アプリ開発会社のD社を断続的に誹謗中傷する怪文書が、オフィス近隣に大量に貼り付けられる事件が発生しました。内容は「犯罪者を雇っている」「違法なアプリを提供している」といった、事実無根でD社の評判を貶める内容でした。D社は犯人を突き止め、犯行をストップさせたいと、当所にご相談にお見えになりました。
弁護士がどのように解決へと導いたのかを解説します。
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ご相談までの経緯・背景
アプリ開発会社のD社を断続的に誹謗中傷する怪文書が、オフィス近隣に大量に貼り付けられる事件が発生しました。
その内容は「犯罪者を雇っている」「違法なアプリを提供している」といった、事実無根でD社の評判を貶める内容に、ただただ困惑するばかり。
誰がやっているのかもわからず、不安に苛まれているなか、当所にご相談にお見えになりました。
D社のご希望は、①誰が行っているのか突き止めることと、②犯行をストップさせることの2点。
ご相談の上、犯人探しは進めつつ、まずは犯行を止めることを最優先に進めることにしました。
解決までの流れ
①については、怪文書がばらまかれた時期に、その内容から犯人像がある程度絞り込まれました。
ある一定の範囲に絞り込まれた内容を警察に相談したところ、犯人候補者に一人ひとり警察がアプローチ。不自然な言動をする者がいないかチェックしたり、事情を知っているか詳しく聞き取り調査を行ってくれました。
犯罪の成立要件があいまいで、本来はこの段階で警察が動いてくれることはなかなかありません。
相談しても渋る警察を「犯罪予防も警察の存在意義のひとつ」「予防のために疑わしい人に接触して欲しい」と説得することで、動かすことができました。
②については、警察が動いてもらったほか、弁護士が目立つようにD社のオフィス内を歩き回り、本件を調査していることをアナウンスしたり、社内研修を行うことで、外部から弁護士が監視していることを認識させることで、相談以降、怪文書がばらまかれることはなくなりました。
結果・解決ポイント
本件では、犯人を特定することと犯行をストップさせることを天秤にかけ、ストップさせることを優先させました。
そのために、まずはご相談にお見えになった経営者にご納得いただくことから始めました。
このような状況に陥ると刑事告発にこだわりがちですが、本来の目的はどこなのかを考えていただくことで、刑事告発ではない他の有効な手段を提案するのも弁護士の大切な役割だと思っています。
依頼者の言われたままに行動するのではなく、この会社はなにを求めているのか、この会社にいま本当に必要なことはなにかを柔軟に考えるのも弁護士の仕事です。