法人破産は、裁判所に申し立てたからといって必ずしも認められるものではありません。
法人破産が相当ではないと判断されると、破産の申し立ては却下されます。
では、法人破産ができない場合、どのような事態が生じるのでしょうか?
また、法人破産ができないのは、どのようなケースなのでしょうか?
今回は、法人破産の概要や法人破産ができない場合に生じ得る事態、法人破産ができないケース、法人破産ができない場合の対処法などについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(Authense法律事務所)には破産管財人の業務経験がある弁護士が多数在籍しているほか、裁判官経験者も在籍しており、手続きの「勘所」を押さえた的確なサポートを提供できます。
法人破産をご検討の際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
法人破産とは?
法人破産とは、会社などの法人が債務超過や支払不能の状態に陥った際に、裁判所に申し立てて債務を清算し、法人を消滅させる手続きです。
法人破産の申立てが受理されると、会社の清算手続きを担う「破産管財人」が裁判所によって選任されます。
破産管財人が会社の資産を換価したうえで債権者に分配し、破産手続きが終了します。
法人破産は債務とともに会社を消滅させることが前提とされており、「法人破産をしつつ、会社を存続させる」ことなどはできません。
また、従業員の解雇も必要となります。
さらに、会社の債務を会社代表者個人が連帯保証しているケースも多く、その場合には会社代表者個人の破産も検討しなければなりません。
法人破産には注意すべき点が多く、手続きを慎重かつ的確に進める必要があります。
法人破産をご検討の際や会社が支払不能となりお困りの際などには、Authense法律事務所までご相談ください。
法人破産ができないとどうなる?
債務超過や支払不能に陥っているにも関わらず法人破産ができない場合、どのような事態が生じるのでしょうか?
ここでは、法人破産ができない場合に生じ得る主な事態を3つ解説します。
- 債権者からの取り立てが止まない
- 経営者の責任問題に発展する
- 会社の信用が低下する
債権者からの取り立てが止まない
法人破産ができなければ、債権者からの取り立てが止みません。
相手方の弁護士から支払いを求める内容証明郵便が届いたり、裁判所に訴訟が提起されたりする可能性があるでしょう。
さらに事態が深刻化すれば、会社の財産のほか、連帯保証人である代表者の個人財産(自宅不動産、車など)が差し押さえられる可能性も生じます。
経営者の責任問題に発展する
法人破産ができない場合や債務超過に陥っているにもかかわらず経営者が法人破産に踏み切らない場合、経営者に対して損害賠償請求がなされる可能性が生じます。
なぜなら、経営者は会社に対して善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)や忠実義務を負っているためです。
会社の資産状況が著しく悪化しているにもかかわらず法人破産などの的確な対応をしないことは、これらの義務に反する可能性があるでしょう。
会社の信用が低下する
債務超過や返済不能に陥っているにもかかわらず法人破産がなされない場合、不誠実な会社であると判断され、会社の信用が低下するおそれがあります。
一度失った信用を回復することは難しく、経営者が別事業を立ち上げるなどして再起をはかろうとする際にまで影響が及ぶ可能性があるでしょう。
このように、法人破産ができないことはさまざまなリスクの原因となります。
このような事態を避けるため、債務超過となっている際や支払不能が予見される際などには、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
法人破産に限らず、実績豊富な弁護士が状況に応じた最適な対処法を提案します。
法人破産ができないケース
冒頭で触れたように、法人破産を裁判所に申し立てたからといって必ずしも受理されるものではありません。
ここでは、法人破産ができない主なケースを4つ紹介します。
- 支払不能・債務超過とはいえない場合
- 法人破産の目的が不当である場合
- 法人破産以外の手続きが行われている場合
- 法人破産の費用が捻出できない場合
法人破産ができないにもかかわらず破産を前提として申立ての準備を進めてしまう事態を避けるため、お困りの際はAuthense法律事務所まで早期にご相談ください。
Authense法律事務所には破産管財人の業務経験がある弁護士や裁判官経験者が在籍しており、状況に応じた的確なサポートを提供できます。
支払不能・債務超過とはいえない場合
支払不能や債務超過とまではいえない場合、法人破産はできません。
「支払不能」とは、返済期日の決まっている債務(借金や買掛金など)を一般的・継続的に返済できない客観的な状態を指します。
例えば、一時的に預貯金が不足していても、資産を換金することですぐに返済可能となる場合には、支払不能とまではいえません。
