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公開 2022.05.17

不動産を共有名義にする「共有相続」とは?メリット・デメリットについて解説!

不動産を共有名義にする「共有相続」とは?メリット・デメリットについて解説!

相続が発生した場合に、不動産などの遺産について相続人全員の共有名義とするケースもあります。
しかし、共有名義とすることで、後々問題が発生する可能性もあるため、安易に相続人全員の共有名義とすることはあまりおすすめではありません。
今回は、相続において不動産などの遺産を共有名義とすることのメリットやデメリットなどについてわかりやすく解説します。

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共有相続とは

「共有相続」とは、厳密には法律用語ではなく、一般に、不動産などの遺産を相続人が共同で取得する方法により相続する形態を指す際に用いられる言葉です。

たとえば、相続人が長男、長女の2名いて、相続財産である不動産について、長男と長女、それぞれ2分の1ずつの共有名義とする方法によって相続するような場合を指します。

それでは、どのような場合に共有相続が用いられるのでしょうか。
先ほどと同じように、相続人が長男、長女の2名いて、相続財産が1つの建物(不動産)しかないケースを考えてみてください。
このケースにおいて、長男と長女が“平等に”相続財産を分ける方法はいくつかあります。
わかりやすいのは当該建物を売却してしまい、その売却益を折半する方法です。
建物の売却益が1,000万円であれば、長男と長女で500万円ずつ相続することとなります。
いわゆる「換価分割」と呼ばれる方法ですが、地方のためなかなか売却先が見つからないようなケースや、思い出の詰まった実家だからできれば売りたくない等々、様々な事情によって「換価分割」を選択できないような場合もあります。

ほかにも、長男が建物を全部相続する代わりに、長男が長女に対して代償金を支払う方法もあります。
建物の価値が1,000万円であれば、長男が建物を全部相即する代わりに、長女に対して代償金500万円を支払うなどして相続することとなります。
いわゆる「代償分割」と呼ばれる方法ですが、長男に代償金を支払う資力がなければ「代償分割」を行うことはできません。

このような場合に、平等に相続するための苦肉の策として、その不動産を「長男2分の1、長女2分の1」などで共有名義とする分割方法が取られる場合があります。
これが、「共有相続」が用いられる代表的なケースです。

共有相続以外の相続方法の種類

事前に軽く説明しましたが、共有相続以外にもいくつか相続方法があります。
どのような相続方法があるのかそれぞれ解説していきましょう。

現物分割

現物分割とは、相続人それぞれの相続財産を現物のまま取得する相続方法をいいます。
たとえば、「A県にある自宅の土地と建物は長男が相続し、B県にある貸駐車場の土地は長女が相続する」といった具合です。

現物分割はもっともシンプルな遺産分割方法ですので、相続人間で話がまとまれば楽に相続することができますが、平等に分けることは難しいため、現物分割のみではうまく話がまとまらないケースも少なくありません。

代償分割

代償分割とは、一部の相続人が不動産など評価額の比較的大きな財産を取得する代わりに、他の相続人に対して金銭を支払う形の相続方法です。
たとえば、主な財産が自宅の土地建物(ト―タルの価値2,000万円)のみである場合に、「自宅の土地建物を長男が相続する代わりに、長男が長女に対して1,000万円を支払う」といった例が挙げられます。

金銭で調整するため、ある程度公平に遺産を分けることが可能な一方で、評価額の高い財産を取得する人に代償金を支払えるだけの資力がなければ、この方法を取ることは困難です。

換価分割

換価分割とは、相続財産を売却し、お金に変えたうえで分ける遺産分割方法です。

平等に分けやすい点はメリットですが、今後も住む予定の自宅土地建物や自社株などであればこの方法は避けたいところでしょう。

また、たとえば長男としては3,500万円の売価で良いので早期に売却したいと考えている一方で、長女は時間がかかっても良いので4,000万円以上でなければ売らないと考えている場合など、売却の条件について相続人間で合意ができず売却が進まない可能性もあります。

なお、換価分割をするために不動産を売却した場合には、相続税とは別途、譲渡所得税がかかってしまう可能性があります。

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以上が共有相続以外の相続方法ですが、上記で説明した方法の中から必ずしも1つの方法のみを選択しなければならないわけではなく、たとえば「自宅の土地建物は現物分割で長男が相続し、駐車場用地は長男と長女とで換価分割をする」など、組み合わせて相続することも可能です。

不動産を共有相続する(共同名義にする)メリット

不動産を共有相続する(共同名義にする)メリット
他の分割方法と比較して、共有相続を選択するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
2つのメリットを紹介します。

