コラム

公開 2021.12.21 更新 2022.07.21

2021年話題になった企業不祥事から学ぶ、発生時の対応と起こさないための組織づくり

2021年話題になった企業不祥事から学ぶ、発生時の対応と起こさないための組織づくり

2021年も、多くの企業不祥事が話題となりました。
2021年に起きた主な企業不祥事を紹介するとともに、万が一不祥事が起きてしまった場合に企業が取るべき対応や、企業ができる不祥事への対策をわかりやすく解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
一橋大学法学部法律学科卒業。元裁判官。企業法務、M&A、労働法、事業承継、倒産法(事業再生含む)等、企業に係わる幅広い分野を中心とした法律問題に取り組む。弁護士としてだけでなく、裁判官としてこれまで携わった数多くの案件実績や、中小企業のみならず、大企業や公的企業からの依頼を受けた経験と実績を活かし、企業組織の課題を解決する多面的かつ実践的なアドバイスを提供している。

2021年に起きた主な企業不祥事

企業不祥事は、新聞やニュースなどでも頻繁に話題となっています。
はじめに、2021年に起きた主な企業不祥事を振り返ってみましょう。

大和ハウス工業の施工管理技士資格不正取得

大和ハウス工業株式会社の社員約370名が、施行管理技士資格を不正取得していたことが発覚しました。※1

施行管理技士とは、工事に関して一定の技術を持っていると認められる人に対して与えられる国家資格です。※2
建設現場には施行管理技士などの資格を持つ技術者を現場に配置する必要がある他、公共工事の入札の際には技術者の数が多いほど有利となります。
そのため、建築業を営む企業にとって非常に重要となる資格の一つといえるでしょう。

この施行管理技士になるための検定を受けるには資格が定められており、その受験資格の一つに実務経験があります。
たとえば、「1級建築施工管理技術検定」を受検するためには、指定学科の大学や専門学校を卒業した人であれば卒業後3年以上、指定学科の高等専門学校を卒業した人であれば卒業後5年以上など、学歴などに応じた実務経験が必要です。※3

大和ハウス工業株式会社ではこの規定に反し、所定の実務経験が不足している従業員に施行管理技士資格を受験させ、資格を取得させていました。
大和ハウス工業の調査によると、同社の社員349名が保有する施工管理技士について、受験時おける実務経験に不備があったとのことです。※4
これにより、大和ハウス工業株式会社は、営業停止処分を受けています。

営業停止処分の対象は2021年12月2日から23日までの22日間で、電気工事業では東京都や大阪府など20都道府県、管工事業では鳥取県、広島県などの5県です。

営業停止処分を受けたとなれば、工事の遅延などへの影響は避けられず、業績や株価への大きな影響は避けられないでしょう。

なお、施行管理技士に関する同様の不正は、関西電力株式会社の子会社である株式会社KANSOテクノスでも発生しました。※5
こちらは、不正取得をした従業員は6名とされており、大和ハウス工業株式会社と比較すれば多くはありません。
しかし、それでも不正をしたことには変わりがなく、今後の信頼回復に努める必要があるでしょう。

三菱電機不正検査問題

三菱電機株式会社では、鉄道車両向け空調装置についての不正検査の問題が発覚しました。※6
鉄道車両向け空調装置の製造を行う長崎製作所で架空の検査データを顧客に報告するなどしており、不適切な検査は1980年代から30年以上にもわたって続いていた疑いがあるとされています。

三菱電機株式会社では、労務問題など他にも問題が相次いでおり、社長は組織的な不正行為と認め、引責辞任を表明する事態となりました。
これほどの大手企業で非常に長年にわたる不正が行われてきたということに、衝撃を受けたという方も少なくないでしょう。

トヨタ販売店での不正車検問題

トヨタ自動車株式会社の全国の系列販売店で、不正車検が相次いで発覚しました。※7
不正が発覚したのはトヨタ自動車株式会社の販売店12社13店舗で、トヨタ系の大手販売会社に関するものも含めると合計6,503台にものぼります。

この問題は、当初ネッツトヨタ愛知株式会社で発覚し、これを皮切りに全国で調査をしたところ、他の販売店でも不正車検が発覚したものです。

車検は、道路運送車両法にて定期的に受けることを義務付けられている検査です。
つまり、自動車の安全を保つために必要とされる検査だといえます。

自動車メーカー最大手であるトヨタ自動車株式会社の系列販売店が不正を行っていたとのことで、自動車の安全を揺るがす大きな問題となりました。

不祥事が起きてしまったら企業はどう対応すべき?

