさらに10日間延長されます。
検察官はこの間に取り調べを済ませ、起訴するかどうかを判断します。

家族が逮捕されてしまったとき、何かできることはありますか?

一度逮捕されてしまうと、勾留期間も含めて最長で3週間近くも身柄を拘束されてしまうことになります。

ごく一般的な人々にとって、これは非常に大きなストレスでしょう。
留置場の環境は向上しているとはいうものの、やはり自宅とはまったく違いますから心身へのダメージはとても大きいものです。

また、逮捕されて留置中の48時間は、家族であってもほぼ面会はできません。もちろんメールや電話などもNGです。
そのため「家族は心配しているだろうな」「いきなり会社に行けなくなって、同僚たちはどう思っているだろうか」など、そんなことばかり考えるようになり、精神的にまいってしまいます。

結果として、取り調べにおいて「すべて自分が悪い」というような発言をしたり、事実と異なる供述をしてしまったりということが、実際に起きてしまいます。

勾留期間は接見禁止が付いている場合を除き、弁護人以外も面会ができますが、それも「被疑者1人あたり一日1回30分程度」という制限付きです。決して自由に面会できるわけではありません。

ですが早期に弁護人を選任すれば、こうした本人の負荷をかなり軽減することができます。
逮捕された本人のために家族ができることは「1分でも早く弁護士に依頼すること」、これに尽きます。

1分でも早く弁護士に依頼することのメリットは、何ですか?

弁護人は家族も面会できない身柄拘束期間であっても、立会人なしで本人と自由に接見できます。

会社の状況を知らせたり、家族からのメッセージなどを託すこともできます。
更に支障がなければ身の回りの品を差し入れることもできますから、弱りがちな本人を励まし、安心させることができます。

また、今後の展開や取り調べへの対応など、専門的な知識や情報を伝えることもできますから、本人にとってはとても心強い支えとなるでしょう。
同時に、弁護人は本人の心の状態や、本人に逃亡・証拠隠滅の意思がないことなどを検察官に訴え、勾留請求をしないよう働きかけることができます。

もしも検察官が、弁護士の要請を聞き入れて勾留請求をしなければ、身柄の拘束は72時間以内に終了し、自宅に戻ることもできます。

また勾留されたとしても、その後の延長をやめさせるように働きかけるなど、本人の心身のダメージを軽くするさまざまな働きかけを行うことができます。
さらに弁護人には、そうすべき根拠を列挙したうえで、検察官に起訴を思いとどまるよう説得することもできます。

日本の司法では、起訴されると99%以上が有罪判決となりますから、それを回避するためには「不起訴」に持ち込むのが一番確実なのです。

このように、逮捕・勾留されている被疑者のために、弁護人ができることは多々あります。
ですがそれも、家族による迅速な行動があればこそのことです。

もしもの時には1分でも早く、弁護士に連絡をとることを強くおすすめします。

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