一方で、「債務超過」とは、法人の保有する資産総額が負債総額を下回っている状態を指します。
債務超過は、法人に限って認められる破産のための要件です。
債務超過に陥っている場合、法人の財産をすべて売却・換価をしても債務を返済しきることができません。
法人破産をするにはその法人が支払不能か債務超過に陥っている必要があり、これらのいずれにも該当しない場合には法人破産はできないこととなります。
法人破産の目的が不当である場合
目的が不当であると判断されると、法人破産はできません。
たとえば、返済するつもりがないにもかかわらず多額の借金や買掛金による多額の仕入れなどを行い、その直後に法人破産を申し立てる場合などがこれに該当します。
当然ながら、財産状況を偽って借入れや仕入れをすることは避けるべきでしょう。
法人破産以外の手続きが行われている場合
会社の借入金を整理する方法としては、法人破産のほかに、民事再生や会社更生なども存在します。
これらはいずれも、会社の法人格を存続させたうえで会社の再起をはかる手続きです。
そのため、民事再生や会社更生の手続きが進行中である場合、法人破産を申し立てても受理されない可能性が高いでしょう。
法人破産の費用が捻出できない場合
法人破産を申し立てるには、裁判所に予納金を納めなければなりません。
予納金の額は負債総額によって異なり、東京地裁が申立先である場合、法人破産の予納金の額は原則として次のとおりです。※1
| 負債総額 | 法人破産の予納金額 |
| 5,000万円未満 | 70万円 |
| 5,000万円~1億円未満 | 100万円 |
| 1億円~5億円未満 | 200万円 |
| 5億円~10億円未満 | 300万円 |
| 10億円~50億円未満 | 400万円 |
| 50億円~100億円未満 | 500万円 |
| 1000億円~ | 700万円~ |
ただし、簡易迅速に終了できる見込みがある「少額管財事件」である場合、予納金が「20万円~」とされます。
ただし、少額管財として手続きを行うためには、弁護士が代理人として申立てを行うことが要件とされています。
なお、法人破産は弁護士のサポートを受けて行うことが一般的であり、予納金のほかに弁護士への報酬も必要です。
法人破産を依頼する場合の弁護士報酬は事務所ごとに異なるものの、法人の規模などに応じて50万円から300万円程度であることが多いでしょう。
これらの費用が捻出できない場合には、法人破産の申立て自体が難しい可能性があります。
法人破産ができない場合の対処法
法人破産ができない場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
ここでは、法人破産ができない場合の主な対処法を3つ解説します。
- 債権者に個別交渉をする
- 法人破産以外の倒産手続きを検討する
- 経営者個人だけの自己破産を検討する
なお、最適な対処法は状況ごとに異なります。
法人破産ができない事情がありお困りの際は、Authense法律事務所までご相談ください。
債権者に個別交渉をする
法人破産ができない場合、債権者と個別に交渉することが検討できます。
債権者と個別に交渉をすることで債務の減額や期限の延長、月々の返済額の減額などに応じてもらえれば、再起がはかれる可能性があるでしょう。
法人破産以外の倒産手続きを検討する
法人破産ができない場合、他の倒産手続きの利用が検討できます。
なお、前提として「破産」が会社の債務等の清算を行うことを指す法律用語であるのに対して、「倒産」とは会社が経済的に破綻して債務超過や支払い困難な状態に陥っている状態を指して一般的に使用される表現です。
倒産状態から脱却するための裁判所の手続きを広く「倒産手続き」といい、法人破産も会社倒産手続きの1つです。
ここでは、法人破産以外の主な倒産手続きを3つ解説します。
- 民事再生
- 特別清算
- 会社更生
民事再生
民事再生とは、会社を存続させたまま経営再建をはかる手続きです。
裁判所の監督を受け、事業を継続させつつ債務の減額を目指します。
特別清算
特別清算とは、通常の法人破産よりも簡易迅速に行える清算型の倒産手続きです。
債務者が株式会社の場合に限って利用できます。
法人破産と比較して費用を抑えやすくかかる期間も短縮しやすい一方で、株主や債権者などの同意が必要です。
会社更生
会社更生とは、「民事再生の大企業バージョン」です。
債務者が株式会社の場合に限って利用できます。
民事再生と同じく、事業を継続させつつも、裁判所の関与のもとで更生計画に従って減額した債務を弁済しつつ会社の再建を目指します。
一般的には、債権者の数が多く負債額も大きい場合に選択されます。
経営者個人だけの自己破産を検討する
法人破産ができない場合、経営者個人だけの自己破産も選択肢に入ります。
法人の代表者が、法人の債務の連帯保証人となっているケースは少なくありません。
その場合、債権者から連帯保証人である経営者に対して返済が求められる可能性があります。
法人破産が難しい場合には、経営者個人だけでも自己破産ができないか検討するとよいでしょう。
