コラム

公開 2021.08.24 更新 2024.02.26

親の介護をする際に注意すべき、寄与分や生前の預貯金引き出しについて解説!

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親の介護をした場合、親の相続時に寄与分は主張できるのでしょうか?

また、親の預貯金を生前に管理する場合に注意すべき点はあるのでしょうか?

今回は、寄与分や生前の貯金の引き出しなどについて、相続案件の経験豊富な弁護士が解説いたします。

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親の介護をする場合の相続に関する注意点

親の介護をした相続人は、親の相続のときに、遺産を多く取得するなどの考慮がなされるのでしょうか?

親の介護をしたからといって、必ずしも親の相続のときに遺産を多く取得できるという
わけではなく、「寄与分」が認められる場合にのみ、遺産を多く取得できます(後述参照。)。

また、親の介護をする場合は、介護をする相続人が親の財産を管理することも多く、管理方法を巡って、介護をしていない相続人から訴訟を提起されてしまうこともあります。
具体的には、親の預貯金を、介護をした相続人が勝手に使い込んだとして、介護をしていない相続人が不当利得返還請求訴訟を提起するというようなケースです。

そのため、親の介護をする場合には、親の相続のときに不利にならないように、事前にしっかりと準備をしておく必要があります。

ここでは、親の介護をする場合に、遺産を多く取得するためにどのような準備をしておくべきか、介護をしていない相続人から財産の管理方法などで指摘されないようにするために、どのような資料を収集しておくべきかなどを解説いたします。

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親の介護をした場合に、寄与分は主張できるか

親の介護をした場合に、寄与分は主張できるか

民法には、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした者があるときに、その者に相続財産のうちから相当額の財産を取得させ、共同相続人間の公平を図る、「寄与分」という制度が設けられています。

「寄与分」の態様としては、

  1. 被相続人の療養看護をしたこと
  2. 被相続人の事業や生活のために金銭を出資したこと
  3. 被相続人の家業に従事したこと

などがあります。

相続人のうちのある者が、被相続人(親)の介護をした場合は、①被相続人の療養看護をしたことに該当し、寄与分を主張できる場合があります。
しかしながら、寄与分が認められるためには、

  1. 相続人が療養看護をしたこと
  2. 当該療養看護により、被相続人の遺産の維持又は増加に寄与したこと

上記2点を、介護をした相続人が主張・立証する必要があります。
そのため、親の介護をした場合には、介護時の親の判断能力や健康状態を示す資料やどのような介護をしたか記録をしておくとよいでしょう。

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親の財産を管理する場合の注意点

親の介護を行う場合に、通帳などの親の財産を管理することも多いです。
ここでは、介護をする相続人が親の財産を管理する場合の注意点をお伝えいたします。

親の財産を管理する場合の注意点は、「親の通帳から引き出した金銭の使途の資料を残しておくこと」となります。
親の病院代やデイサービス費用、生活費などを支払う場合は、可能な限り、親の口座から支払うようにしましょう。
家賃や光熱費、税金などについては、どこにいくら支払ったかが通帳にて確認できるように、口座引落しの手続きをとっておくことをお勧めします。

もし、小口の生活費を支払う場合に、親の口座から出すことが面倒な場合は、親の口座から一定金額を引き出し、当該金額の使途が分かるように、レシートや領収書などを残しておくとよいでしょう。
引き出す金額は、5万円や10万円などの少額にしておくと、管理も簡単です。

介護をしている相続人が、親の財産を管理することについて、他の相続人が快く思っていない場合は、財産の管理について書面を作成するなどの対応をしておくことも有用ですので、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。

介護をした相続人が財産を多く取得する方法

介護をした相続人が財産を多く取得する方法

「寄与分」以外に、介護をした相続人が財産を多く取得する方法としては、以下のようなものが考えられます。

まずは、遺言書で、相続人が取得する財産を決めてしまうということです。
例えば、介護をした相続人が多めに遺産を取得できるような内容の遺言書を作成しておくと、相続発生後に「寄与分」の主張などをしなくても、介護をした相続人が法定相続分より多めに遺産を取得することが可能です。

次に、被相続人を被保険者、介護をした相続人を受取人とする生命保険金に加入することです。
被相続人の相続が発生すると、介護をした相続人は、受取人として生命保険金を取得することができます。
生命保険金は、原則として、受取人固有の財産とみなされますので、遺産分割の対象とはなりません。
そのため、介護をした相続人は、法定相続分に加えて、生命保険金を取得することができますので、実質的には法定相続分より多めに遺産を取得できることになります。

遺言や生命保険金については、被相続人の生前に手続きをとる必要があります。
また、被相続人が認知症などで判断能力が無くなっていると、手続きをとることができないので、早めに専門家に相談をして対応することをお勧めします。

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まとめ

親の介護をする場合は、金銭面や精神面の負担も大きいため、法定相続分どおりの遺産分割となると、実質的に不公平と感じてしまい、相続人間でもめてしまうことも非常に多いです。
そのため、可能であれば、生前に、介護をした相続人が遺産を多く取得できるよう専門家に相談をしましょう。
なお、生前に手続きをとっていない場合は、「寄与分」を主張することも検討できます。
「寄与分」が認められるためには、根拠資料の収集、主張書面の作成などが必要となりますので、相続案件の経験豊富な弁護士に手続きを依頼されることをお勧めします。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・寄与分が認められるための要件やハードルがそれなりに高いため、事前に遺言書を残すなどの生前対策を取っておくことが肝心です。また、生前の貯金の引き出しについても他の相続人から不当利得返還請求訴訟を提起される恐れがあるなど、同様に事前に対策をしっかり講じていくことが重要となります。このため、被相続人が存命のうちから弁護士に相談することをお勧めします。また、寄与分の主張や不当利得返還請求を提起された時などは、ご自身で悩まずにお気軽にオーセンスの弁護士にご相談ください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所には、遺産相続について豊富な経験と実績を有する弁護士が数多く在籍しております。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
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どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了。相続に関する相談会や、労働問題のセミナーなどにも取り組んでいる。
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