コラム
公開 2022.03.01 更新 2026.03.12

下請法(取適法)に違反した場合の罰則は?企業がとるべき対策を弁護士がわかりやすく解説

下請法とは?基本と違反時の罰則について詳しく解説!

業務を他社に外注する場合、下請法(取適法)の適用対象となる可能性があります。
そのため、自社の業務を外注しようとする場合は下請法(取適法)の対象となるか否かを確認したうえで、対象となる場合は違反しないよう注意しなければなりません。

では、下請法(取適法)はどのような法律なのでしょうか?
また、下請法(取適法)に違反したら、どのような罰則が適用されるのでしょうか?

今回は、下請法(取適法)の概要や違反するケースを紹介するとともに、下請法(取適法)に違反した場合の罰則について弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(Authense法律事務所)は企業法務に精通した弁護士が在籍しており、下請法(取適法)違反を避けるための対策のご相談も可能です。
下請法(取適法)について相談できる弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
一橋大学法学部法律学科卒業。元裁判官。企業法務、M&A、労働法、事業承継、倒産法(事業再生含む)等、企業に係わる幅広い分野を中心とした法律問題に取り組む。弁護士としてだけでなく、裁判官としてこれまで携わった数多くの案件実績や、中小企業のみならず、大企業や公的企業からの依頼を受けた経験と実績を活かし、企業組織の課題を解決する多面的かつ実践的なアドバイスを提供している。
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下請法(取適法)とは?

下請法(取適法)とは、中小受託事業者に対する委託事業者の取引の公正化や、中小受託事業者の利益保護などを目的とする法律です。

従来は「下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます)」であったところ、2026年1月1日に施行された改正法により名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(「以下「取適法」といいます)」へと改められました。

なお、この改正に伴い親事業者は「委託事業者」、下請事業者は「中小受託事業者」へと用語も改訂されているため注意が必要です。

この法律では、取引の適正化をはかるため、委託事業者のさまざまな義務や禁止事項を規定しています。
下請法の対象となるか否かは、取引の内容や発注者と受託者の規模(資本金・従業員規模)によって異なるため確認しておくとよいでしょう。※1

下請法(取適法)の改正への対応でお困りの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

下請法(取適法)に違反する主な事例

下請法(取適法)に違反するのは、どのようなケースなのでしょうか?
ここでは、委託事業者が下請法(取適法)に違反する主な事例を紹介します。

  • 発注内容を明示しない
  • 取引記録を作成・保存しない
  • 適正な支払期日を設定しない
  • 遅延利息を支払わない
  • 受領拒否
  • 製造委託等代金の支払遅延
  • 製造委託等代金の減額
  • 返品
  • 買いたたき
  • 購入・利用の強制
  • 報復措置
  • 有償支給原材料等の対価の早期決済
  • 不当な経済上の利益の提供要請
  • 不当な給付内容の変更・やり直し
  • 協議に応じない一方的な代金決定

発注内容を明示しない

委託事業者は、中小受託事業者に製造委託等をした場合、給付内容や代金額、支払期日など一定の発注内容を直ちに明示しなければなりません(同4条1項)。
この明示をしない場合、下請法(取適法)違反となります。

なお、この明示は書面または電磁的方法(電子メールなど)で行うものの、いずれとするかは委託事業者が選択できます。
ただし、電磁的方法で明示した場合、中小受託事業者から書面での明示を求められたら、原則として遅滞なく書面を交付しなければなりません(同2項)。
ただし、中小受託事業者から電磁的方法による提供を希望された場合や、インターネットのみを利用する方法により締結された契約で、委託事業者の定型約款によるものである場合など、一定の場合には、書面の交付を求められても交付をする必要はありません。
この書面を明示しない場合も、下請法(取適法)違反となります。

取引記録を作成・保存しない

中小受託事業者との取引完了後、委託事業者は取引に関する記録を書類または電磁的記録で保存しなければなりません(同7条)。
保存すべき期間は2年間です。

記録の作成や保存をしない場合や、虚偽の記録を作成した場合には、下請法(取適法)に違反します。

適正な支払期日を設定しない

製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日から60日の期間内のできる限り短い期間内としなければなりません(取適法3条)。
また、給付内容の検査が必要であることをもって、これを延ばせるわけでもありません。

委託事業者が支払い期日を設定しない場合や、給付受領日から60日を超えてもなお支払いをしない場合には、下請法(取適法)に違反します。

遅延利息を支払わない

委託事業者が支払期日までに代金を支払わない場合や、正当な理由なく代金を減額した場合は、対象期間分の利息を支払わなければなりません(同6条)。
この利息を支払わない場合、下請法(取適法)に違反します。