相続人間に公平感がある

共有相続の1つ目のメリットは、遺産を公平に分けやすい点です。

たとえば、相続財産が1つの不動産しかなく、かつ代償分割や換価分割といった方法も選択できないような場合であっても、共有とすることで平等な遺産分割をすることができます。

収益不動産であれば収入も平等に分けられる

共有相続の2つ目のメリットは、遺産である収益不動産から今後得られる収益も平等に分けることができる点です。

不動産の賃貸収入は、原則的にはその不動産の所有者が持分に応じて取得することになるため、継続的に得られる収入も平等に分けることできます。

不動産を共有相続する(共同名義にする)デメリット

共有相続には、デメリットが少なくありません。
そのため、いったん共有相続をしてもゆくゆくは後ほど解説をする共有解消を目指すケースが少なくないのです。

こうした理由から、遺産相続の専門家は原則として共有相続をおすすめしないことが一般的であるといえます。
では、共有相続にはどのようなデメリットがあるのか、それぞれ確認していきましょう。

管理や売却の意見が食い違えば膠着状態になる可能性がある

不動産を1人で所有していれば、不動産を売却することや誰かに賃貸することなどはその所有者が単独で決めることができます。

しかし、共有の場合には、共有者1人の意見で勝手に決めることができないケースも少なくありません。
共有者全員の同意が必要となるケース、共有持分の過半数の同意が必要となるケース、共有者1人が単独で行えるケースをまとめた以下の表をご覧ください。

不動産の変更(土地や建物の売却、土地上への建物の建築、建物の大規模な改修や建て替え、抵当権などの担保設定など) 共有者全員の同意
不動産の管理(建物の(大規模でない)改装、賃貸借契約の解除、賃料の変更など) 共有持分の過半数の同意
不動産の保存(軽微な修繕など) 他の共有者の同意は不要

たとえば、賃貸アパートを長男と長女それぞれ2分の1ずつの共有名義で共有相続したケースを考えてみましょう。相続開始時点では築年数が浅い建物であったとしても、年数が経過した際には大規模修繕などを避けて通ることは困難です。
アパートの老朽化に伴い共有者の1人である長男が大規模修繕や建て替えをしたいと考えていても、他の共有者である長女の同意が得られなければ修繕や建て替えを実行することはできません。

共有者同士の意見がまとまらないために、いつまで経っても修繕をすることができず、物件が益々老朽化して、結果的に入居者が離れて収益性が大きく低下してしまう可能性もあります。

このように、共有者間での意見が食い違えば不動産についての大きな決断をすることができず、膠着状態となってしまうことが懸念されます。

また、たとえ共有者である長男と長女の関係性が良く、意見の食い違いが起きづらかったとしても、将来いずれかが認知症などとなってしまえば、成年後見人をつけるなど何らかの方策を講じなければ物件の活用が困難になる点にも不安が残ります。

他の共有者と日常的に連絡を取る必要がある

不動産を共有している以上は、不動産の管理にかかる費用や固定資産税などもその持分に応じて負担することが原則です。
そのため、不動産の管理などにあたって、共有者同士で頻繁に連絡を取り合う必要が生じます。

仮に関係性がよくない間柄同士での共有の場合には、このことをストレスに感じてしまう場合もあるでしょう。
また、管理費用などをその都度共有者全員が持分に応じて支払うことは実務的に煩雑であるため、通常は共有者のうちの1人が代表して支払い、後から費用を請求する場合が一般的です。

しかし、他の共有者に請求してもなかなか支払ってもらえないなど、結果的に負担が一部の共有者に偏ってしまう可能性も否定できません。

さらに、たとえば管理会社を入れていない場合には、入居者からのクレーム対応や共用部分の清掃などの実働的な負担も、原則として不動産の所有者が負うこととなります。
しかし、一部の共有者のみがこうした負担を負い、他の共有者の協力が得られない場合もあるでしょう。
こうしたことから不公平感がつのり、さらなるトラブルの火種となる可能性もあります。

世代交代で権利関係が複雑化する

共有相続の最大のデメリットは、世代交代で権利関係が複雑化しかねない点です。

特に土地は、建物と違って老朽化により消滅することはないため、共有者が亡くなった場合には必ず相続が発生します。
仮に長男と長女が物件を共有している場合、その後年月が経過し、長男や長女も亡くなると、その後は長男の妻や子と長女の夫や子とが当該物件を共有することになってしまいます。

共有者が増えれば増えるほど、また共有者間の関係性が遠ければ遠いほど物件の管理や売却などの際に同意を得ることが難しくなり、非常に活用しづらい不動産となってしまうことでしょう。

