「自分が倒れたら業務が止まる」という不安をお持ちのひとり法務の方も多いのではないでしょうか?
業務は増え続ける一方、採用を開始しても応募が来ない。そんな状況のなかで、法務業務のアウトソーシングは現実的な打開策になり得ます。ただし、外部に丸投げするとかえって手間が増えてしまうこともあり注意が必要です。
本記事では、外注業務の切り分け方から、アウトソーシングサービスを選ぶポイント、採用コストとの比較、属人化を防ぐ仕組みまでを整理します。一人で抱え込まない法務体制づくりの、最初の一歩が見つかるはずです。

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ひとり法務が外注を考え始めるサイン
ひとり法務は業務量が過多になりがちです。契約書のレビュー依頼は事業部から日々届き、処理が追いつかないままリードタイムが伸びていく。すると今度は「あの契約、まだですか」と催促がやって来ます。
ひとり法務は専門外の領域まで担当しなければいけない
ひとり法務の課題は業務量だけではありません。契約審査に加え、知的財産権の扱い、新しいビジネススキームの助言や紛争対応まで、本来は複数人で専門性を持って担当するべき領域を一人でカバーせざるを得ません。
しかも社内には相談できる先輩も、適切な判断を下せる上長もいない。自分の出した結論が独りよがりになっていないか、確かめる相手がいないまま業務を続けなければいけません。
ひとり法務は事業継続(BCP)のリスクである
ひとり法務は事業継続(BCP)のリスクも抱えています。法務担当が急病になったり、計画外の長期休暇を取ったり、あるいは退職したりした瞬間に、法務機能が停止します。
引き継ぎ相手がいないため、ノウハウは担当者個人の頭の中に蓄積され、属人化が進行します。
ひとり法務のアウトソーシングを検討するべき背景は、単なる業務量の削減だけではありません。「業務が一人に依存しすぎている状態」をどう分散させるか、というリスク管理の問題でもあるのです。
ここで一度、自社に置き換えて考えてみてください。もし今、法務担当者が1ヶ月間まったく出社できなくなったら、自社の契約業務は何日間止まってしまうでしょうか?
ひとり法務の業務はどこまで外注できる?
業務外注にあたって、どの業務をどこまで外に出せばいいのか分からない。これは、ひとり法務がアウトソーシングを検討するとき、最初にぶつかる壁です。この壁を乗り越えるには、業務を「2つの軸」で切り分ける必要があります。
ひとり法務の業務を2つの軸で切り分ける
おすすめしたいのは、自社の法務業務を2つの軸で分類してみることです。縦軸に「定型的か/非定型的か」、横軸に「経営判断を伴うか/伴わないか」を設けます。
この4象限で見ると、定型的で経営判断を伴わない領域。(たとえば日常的な契約書レビュー)は最も外に出しやすい領域です。一方、M&Aの方針判断や社内の利害調整のように、経営判断と密接に絡む業務は社内に残すべきです。
この2つの軸で切り分ければ、外注の対象は見えてきます。
ひとり法務の外注に適した運用形態
どの業務を外に出すかが決まったら、外注先の運用形態を考える必要があります。BPO・法務代行・法務受託など呼び方はさまざまですが、重要なのは呼称ではなく運用方法です。
法律事務所が運営する法務BPOサービスであっても、依頼のたびに法務が事業部の要件を取りまとめ、専用フォームへ必要事項を入力し、契約書を専用の転送サービスで送ります。こうした手間がかかるサービスでは、大幅な業務効率化は見込めません。
さらに、戻ってきたレビューが杓子定規で自社の実態に合わない、外部への修正指示が往復する、結果として「逆に法務担当の労力が増えた」という外注サービスもあり得るのです。
これに対し、近年は担当弁護士が企業の社内システム(案件管理ツールなど)にアクセスし、事業部の担当者と社内メールやチャットで直接やり取りする運用も広がっています。
このような運用形態であれば、法務担当者は事業部と担当弁護士のやり取りをCCで把握し、必要なときだけ介入すればよくなります。外部へのファイル転送が発生しないため、セキュリティ要件の厳しい企業でも運用でき、情報漏洩への不安も抑えられます。
法務人材の採用と外注を組み合わせる
「人を増やせば問題は解決する。でも、いい人材が採用できない」
こんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?法務人材の採用市場は、慢性的な売り手市場です。
専門性を備えた法務経験者は需要に対して供給が圧倒的に少なく、求人を出しても応募が集まりません。
応募が来てもスキルや経験が要件に届かない、ということも起こります。さらに法務は事業や社内文化への理解が成果を左右する職種だけに、「社風に合うか」という条件も重なり、採用のハードルはいっそう上がります。
このような状況に直面した時、「採用できないから外注する」と考える必要はありません。採用活動を続けながら、外注を活用する発想が重要です。両者の特性を考慮し、自社に合った組み合わせを考えることが、適切なリスクマネジメントと事業継続(BCP)につながります。
ひとり法務だからこそ、外注を採用後の資産に
外注は採用の代わりではなく、採用を支える手段にもなります。法務メンバーが退職し、採用活動を始めたものの応募が来ない。その空白期間を外注でしのぎ、並行して採用を続ける。採用がうまくいった場合、新人が戦力化するまでの間は外注を継続し、軌道に乗ったら縮小する。
最低契約期間が短期から設定できるサービスであれば、こうした柔軟な運用も可能です。
また、外注によってノウハウを蓄積し、採用した人材に知見を伝えていくこともできます。外注すると企業内にはノウハウが残らないと思われるかもしれませんが、そうとも限りません。
ひとり法務として目の前の案件に取り組んでいると、情報が散逸し、社内にノウハウを蓄積させることが難しい場面もあります。
弁護士のレビュー結果やメールのやり取りを社内に共有する運用であれば、「どんな回答をしているか」「どんな言い回しがリスク管理として適切か」が社内に蓄積され、外部弁護士の知見が組織の資産として残っていくのです。
外部の弁護士が社内のツールにアクセスし、「もう1人の法務部員」のように業務に溶け込むサービスであれば、新人の教育係として外部弁護士を活用することも可能です。
ひとり法務が外注を始める第一歩
ここまで読んで「自社でも外注を検討する価値はありそうだ」と感じても、最初の一歩をどう踏み出すかが分からなければ前には進めません。
まずやるべきは、前述した2つの軸を使って自社の業務を棚卸しすることです。どの業務が定型的で、どこに一番ボリュームが集中しているか。それが見えれば、最初に外に出す対象は決まります。多くの場合、件数が多く定型性の高い契約書レビューを外注することが成果につながります。
そして、いきなり全面的に外注する必要はありません。短い契約期間を設定し、一部の業務だけを外注し、合わなければやめる、という小さなスタートから始めることが理想的です。
このような運用を行えるサービスを選定すれば、導入のハードルは想像より低いでしょう。
ひとり法務の負荷は、法務担当者だけの負荷ではなく、企業の事業継続を左右する重大なリスクです。「まず小さく外注を試せる業務」を決めることが、企業の適切なリスクマネジメントにつながります。









