受領拒否

委託事業者は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、給付の受領を拒んではなりません(5条1項1号)。
受領拒否は、下請法(取適法)違反です。

製造委託等代金の支払遅延

委託事業者は、製造委託等代金を所定の支払期日までに支払わなければなりません(同2号)。
支払期日までに代金を支払わないことは、下請法(取適法)に違反します。

なお、2026年1月に施行された改正により、「手形の交付」や「中小受託事業者が支払期日までに代金の満額に相当する額の金銭と引き換え困難な電子記録債権や一括決済方式」による支払いも禁じられることとなりました。

製造委託等代金の減額

中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに製造委託等代金の額を減ずることは、下請法(取適法)に違反します(同3号)。
なお、たとえ中小受託事業者の同意があっても、振込手数料を差し引いて代金を支払うことは下請法(取適法)に違反する可能性があります。

返品

中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに給付を返品する行為は、下請法(取適法)に違反します(同4号)。
なお、違反となるのは相手方に責任がない場合だけであり、不良品などの場合は一定期間内の返品は可能です。

買いたたき

いわゆる「買いたたき」は、下請法(取適法)に違反します(同5号)。
買いたたきとは、中小受託事業者の給付の内容と同種または類似の内容の給付に対して通常支払われる対価と比べて、著しく低い製造委託等代金の額を不当に定めることを指します。

購入・利用の強制

委託事業者が指定する製品や原材料を強制的に購入させたり、保険やリースなどの利用を強制したりしてその対価を負担させる行為は、下請法(取適法)に違反します(同6号)。
ただし、小受託事業者の給付の内容を均質にすることや改善を図るために必要がある場合など正当な理由がある場合は、違反とはなりません。

報復措置

委託事業者が下請法(取適法)に違反していることを、中小受託事業者が公正取引委員会や中小企業庁長官、所轄省庁の大臣などに報告する場合があります。
これを理由として取引の数量を減じたり取引を停止したり、その他の不利益な取扱いをしたりすることは、下請法(取適法)に違反します(同7号)。

有償支給原材料等の対価の早期決済

中小受託事業者が、委託事業者が有償で支給する原材料等を用いて物品の製造等を行う場合があります。
この場合に、製造した物品代金の支払日よりも早く原材料等の代金を支払わせる行為は、下請法(取適法)に違反します(同2項1号)。

不当な経済上の利益の提供要請

自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させて中小受託事業者の利益を不当に害する行為は、下請法(取適法)に違反します(同2号)。
たとえば、委託事業者のために中小受託事業者に協賛金を出させる行為や、従業員派遣の要請をする行為などがこれに該当します。

不当な給付内容の変更・やり直し

中小受託事業者に問題がないにもかかわらず、発注の取消しや変更、やり直し、追加作業などを行わせて委託事業者がその費用を負担しない行為は、下請法(取適法)違反です(同3号)。

協議に応じない一方的な代金決定

中小受託事業者側から価格を協議したいとの求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり必要な説明を行わなかったりして、委託事業者が一方的に代金を決定する行為は、下請法(取適法)に違反します(同4号)。
これは、改正によって新たに追加された禁止行為です。

下請法(取適法)に違反したらどうなる?罰則がある?

下請法(取適法)に違反すると、どのような事態が生じるのでしょうか?
ここでは、委託事業者が下請法(取適法)に違反した場合の罰則などについて解説します。

  • 指導・助言の対象となる
  • 勧告・公表される
  • 罰則が適用される
  • 遅延利息が課される

指導・助言の対象となる

委託事業者が下請法(取適法)に違反すると、公正取引委員会や中小企業庁長官、または対象の事業を所管する大臣から指導や助言がなされる可能性が生じます(同8条)。
また、公正取引委員会から報告が求められたり、立入検査がされたりすることもあります(同12条)。

なお、下請法の監督省庁は、改正前は公正取引委員会と中小企業庁のみでした。
改正により、事業を管轄する大臣(例:建設業や運送業であれば、国土交通大臣)にも指導や助言の権限が追加され、監督体制がより強化されたといえます。

勧告・公表される

委託事業者が下請法(取適法)に違反した場合、公正取引委員会からの勧告の対象となります(同10条)。
勧告の内容は、その違反の内容に応じて次のものなどです。

  • 速やかに中小受託事業者の給付を受領すること
  • 製造委託等代金やその減額した額と、遅延利息を支払うこと
  • 給付に係る物を再び引き取ること
  • 製造委託等代金の額を引き上げること
  • 購入させた物を引き取るべきこと
  • 不利益な取扱いをやめるべきこと
  • 中小受託事業者の利益を保護するための措置をとるべきこと

