コラム

公開 2022.06.21

社員が逮捕され、マスコミにも報道されてしまった。企業がとるべき対応とは?

社員が逮捕され、マスコミにも報道されてしまった。企業がとるべき対応とは?

社員が逮捕され、マスコミに、当該社員が所属する企業名が報道されてしまうと、企業へも影響が及ぶこととなりかねません。
万が一このような企業不祥事が起きた場合、企業はどのように対処すればよいのか、社員の逮捕に対する企業の対応方法などについて弁護士がわかりやすく解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
一橋大学法学部法律学科卒業。元裁判官。企業法務、M&A、労働法、事業承継、倒産法(事業再生含む)等、企業に係わる幅広い分野を中心とした法律問題に取り組む。弁護士としてだけでなく、裁判官としてこれまで携わった数多くの案件実績や、中小企業のみならず、大企業や公的企業からの依頼を受けた経験と実績を活かし、企業組織の課題を解決する多面的かつ実践的なアドバイスを提供している。

社員の逮捕がマスコミに報道されると企業にどのような影響が及ぶ?

自社の社員が逮捕されてマスコミに報道されてしまった場合、雇用主である企業にはどのような影響が及ぶのでしょうか?
はじめに、考えられる企業への影響を4つ紹介します。

顧客などからの問い合わせ対応に忙殺される

社員が逮捕されマスコミで大々的に報道をされてしまうと、他のマスコミ、顧客、取引先等、さまざまな関係者から企業に対して問い合わせが入ることとなります。

問い合わせは、新聞社や週刊誌などからの取材依頼のほか、顧客や取引先からの問い合わせなど多様となることでしょう。
逮捕された理由や報道の内容によっては、関係者以外でも、面白半分での問い合わせや嫌がらせのような連絡などが混じる場合もあります。

企業としては、急増するこれらの問い合わせへの対応体制を整えなければなりません。
問い合わせへの対応で忙殺されたり、電話回線が常に混雑したりすることで、通常業務へ影響が及ぶ可能性もあるでしょう。

企業イメージが毀損する

特に社員が逮捕された理由が個人的な事件ではなく、企業にも関連するものである場合には、企業イメージが毀損してしまうリスクがあります。
SMBC日興証券株式会社(以下、SMBC日興証券)の相場操縦事件のように、企業ぐるみの関与が疑われる場合にはもちろん、たとえば社員の個人的な犯行の場合であっても、企業の役員や、部長等、企業の重要なポストに就いている者が逮捕されるケースなどでは、企業イメージへの影響は避けられないでしょう。

事件の態様によっては、企業の管理体制の不備が問題視される可能性もあります。

株価や業績が低迷する

社員の逮捕により企業イメージが毀損した場合には、企業の株価や業績にまで影響が及ぶ可能性が否定できません。
株価や業績へどれほどの影響が及ぶのかは、企業の手掛ける業務内容と社員が逮捕された事件との関連性や企業の対応方法など、さまざまな要因により大きく異なります。

社員の退職が増える

社員が逮捕された事件の内容や企業の業績などへの影響の大きさによっては、社員の退職が増えたり、採用活動に影響が及んだりする可能性があります。

企業自体も捜査対象となる

上記のSMBC日興証券相場操縦事件では、社員だけでなく、企業自体も、証券取引等監視委員会から、東京地方検察庁に告発されており、起訴までされています。
このように、事件内容によっては、企業自体も捜査の対象となり、裁判で有罪判決が下されれば、罰金刑が科されたり、事業に必要な許可等が取り消されたりする可能性もあります。

社員が逮捕されマスコミ報道された際に企業が取るべき行動

万が一社員が逮捕されてマスコミに報道されてしまった場合、企業はどのような対応を取るべきでしょうか?
企業が取るべき主な対応は、次の4点です。

事実関係をよく確認する

はじめに、逮捕された事件に関する事実関係をよく確認しましょう。
事実関係を確認することなく憶測で対応を進めてしまえば、いざその憶測が誤っていた際に企業の信頼が低下し、業績などへ悪影響が及ぶ可能性が高くなってしまうためです。

また、報道内容に明らかな誤解があったり、事実とは異なる内容が報道されていたりする場合などは、誤った情報が無限に広まってしまうことのないよう、早期に厳正な対処をすべきでしょう。

企業や他の社員の関与可能性を調査する

社員が逮捕された事件の態様が、SMBC日興証券の相場操縦事件のように個人的な犯罪ではなく、企業不祥事に関係するものである場合には特に慎重な対応が必要です。

この場合には、他の社員の関与可能性や、組織的な犯行であったかどうかなど、より慎重に事実関係を確認しなければなりません。
このような場合には、内部調査で済ませるのではなく、弁護士等の外部有識者等から構成される第三者委員会を組成し、調査を依頼することが望ましいといえます。

