コラム

公開 2021.10.15 更新 2023.01.30

溜まった未払い残業代を社員との交渉の末、予算の7割の支払いに抑え合意

溜まった未払い残業代を社員との交渉の末、予算の6割の支払いに抑え合意

長らく続いていた残業代の未払い。ひとりの社員がSNSで発信しマスコミにも知られてしまいました。
社員との緊張関係を打破し、残業代の精算条項を含めた取り交わしと適正な金額の支払いに向けて弁護士が幅広くサポート。
未払い残業代の精算から、記者会見の支援まで行いました。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、大阪市立大学法科大学院修了。法律事務所オーセンス入所から、ベンチャー法務を担当し、現在では、HRTech(HRテック)ベンチャー法務、芸能・エンタメ・インフルエンサー法務、スポーツ団体法務等を中心に担当。上場企業をはじめとした日本国内外に成長を求める企業のM&A支援にも積極的に取り組む。
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ご相談までの経緯・背景

ご依頼いただいたA社では、長らく残業代の未払いが続いていました。
そのことが社内で問題となり、社員対経営陣の対立へと発展してしまっただけでなく、ひとりの社員がSNSで社外に発信。マスコミにも知られる事態となってしまいました。

また、A社の経営陣が社員とコミュニケーションを取っていく中で、いつしか社員内に意見を取りまとめる「従業員代表」のような存在の方が生まれていました。

未払いだった残業代の支払いのための話し合いを社員と進めたくても、この「代表」が強硬な意見を譲らず、A社と社員との交渉は平行線のまま。解決の糸口も見えない状況でした。
社内外で問題が噴出したA社は、自社だけで事態を収拾するのは不可能と判断。当所へご相談にお見えになりました。

解決までの流れ

A社は弁護士である私に対して、

  • キーマンとなっていた「従業員代表」との緊張関係の打破
  • 社員の皆さんと残業代の清算条項を含めた取り交わしをしたい
  • 未払い残業代に関しては、精査した上で適正な金額を支払いたい

といった点を期待されていました。
これらを解決するために、まずは「従業員代表」と目されていた方に外れていただくことにしました。
代表として社員の意見を取りまとめていらっしゃいましたが、法的にはその方は窓口にはなりえず、勝手にそのように振る舞っているだけでした。

このケースでは、会社と社員一人ひとりが1対1で話し合いをするべき状況であることを社員の皆さんにご説明し、個別に残業代の処理を行えるように整えました。
次に、A社と社員が個別に未払い残業代の支払いについて話し合う場を設け、その場に弁護士である私も同席しました。

対立関係にあるA社と社員の話し合いの場に、第三者であり高い職業倫理を持っている弁護士が入ることで、会社側の説明や内容について理解をしてくれるようになりました。
証拠の有無や社員の置かれている状況、A社の経営状況などを、適切なタイミング、適切な伝え方で社員の方々にインストールしていくことで、「このへんで折れようかな」という譲歩に向けた雰囲気を醸成していきました。
社員の皆さんがA社経営陣の話に耳を傾けられる環境を構築した後は、勤続年数や賃金を基準に、支払うべき未払い残業代を試算し、個別に「あなたはこの金額です」と提示。
納得いただいた方から順番にサインをしていただきました。

最後に残ったのは、従業員代表としてA社と交渉をしていた社員の方です。
彼を説得するために、私はA社側の弁護士ではありますが、中立性の高いポジションを保って交渉を続けました。
A社経営陣の言葉に揚げ足を取ったり、重箱の隅をつつくような発言をしたりしていましたが、その都度、「お気持ちはわかりますが、法律的にはこうです」「裁判ではこのような判例が出ています」等、専門家としてのアドバイスを続け、要求水準を下げていくよう誘導しました。
結果、A社経営陣の提示した金額で合意。引き続き、会社のために尽力することで双方納得する結果となりました。

また、社員のひとりがこのトラブルをSNSで発信。マスコミに報じられたことで記者会見を開くことになり、その支援も行いました。
炎上を抑えつつ、個別の労働問題の解決に支障がないように余計なことは言わない。そのようなシナリオを構築し、経営陣とシェア。無事、記者会見を終えることができ、炎上も防げました。
未払い残業代に関しては、適正な処理と話し合いをした結果、当初想定していた総額の7割程度の支払いで解決できました。

弁護士へご相談可能な時間帯
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00

結果・解決ポイント

経営陣と社員、当事者同士の話し合いでは、まず「感情」が表に出てしまい、なかなか本筋の解決へと話が進みません。
第三者である弁護士が間に入ることで、感情のしこりをまずは解消し、具体的な解決に向けての話し合いを進めることができました。
また、経営陣と社員との個別の話し合いにも弁護士が同席することで、互いに争うこともなく、スムーズに交渉できたと大変感謝していただきました。

未払い残業代の問題を抱える企業は多いかと思います。
そのまま問題を潜在させていては、いつか顕在化したときに大問題へと発展してしまう可能性があります。
問題解決のためのプランニングから、社員との交渉まで、幅広くサポートさせていただきますので、まずは一度、ご相談にお見えになってください。

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