当然ながら、不祥事は起こさないに越したことはありません。
しかし、仮に不祥事が起きてしまったら、企業はどのように対応すべきなのでしょうか?
ここでは、対応のポイントをお伝えしていきましょう。

事実関係を確認する

不祥事が起きている可能性を把握したら、直ちに事実関係を確認しましょう。
自社に限ってそのようなことはないなどと過信をしてしまえば、問題がより大きくなってしまうかもしれません。
また、自社に不祥事が起きた際に、対応する部署はあるのか、どのように対応するのかなど、社内規定や、組織関係を整備しておくことも重要です。昨今では、内部統制、コンプライアンス、コーポレートガバナンスなどの中で議論されていると思いますが、会社として、不祥事に対応できる体制がしっかり作られているのか否かも重要となります。

早期に報告と謝罪をする

不祥事が起きていることがわかったら、関係各所への報告と謝罪を行いましょう。
その上で、さらなる情報がわかり次第追って報告をすることを伝えます。
また、一般消費者などへの影響が考えられる場合には、早急に公表することが重要となります。
早急に公表することで、少しでも一般消費者への被害を抑えることができるかもしれません。逆に、風評被害が発生したり、株価に影響したりすることを恐れて、隠蔽しようとし、後で発覚した場合には、公表する以上のダメージを受ける可能性も高くなると考えられます。
この報告・公表の前の段階で、弁護士へ相談しておくと安心です。

原因究明をする

不祥事がなぜ起きてしまったのか、原因の究明を行います。
不祥事は一社員の問題行動が原因で発生する場合もありますが、背景に企業としての問題が存在するケースもあります。

たとえば、社員の一人が情報を持ち出して漏えいさせた場合に、その社員に問題があったと結論付けてしまうことは簡単でしょう。
しかし、その背景には機密情報を持ち出しやすい環境や、抑止力の働きにくい環境があったと考えることも可能です。

背景の問題を把握することで、有効な再発防止策を検討することへとつながります。

再発防止策を検討し徹底する

不祥事の原因が判明したら、再発防止策を検討します。
再発防止策は社内に周知を行い、徹底するようにしましょう。

企業不祥事への対策

企業不祥事を起こさないためも、または不祥事が起きてしまった際にスムーズに対応をするために、企業はどのような対策を取ることができるでしょうか?
企業が取るべき対策を4つ紹介します。

社内のチェック体制を構築する

不祥事をできる限り起こさないためには、社内のチェック体制を構築することが重要です。
業務が属人化している場合など不正をはたらいても気づかれにくい体制となっていないかどうかを確認し、社内のチェック体制を構築しましょう。
また、権限を分離して、営業をしてくる社員と、実際に契約を締結する社員を別にしたり、発注する社員と、対価を払う社員を分けたりして、業務フロー上、ダブルチェックできるような体制を作ることも重要です。

定期的に関係法令と社内ルールを確認する

法令の中に、頻繁に改正がなされるものも存在します。
そのため、古い社内規定を使い続けているような場合には、ルール自体が現行の法令に沿っておらず、意図せず法令違反をしてしまう可能性が否定できません。

また、社内で慣習として行ってきた行為が法令違反である場合も考えられます。
先ほど紹介した三菱電機株式会社のケースでは、非常に長期にわたって不正が行われおり、前例を踏襲し続けることで、法令違反であることに長年気が付かなかったといったことも考えられます。

こうした事態を防ぐため、定期的に社内ルールを見直し、現行の法令に沿った運用となっているかどうか確認することが必要です。
そのような場合には、弁護士を有効活用すると良いでしょう。

定期的に研修を行い法令やルールを周知する

社内ルールを定めていたとしても、現場で運用していくうちに、より手間の少ない形へと慣習が変わり、結果的に法令違反となってしまう場合もあるかと思います。
こうした事態を避けるため、定期的に研修を行って社内ルールを周知させることが重要です。

研修では、ルールの根拠が法令にあることや、法令に違反した場合にはどのようなリスクが生じるのかなどを伝えると良いでしょう。

弁護士に相談できる体制を整えておく

法令に沿った具体的な運用に迷った場合や不祥事が起きている可能性が生じた場合などには、弁護士へ相談することで早期解決へとつながります。
企業不祥事に詳しい弁護士と顧問契約を締結するなど、いざというときに弁護士へ相談しやすい体制を整えておくと良いでしょう。

まとめ

不祥事は、どの企業にとっても起きる可能性があります。
日頃から不祥事を予防する体制を整えた上で、いざ不祥事を起こしてしまった際の対応をシミュレーションしておくことが重要です。

とはいえ、自社のみですべてを検討することは容易ではありません。
Authenseでは、不祥事が起こらない環境作りから、不祥事発生時の対応まで一貫して対応する「企業不祥事対応プラン」を設けております。
また、最新の法改正にあわせた社内規定の見直しの提案なども行っております。
ご要望に応じてオーダーメイドでプランを作成いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

・社内体制のチェック、不祥事発生を予防するためのアドバイスなど
現状の社内体制や、規程等を確認させていただき、不祥事発生を未然に防ぐための改善点などをアドバイスさせていただきます。

・コンプライアンス・内部統制・コーポレートガバナンスに関するアドバイスなど
社内体制などだけにとどまらず、広くコンプライアンス、内部統制などに関し、体制をチェックし、改善点などをアドバイスさせていただきます。

・講演、研修上記のような、コンプライアンス等に関する講演や、研修を実施させていただきます。企業規模や、社風等にあわせて、研修内容をカスタマイズさせていただきます。

・不祥事発生時の対応
残念なことに、実際に不祥事が発生してしまった場合にも、事後処理や対応方法に関するアドバイスや、いわゆる第三者委員としての調査活動、訴訟などへの対応など、貴社のご要望に応じた対応を取らせていただきます。

・経験豊富な弁護士による稼働
弊事務所には、企業法務、労働法務、刑事事件に精通した弁護士のみならず、元検察官、元裁判官も在籍しており、多角的な観点から、必要なアドバイスを提供することができます。

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