顧問弁護士等に連絡をする

社員が逮捕されてしまったら、できるだけ早期に顧問弁護士など信頼できる弁護士へ連絡しましょう。
弁護士へ相談することによって、企業がとるべき行動や問い合わせへの対応方法などについて、事件の態様や企業の状況に合わせて、より具体的なアドバイスをもらうことができるからです。

また、逮捕された従業員の今後の処分についても相談しておくとよいでしょう。

メディア対応を慎重かつ早急に検討する

マスコミに社員の逮捕が報道されてしまった場合には、企業としても何らかのメディア対応をすることは避けられないでしょう。

対応方法としては、記者会見の開催から新聞などへの謝罪広告の掲載、自社ホームページへの掲載、SNSへの掲載までさまざまな方法が考えられます。

どのような方法で対応を行うことが適切であるのかは、逮捕された事件の態様や社会的影響の大きさなどにより異なり、一律に論じられるものではありません。
対応方法を誤れば、いわゆる炎上状態となるリスクがありますので、対応方法についても慎重に検討する必要があります。

被害者がいる場合には、被害者対応を検討する

例えば、社員が、業務中に社用車を運転中に交通事故を起こして、逮捕されてしまった場合等、被害者が存在し、企業にも責任が認められ得る場合には、その被害者に対する謝罪や、損害賠償等の対応を慎重に検討する必要があります。
この対応を間違えると、いわゆるレピュテーションリスクは避けられないといえるでしょう。被害者の身体的、精神的苦痛を少しでも慰謝できるような誠意のこもった対応が基本となります。

逮捕された社員に対して企業が取り得る対応

社員が逮捕されて企業に影響が及んだ場合、逮捕された社員に対してはどのような対応を取ることができるのでしょうか?
主な対応策は、解雇などの処分と損害賠償請求の2点です。

なお、これらはいずれかを選択すべきということではなく、両方の対応を取ることも可能です。
むしろ、懲戒解雇が認められる事案であれば、損害賠償請求が認められる可能性も高くなるでしょう。

解雇などの処分を行う

社員が逮捕されてマスコミに報道されてしまった場合には、就業規則に基づき、処分するか否かを検討することとなります。

ただし、日本の法律において企業が一方的に社員を辞めさせる懲戒解雇のハードルは、非常に高いものとなっています。
犯罪の内容などによっては懲戒解雇が不当とされ、むしろ企業側が損害賠償請求をなされる可能性が否定できません。

そのため、懲戒解雇などの処分を検討する場合には、あらかじめ弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

損害賠償請求をする

社員の逮捕やマスコミへの報道により企業に影響が及んだ場合には、逮捕された社員に対する損害賠償請求を検討することができます。
ただし、損害賠償請求したからといって、その請求が必ずしも認められるわけではありません。

企業側が、具体的にどのような損害が発生したのかを証明しなければならず、社員が罪を犯したことにより、その損害が発生したという因果関係も証明する必要があります。
例えば、風評被害による売り上げの低下を損害として主張する場合、社員の犯罪→社員の逮捕→マスコミによる報道→顧客離れ→売り上げの低下という因果の流れをたどることになりますが、このすべてを主張・立証しなければなりません。顧客離れや、売上の低下が、本当に、社員の逮捕や、マスコミによる報道の影響なのかどうかという点は、非常に立証が難しいです。
また、社員の犯した罪が軽微である場合や企業へさほど影響が及んでいないと判断された場合などには、企業からの損害賠償請求が認められる可能性は低いでしょう。

そのため、逮捕された従業員への損害賠償請求を検討する際には、事前に弁護士へ相談してください。
相談をすることで、損害賠償請求が認められる可能性があるかどうかなど具体的なアドバイスを受けることができます。

まとめ

従業員が逮捕されたうえ、企業名とともにマスコミで報道されてしまえば、企業への影響は図りしれません。
企業としては、早期に適切な対応を取り、影響を最小限に抑えることに尽力すべきでしょう。

しかし、このような非常事態に企業のみで適切な対応を取ることは容易ではありません。
そこで、Authense法律事務所では、このような事態に陥った企業をサポートする「企業不祥事対応プラン」を設けております。

企業不祥事対応プランでは、実績豊富な企業法務チームと元検察官弁護士が率いる刑事事件チームが一丸となって、社員の逮捕などの企業不祥事に対応いたします。
第三者委員会の組成ももちろん可能です。

また、不祥事が起こらないための体制作りの支援も可能です。

企業不祥事を予防したい場合や、企業不祥事でお困りの場合には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。

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