共有者が広がってしまえば、次で解説をする共有の解消もよりいっそう困難となります。

共有相続した不動産の共有を変更する方法

共有相続した不動産の共有を変更する方法
ここまでお伝えしてきたように、共有相続した不動産はそのままにしておくと、さまざまなトラブルの原因となりかねません。
そのため、どこかのタイミングで共有を解消しておくことが望ましいでしょう。

不動産の共有を解消するには、主に次の方法があります。

他の共有者の共有持分を買い取る

不動産の共有を解消するための最もシンプルな方法は、他の共有者の共有持分を買い取ることです。
たとえば、長男と長女とで不動産を共有している場合に、長男が長女の持分を正当な対価を支払って買い取ることなどが考えられます。

ただし、当然ながら長女が共有持分を手放したくないと主張している場合にまで無理に買い取ることはできません。
あくまでも、売買をすること自体やその対価などについて両者で合意ができることが前提です。
また、長男に長女の持分を買い取れるだけの資力がなければ、この方法を取ることはできません。

なお、共有持分を売却した長女には譲渡所得税が課される場合がある他、仮に市場価値の半額以下など著しく低い対価で買い取った場合には長男に贈与税が課税される可能性があります。
対価の額については、あらかじめ弁護士や税理士などの専門家へ相談すると良いでしょう。

自己の共有持分を売却する

自己が共有状態から抜け出したい場合には、自分の共有持分を他の共有者へ売却したり、第三者へ売却したりすることが考えられます。

ただし、他の共有者に無理に買い取らせるなど押し付けるようなことはできません。
また、他の共有者に共有持分を買い取るだけの資力がなければこの方法を取ることは困難です。

他の共有者が買い取れない場合には、第三者への売却を検討することとなります。
物件全体の売却には他の共有者全員の同意が必要である一方で、自己の共有持分のみの売却であれば他の共有者の同意などは必要ありません。

しかし、共有持分については買い手を見つけるのは困難のため、第三者への売却は難しい可能性が高いでしょう。

土地を分筆する

共有となっている不動産が土地である場合には、土地を2筆に分けるなどの分筆を行い、それぞれを共有者が取得することも検討できます。

たとえば、「〇〇1番地」という広い1筆の土地を長男と長女で共有していた場合に、これを「〇〇1番地1」と「〇〇1番地2」という2筆の土地に分けて、1番地1を長男が、1番地2を長女が取得するといった具合です。

ただし、共有していた不動産が分筆をしても使い勝手を損ねない程度に広い土地でなければ、この方法の選択は合理的ではないでしょう。
分筆の結果、建物が建築できない程度の狭い土地にしてしまっては活用方法がかなり制限され、土地の価値が大きく下落してしまいかねないためです。

また、分筆をするには測量や登記などが必要となるため、相当の費用が必要となります。

共有者全員で不動産を売却する

共有者全員の同意が得られるのであれば、全員で協力をして不動産をまるごと第三者へ売却することも選択肢の一つとなります。

共有物分割請求訴訟を行う

上記のいずれの方法も難しい場合ですと共有物分割請求訴訟を行うしかありません。
共有物分割請求訴訟とは、裁判所を通じて共有状態の解消を行う訴訟手続です。
この訴訟を提起することで、裁判所にどのような方法で共有を解消するのかの決断を下してもらうことができます。

ただし、必ずしも訴えを提起した人の希望どおりに判決がなされるわけではない点には注意が必要です。

たとえば、長男としては長女の共有持分を買い取ることで共有の解消を図りたいと考えていても、裁判所が物件全体を売却してお金で分けるよう判決を下す可能性もあるということです。

自分の希望する形で共有解消ができる可能性を上げるためには、共有物分割訴訟を提起する前に、共有解消などに詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

まとめ

共有相続は、遺産分割の話し合いがまとまらない場合に「とりあえず」選択することの多い分割方法です。
この方法を取ることでその場はいったん丸く収まるかもしれませんが、不動産を共有にしてしまえばその後さまざまトラブルの原因となりかねません。

いったん共有相続にしてしまった不動産の共有状態を解消するには、遺産分割協議以上に労力がかかることも多いといえます。
共有相続は結局のところ、問題の先送りにしかならないケースが少なくないのです。

相続が起きた際の遺産分割でお困りの際や、すでに共有となってしまっている不動産の共有解消をご検討の際には、ぜひオーセンスまでご相談ください。

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    • どうすれば良いか解決方法についてアドバイスいたします。
記事を監修した弁護士
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弁護士 
(第二東京弁護士会)
大阪大学法学部法学科卒業、神戸大学大学院法学研究科実務法律専攻修了。企業法務としては、債権回収、労働問題(使用者側)、倒産を中心に、個人法務としては、相続、過払金返還、個人破産、発信者情報開示などの解決実績を持つ。
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