グループ法人の法務体制について、本社は整備できているものの、各社まで手が回っていないという課題を抱えていないでしょうか。グループ内で1社でも不適切な契約が締結されていれば、それはグループ全体のリスクとなります。とはいえ、各社に法務担当を採用しようにも人材市場は売り手優位。本社の規程をグループ法人に展開しても、運用する人がいなければ形骸化してしまいます。
本記事では、グループ各社の法務機能を4つに分類して現状を把握する視点から、体制の安定化を阻む要因、そして採用以外に取りうる強化の手段まで整理しました。
目次

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グループ法人の法務体制 4つの分類
グループ法人の法務リスクを適切にマネジメントするためには、本社機能の強化だけでは不十分です。グループ内で1社でも不適切な契約を締結していたり、法令違反となる行為を行ったりしていれば、グループ法人全体のリスクにつながります。
現状を把握するために、下記の視点でグループ各社の法務機能の整備状況を分類してみてください。
①専任の法務担当がいる
②総務等との兼務担当がいる
③親会社の法務がグループ法人の法務も兼ねている
④事業部が判断している
この分布を描くことが、どのグループ法人から対策を講じるかを判断するきっかけとなるでしょう。
グループ法人で法務体制を構築する難しさ
解決策として最初に浮かぶのは、グループ各社に専任の法務担当を配置し、体制を構築することです。しかし、これは実現が困難です。
法務人材の採用は売り手市場であり、経験豊富な良い人材は大手企業と取り合うこととなります。グループ法人の人員不足を採用で解消することは容易ではなく、時間もかかると考えたほうが現実的です。
本社では採用によって法務体制を構築できたとしても、それは本社のブランド力や十分な給与水準によるものかもしれません。
採用によって法務体制を構築することには相応の難しさがあると考えた方がよいでしょう。
グループ法人の法務体制構築には、本社の基準があればよい?
グループ法人に専任の法務担当がいなかったとしても、本社の規程・プレイブック・ワークフローを各社に展開する方法で運用をしている企業も多いと思います。
しかし、グループ法人の法務リスクの適切な低減は、本社の基準だけで実現できるものではありません。
自社の特性を踏まえて基準をアップデートし、取引の都度、法的リスクを特定できなければ、本質的なリスクマネジメントにはつながりません。
また、M&Aで加わった会社には独自の基準を設けているケースもあれば、全く未整備のケースもあります。
法務基準の統一を進める負担は本社法務が担います。本社基準をグループ法人へ展開して問題ないかの確認、グループ法人への説明、運用状況の確認。これを日常の契約審査と並行して行うことは難しく、本社法務の業務過多につながります。
グループ法人の法務機能を強化するためには、本社基準を展開するだけでは不十分です。本社法務の基準を参考としながらグループ法人内で運用できる人材を各社に配置しなければ、基準も形骸化してしまいます。
グループ法人の法務体制安定化を阻む壁
法務人員が十分に確保できないグループ法人の場合、専任がいたとしても1人法務で対応しているケースもよく見られます。
このような場合、法務体制の安定化を図ることが難しくなります。
法務体制の安定化とは、人が代わっても業務が止まらない状態を指します。1人法務の場合、担当者の退職や休職が発生した瞬間に法務機能が停止し、事業の停滞やリスクマネジメントの不備を招いてしまいます。
前述したとおり、法務人材は売り手市場です。1人法務の体制が機能しているように見えても、他社から良いオファーが来た時に離職しないよう、昇給や成長の機会を提供するなど、定着につながる配慮をしなければいけません。
グループ法人の法務体制強化に必要な法的専門性
法務リソースが潤沢に確保できない場合、総務部門などの担当者が兼務しているケースもよく見られます。
兼務担当者の場合、過去の判断に従って契約書を「処理」することはできるかもしれません。
しかし、法改正に伴う運用のアップデート、契約書に潜むリスクの相場観の把握、相手方からの修正要求に対する落としどころの策定、業法上の論点の察知、こうした「判断」は、法的な専門性に依存します。
都度顧問弁護士に相談する、という運用も現実的ではなく、生成AIの回答やインターネット上の情報、書籍などを頼りに、不安を抱えながら対処しているのが実情ではないでしょうか。
確信を持てないまま押印の判断をしている兼務担当者に責任が集中している状態は、組織として健全とはいえません。
グループ法人の法務体制を強化する現実的な方法
グループ法人の法務体制を強化する手段は「人を雇う」ことだけではありません。
法的な専門性を持ったうえで本社の基準を理解し、グループ各社の商習慣を踏まえて仕組みに落とし込み、事業部門とコミュニケーションを取りながらリスクマネジメントを行うことができれば良いのです。
そのために取りうる手段の1つが「法務アウトソーシング」です。
グループ法人各社に法務組織を作るために採用を行うのではなく、法的専門性を持つ外部弁護士を、グループ法人内に必要な量だけアサインするのです。
「法務アウトソーシング」サービスの中には、担当弁護士が法務機能を統括する社内の責任者と方針を定めた上で、社内システムにアクセスし、事業部の担当者と直接やり取りするサービスがあります。
契約書のレビューにとどまらず、自社にフィットするプレイブックの作成や、法務審査のルール策定、メンバーの指導など法務機能を強化するための様々なサポートを担います。
運用が軌道に乗れば、本社法務はチャットやメールで担当弁護士が行う業務内容を把握し、必要なときだけ介入することも可能です。
本社の意向や審査基準は外部弁護士の運用を通じてグループ法人各社にインストールされていきます。
グループ法人の法務体制強化には選択肢がある
法務アウトソーシングを選択肢として考える場合、全社一斉で導入する必要はありません。
最も法務機能が弱いグループ法人内の企業、あるいは最もビジネス規模の大きい企業から始めることも可能です。
契約審査1件あたりの変動費モデルを採用し、最低契約期間は1ヵ月という、小さく始めることを想定した法務アウトソーシングサービスもあります。
採用活動と並行し、人材が確保できた段階で縮小することもできるのです。
グループ法人とはいっても、法務体制の強化方法には、ビジネスの実態に合わせて採用、既存人材の育成、法務アウトソーシングと様々な選択肢があります。
まずはグループ法人各社の法務機能の整備状況を整理し、どの会社から手を打つかを決めるところから始めてみてはいかがでしょうか。









