また、勧告を受けた場合には、社名などが公表される可能性があります。

罰則が適用される

次の違反である場合、50万円以下の罰金刑の対象となります(同14条、15条)。

  • 第4条1項の規定に違反して、中小受託事業者に対して明示すべき事項を明示しなかったとき
  • 電子メールで明示すべき事項を明示し、中小受託事業者から書面の交付を求められたのに交付しなかったとき
  • 取引記録の作成・保存をしなかったときや、虚偽の記録を作成したとき
  • 公正取引委員会から報告を求められたのに報告しなかったとき・虚偽の報告をしたとき・検査を拒んだり妨げたり忌避したりしたとき

なお、業務に関して違反が生じた際は行為者が罰せられるほか、その法人や代表者も同等の罰金刑の対象となります(同16条)。

遅延利息が課される

委託事業者が取適法に違反して支払期日までに代金を支払わなかった場合や、正当な理由なく支払代金を減額した場合には、遅延利息を支払わなければなりません(同6条)。
遅延利息は、年率14.6%の割合で算定されます。

下請法(取適法)違反を避けるために企業が講じるべき対策

下請法(取適法)違反を避けるため、企業はどのような対策を講じればよいのでしょうか?
ここでは、企業が講じるべき主な対策を2つ解説します。

  • 規制内容や改正内容をよく理解する
  • 弁護士に相談する

規制内容や改正内容をよく理解する

1つ目は、下請違法による規制内容をよく理解することです。

下請違法やガイドライン、公正取引委員会などから出されているパンフレットなどに目を通すことで、自社が「何をすべきか」「何をしてはいけないのか」の判断がつきやすくなります。

今回の改正では、委託事業者(下請法では、「親事業者」と定義されていた事業者)の範囲が拡大されていることに注意が必要です。
改正前の情報をもとに「自社は資本金が1,000万円以下だから委託事業者とはなり得ない」と考えている場合でも、委託事業者の常時使用する従業員が300人を超えており、受託事業者の常時使用する従業員が300人以下(情報成果物作成委託・役務提供委託の場合には、それぞれ100人)の場合には、取適法が適用されることとなりましたので、従業員規模で見た際に委託事業者に該当することとなっている可能性があります。
一度確認しておくとよいでしょう。

弁護士に相談する

2つ目は、弁護士へ相談することです。

自社の対応に迷った際や改正後の下請法(取適法)への対応に不安がある際は、弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談することで、思わぬ違反を避けやすくなります。

また、仮に違反行為が生じている場合であっても、早期の是正が可能となるでしょう。

下請法(取適法)への対応について相談できる弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

下請法(取適法)違反に関するよくある質問

最後に、下請法(取適法)違反に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

下請法(取適法)の改正で追加された禁止行為は?

下請法(取適法)の改正によって追加された委託事業者の禁止行為は、「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」と「手形払等の禁止」です。

下請法(取適法)に違反しないための社内規程やマニュアルなどを作成している場合には、改正に合わせてこれらもアップデートしておく必要があるでしょう。

下請法(取適法)違反を避ける対策は、誰に相談すればよい?

下請法(取適法)に違反しないための対策を講じたい場合の相談先は、企業法務に強い弁護士が適しているでしょう。
弁護士に相談することで、最新の法令を踏まえた対応策のアドバイスを受けることが可能となります。

取適法に違反しないよう対策を講じたいとお考えの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

まとめ

下請法(取適法)の概要や下請法(取適法)に違反するケース、下請法(取適法)に違反した場合の罰則などについて解説しました。

下請法(取適法)に違反すると指導や助言の対象となるほか、勧告や社名の公表、罰金刑が適用される可能性もあります。
なかでも、社命が公表されてしまえば、自社の社会的信用が低下しかねないでしょう。

下請法(取適法)には、法令やガイドラインを確認して理解しておく対策が有効です。
また、対応に迷う場合に相談できる弁護士も見つけておくとよいでしょう。
企業法務に強い弁護士を見つけておくことで対応に迷った際に事前に相談することが可能となり、思わぬ違反を避けやすくなります。

Authense法律事務所は企業法務に精通した弁護士が多く在籍しており、下請法(取適法)違反を避けるための対策についてのご相談も可能です。
下請法(取適法)など企業法務に強い弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

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