M&Aにおいては、締結に向けた法務デューデリジェンスや契約書作成などディール成立段階の法務タスクは広く認識されていますが、その後のPMIにおいても、法務部門が向き合う課題は山積しています。
本記事では、M&Aの中でも、クロージング後のPMIフェーズにおける法務部門の状況に焦点を当てて、PMI特有の法務課題と、「弁護士による法務アウトソーシング」による解決方法について解説します。
目次
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1. 事業譲渡後に生じる法務の課題
事業譲渡のパターンと法務リスク
事業譲渡には、大きく分けて以下のパターンがあります。
事業譲受による子会社化
譲り受けた事業を既存の子会社に組み込む、あるいは新設子会社に承継させる。
事業部としての吸収
譲受企業(親会社)の一部門として取り込む。
いずれの形態であっても、譲渡企業(子会社)側に十分な法務体制がなければ、譲受企業の法務担当者が「兼務」に近い形で支援せざるを得ません。
この構造的な問題を放置すると法務のリソースは逼迫し、グループ全体のガバナンスに影響を与える可能性があります。
2. 譲渡企業側で起こりがちな法務の課題
譲渡企業側には専任の法務担当者が設置されておらず、総務部門の担当者が法務を兼任している場合が多くみられます。このような体制では、契約書を通じた適切なリスクマネジメントや最新の法改正への対応は難しく、事業規模が拡大するにつれて「法務機能の不全」が発生するリスクがあります。
譲渡企業側に法務機能を構築するリソースやノウハウが不足している場合、譲受企業が求めるガバナンス・内部統制の基準を満たせません。
例えば、どの契約に誰の承認が必要か、ルールが文書化されていなかったり、内部統制上の問題が発生しても早期に発見できる仕組みがなければグループ全体のガバナンスに問題が生じてしまいます。
また、顧客データや個人情報のアクセス権限、情報セキュリティの管理レベルが譲受企業の基準に達していないケースも多く見られます。このような状態で漏えい事故が起きれば、グループ全体のブランド価値を毀損する重大なリスクとなります。
3. 譲受企業法務の負担
譲受企業の法務部門も事業譲渡によって負担が増加します。「通常業務の増加」と「PMI特有の業務」が発生する点は注意が必要です。
譲受企業の法務担当者が、譲渡企業の日常的な契約書レビューや事務作業に追われると、譲受企業として本来注力すべき、稟議申請フロー構築や規程整備などPMI後に求められる業務にかける時間が失われます。
また、譲渡企業の法的な課題を吸い上げる仕組みが構築できない場合、譲受企業から見えないところでリーガルリスクが広がる懸念があります。
4. 放置するとどのようなリスクが起きるか
法務体制の構築を後回しにした場合、以下のような事態を招く可能性があります。
取引上の重大な不利益
契約書のチェック不備により、自社にとって不利な条件での契約を締結してしまうリスクがあります。
内部統制の不備による指摘
稟議を経ていない契約が締結された場合、監査において「統制上の欠陥」とみなされるリスクも考えられます。
グループの信用失墜
譲渡企業の不祥事を発見できず、明るみに出た場合、グループ全体の信用低下、譲受企業の株価や採用活動に悪影響を及ぼす可能性もあります。
5. 弁護士による「法務アウトソーシング」という選択肢
これらの課題を解決する有効な手段の一つが、弁護士による「法務アウトソーシング」です。
前述したように、事業譲渡を実施した後、譲受企業の法務部門には譲渡企業の法務業務支援など、従来存在しなかった業務が発生します。
一方で、このような業務は恒常的なものではなく、一定の期間内に譲渡企業の体制を整備して通常の業務体制に戻す事が一般的です。
事業譲渡後の業務負荷を軽減するためには、中長期で企業の支援を行う顧問弁護士よりも、短期的にでも現場に入り込み、実務上の問題に対応する外部リソースが適しています。
Authense法律事務所が提供する法務アウトソーシングサービス、「法務クラウド」は弁護士が企業の法務チームの一員として加わり、譲渡企業の契約審査などの一時的な業務増加に対応し、PMIの円滑化、譲受企業と譲渡企業の審査基準統一などを支援します。
外部の弁護士が現場に加わって支援を行うことで、グループ全体でのガバナンス体制の確保やPMIのスピードを加速させることができます。
6. 「法務クラウド」が担う領域
「法務クラウド」は、以下のような広範な実務をカバーします。
契約書の作成・レビュー
「法務クラウド」は企業内での経験も有する弁護士が、事業部門の方と直接やり取りをして支援します。譲受企業の基準を踏まえて譲渡企業の契約書作成・レビュー支援を行うこともできるため、譲受企業のリソースを割くことなく、譲渡企業の契約書上のリスクをケアできます。
法律相談対応
トラブル発生時だけではなく、新規事業を行おうとする際の適法性の相談や法務リスクの相談などもできるため、タイムリーかつ適切な譲渡企業のリスクマネジメントに貢献します。
社内規程整備
事業譲渡に伴うグループ全体での社内規程の統一・整備も弁護士に任せることが可能です。
この他、「法務クラウド」では労務関連業務、知的財産関連業務、コーポレートガバナンスの支援も行うため、譲受企業の法務はPMIの円滑化に向けた業務に集中する体制を整備できます。
弁護士が「譲受企業法務と譲渡企業・現場の橋渡し役」となることで、一時的なリソース不足を補いながら、最終的には外部に頼らずとも回る「恒常的な体制」の設計・構築を支援します。
7. 「法務クラウド」導入の流れ
法務クラウドはご相談からサービス開始まで通常2週間程度であり、ご依頼後すみやかにサービス提供を開始できます。
ご相談後は法務責任者の「右腕」となる担当弁護士と顔合わせの場を設け、 業務の進め方など具体的な業務フローを確認したうえで、 弁護士が既存フローに入り込む形で業務を開始します。そのため、導入の負荷が最小限に抑えられます。
8. 「法務クラウド」の導入メリット
即戦力の確保
法務人材の採用難が続く中、企業内での経験を有し、法的専門性を持つ弁護士を即座にアサインできます。
コストの最適化
自社のカルチャーにフィットした社員を採用・育成する事は中長期の視点で重要です。一方で、事業譲渡後のタイミングは、短期的に大量の案件を処理する必要に迫られます。
このような状況において、採用・育成よりも適切なコストで法務体制の構築が可能となります。
ガバナンス強化
外部の視点が入ることで、身内では指摘しにくい旧態依然とした商習慣や、リスクのある隠れたルールを是正しやすくなります。
法務の「属人対応」から「仕組み対応」へ
事業譲渡後の統合フェーズは、法務リソースの不足が最も顕在化するタイミングです。一方、変化のタイミングに体制を整えることができれば、将来のリスクマネジメント、適切なガバナンス体制の構築につながります。
弁護士による法務アウトソーシングは、単なる一時的な人員補充ではありません。それは、「人」に依存した管理から、グループ全体を守る強固な「仕組み」へと昇華させるための投資です。
事業譲渡後の混乱を最小限に抑え、攻めの経営を支える守りの基盤を作るために、弁護士によるアウトソーシングを選択肢の1つに加えてみてはいかがでしょうか。
「まずは相談から始めたい」「自社の状況でどこまで任せられるか知りたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。










