とはいえ、最善の対処方法は具体的な状況などによって異なります。
法人が支払不能となり法人破産をご検討の際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
費用の不足により法人破産ができない場合の対処法
続いて、費用の不足が理由で法人破産ができない場合の主な対処法を4つ解説します。
- 会社の資産を売却して費用を捻出する
- 保険を解約して費用を捻出する
- 親族から借り入れる
- 分割払いや後払いについて弁護士に相談する
会社の資産を売却して費用を捻出する
1つ目は、会社の資産を売却して倒産費用を捻出することです。
法人に資産がある場合、これを売却して現金化することで法人破産の費用を捻出できる可能性があります。
売却する資産としては、不動産や自動車、機械器具などが検討できるでしょう。
ただし、法人破産を控えている場合、資産は適正価格で売却しなければなりません。
市場価格より非常に低い価格で資産を売却してしまうと、破産管財人から指摘されて法人破産の障害となる可能性があります。
保険を解約して費用を捻出する
2つ目は、保険を解約して費用を捻出することです。
保険の中には、解約時にまとまった額の解約返戻金が支払われるものもあります。
法人でそのような保険に加入している場合は、保険を解約することで法人破産の費用を捻出できる可能性があるでしょう。
親族から援助を受ける
3つ目は、親族から援助を受けることです。
法人破産を検討している場合には、金融機関などから新たに資金を借り入れることは困難でしょう。
一方で、親族であれば人間的な信頼関係をもとに、代わりに破産のための費用を負担してくれる可能性があります。
ただし、相手が親族であっても、借入れをした場合には、その親族は債権者として破産手続に関わらざるを得なくなります。
これを避けるためには、親族から費用分を贈与してもらうか、破産のために費用が必要であることを説明して代わりに支払ってもらう必要があります。
なお、返済できる見込みがないのにそれを隠して金融機関からお金を借りたり、取引先を騙して転売・換価用の商品を掛けで購入したりすることなどは絶対に避けるべきです。
このような行為をすれば不当な目的であると判断されて法人破産ができなくなる可能性があるほか、詐欺破産罪に問われる可能性も生じます(破産法265条)。
詐欺破産罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの併科です。
分割払いや後払いについて弁護士に相談する
4つ目は、分割払いや後払いについて依頼する弁護士に相談することです。
依頼する弁護士に相談することで、分割払いや後払いに応じてもらえる可能性があります。
すべての弁護士が対応するわけではないものの、まずは相談してみるとよいでしょう。
法人破産に関するよくある質問
最後に、法人破産に関するよくある質問とその回答を紹介します。
法人破産ができない不当な目的とは?
法人破産ができない「不当な目的」にあたるのは、返済する意思や能力がないにも関わらず多額の借り入れをして、その直後に破産を申し立てる場合などです。
また、財産を秘匿して法人破産を申し立てる場合もこれに該当します。
法人破産は弁護士に依頼しなくてもできる?
法人破産を弁護士に依頼せずに行うことは、おすすめできません。
なぜなら、法人破産は複雑で難易度の高い手続きであり、タイミングの判断などにも専門的な知見を要するためです。
また、申立ての準備段階では従業員を解雇したり賃貸物件を解約したりすることが多く、万が一破産が認められなければ取り返しのつかない事態にもなりかねません。
そのため、法人破産は弁護士にサポートを受けて行うことをおすすめします。
なお、Authense法律事務所には破産管財人の業務経験がある弁護士が多数在籍しているほか元裁判官も在籍しており、法人破産について的確なリーガルサポートを提供できます。
法人破産をご検討の際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
まとめ
法人破産の概要や法人破産ができないケース、法人破産ができない場合の対処法などを解説しました。
法人破産ができないのは、支払不能・債務超過とはいえない場合や目的が不当である場合、法人破産の費用が捻出できない場合などです。
法人破産ができない場合には債権者と個別に交渉する方法をとることや他の倒産手続きをすることなどが検討できます。
法人破産には注意点が少なくないため、まずは弁護士に相談したうえで具体的な進め方などを検討するとよいでしょう。
Authense法律事務所には、破産管財人の業務経験がある弁護士が多数在籍しているほか元裁判官も在籍しています。
また、破産申立てに精通した弁護士が在籍しており、的確なリーガルサポートを提供できます。
法人破産をご検討の際や支払困難となりお困りの際などには、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。










































