コラム

2020.11.09

マンション相続で発生する手続き。遺産分割の流れや税金について徹底解説!

亡くなった方(被相続人)がマンションに暮らしていた、あるいは投資用マンションを所有していた場合、相続人となった遺族にマンションの相続や取引に関する手続きの知識がなく、対処法が全く分からないというケースも珍しくありません。
今回は、マンションを相続する可能性がある方にぜひ押さえておいていただきたい相続の全体像を分かりやすく解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(東京弁護士会)
創価大学法学部卒業、創価大学法科大学院法務研究科修了。離婚問題、遺産相続などの家事事件を中心に、個人からの依頼案件を数多く担当。これまで解決に携わった案件数は500件を超える。

マンションの相続手続きの流れ

被相続人が亡くなった際には、被相続人の財産を相続するための手続きをしなければなりません。
その中でも、マンションの相続における手続きは大きく4つのステップに分けられます。
まずはそれぞれの手順を確認していきましょう。

1 相続人調査・相続財産調査

最初に行うのが、「相続人は誰か・何人いるのか」を調べる相続人調査と、「相続財産には何があるのか」を調べる相続財産調査です。

民法では、被相続人の財産を相続する法定相続人の範囲や、相続の優先順位が決められています。
そして、相続人が複数人おり、被相続人の遺言がない場合には、相続財産をどのように分割するのかを相続人全員で話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。
しかし、この遺産分割協議は、相続する権利を持っている人全員で協議を行わなければならず、協議後に他に相続人がいることが判明した場合、協議で決定した内容を白紙に戻し、遺産分割協議をやり直すことになってしまいます。

また、相続財産調査では、不動産や現金などのプラスの財産だけでなく、借金やローンといったマイナスの財産についても把握する必要がありますが、遺産分割協議で決定した後、相続財産が新たに発見された際には、やはり新たに発見された相続財産の遺産分割協議を行う必要があります。
新たに判明した財産の内容によっては、それまでに決めた協議内容が白紙になることもありえます。

遺族が把握していなかった相続人や相続財産の存在が後から判明するのは、珍しいことではありません。
トラブルを避けるためにも、遺産分割協議の前に、相続人調査と相続財産調査を確実に行うことが大切なのです。

2 遺産分割協議

先に説明したとおり、法定相続人が複数人いるケースでは、遺産をどのように分割するのかを相続人全員で話し合って決定します。
亡くなった被相続人が遺言書を準備していたのであれば、遺言書に書かれている内容で遺産を分割することが一般的ですが、遺産分割協議で相続人全員が同意した場合には、遺言書どおりに分割しないケースもありえます。

そして、この遺産分割協議が複雑になることが多いのが、遺産に不動産が含まれている場合です。
現金であれば「相続人○○に対して○○円」といった形で決定したとおりの金額を各相続人に分配することができますが、建物や土地といった不動産の場合は、「不動産を誰が取得するのか」、「不動産を取得できなかった相続人はどのような財産を取得するのか」、そして「相続人の間で不公平が生じないためにはどうしたらよいか」など、検討しなければならないことが多くあり、遺産分割は簡単ではありません。
そのため、相続する財産の中にマンションなどの不動産があると、遺産分割がスムーズに進行しないことも多いのです。

では、実際の遺産の分割方法について説明します。
それぞれの特徴を確認し、どの方法を採るのかを検討しましょう。

現物分割

現物分割とは、相続財産をその状態のまま相続することです。
例えば、相続財産のうちのマンションは配偶者へ、現金は子どもAへ、有価証券は子どもBへ、といった形で、1つ1つの財産を1人1人が個別に取得します。
デメリットとしては、相続する内容によっては平等な遺産分割にならない点が挙げられます。

代償分割

代償分割は、法定相続分以上の財産を取得した相続人が、他の相続人に代償財産(多く取得した財産に見合うお金)を支払う分割方法です。
例えば、相続人のうち1人がマンションを取得した場合、他の相続人に対し、各相続人の相続分に応じて金銭等を支払います。
現物分割と比較すると平等な分割方法といえますが、マンションを取得した相続人に経済的な余裕がない場合、代償を実現することが難しいのがデメリットです。

換価分割

換価分割とは、不動産のような分割できない遺産を売却して現金に替え、その金額を各相続人で分配するという方法です。
金額面において公平な遺産分割を実現できることが大きなメリットですが、売りに出したマンションになかなか買い手がつかない、あるいは思ったほど高く売れなかった等、見込み通りに進まない可能性もあります。
なお、換価分割をする場合は、贈与税発生のリスク回避のために、遺産分割協議書に換価分割であることを記載する必要があります。

共有

共有とは、マンションのような分割できない遺産について、複数名の相続人で共有持分権を持つ方法です。
被相続人の遺産を手放すことなく、かつ平等に相続できる点はメリットといえます。
しかし、後になって不動産を売却したいと考えたときに1人の判断では行えないことや、将来発生する相続が複雑化する要因になる等、様々なリスクがあり、問題の先送りになる可能性があるため、お勧めは出来ません。

3 所有権移転登記(相続登記)による名義変更

遺産分割協議によってマンションの相続人になった場合は、マンションの名義を被相続人から相続人に移すための「所有権移転登記」の手続きを行わなければなりません。
相続による所有権移転登記は「相続登記」と呼ばれることもあります。
相続したマンションの所在地を管轄している法務局に必要書類を提出し、登録免許税を納付することで、名義を変更することができます。

この所有権移転登記をいつまでにしなければならないか、という期限は設けられていないものの、所有権移転登記による名義変更を行っていなければ、マンションを売却したり、あるいはローンの担保に入れたりすることができません。
そのため、マンションの相続が決まった場合、なるべく早めに相続登記をするべきといえます。

4 相続税の申告

相続で必要になるお金といえば相続税を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ただし、相続税には基礎控除があり、被相続人の遺産の総額が基礎控除内に収まっていれば、相続税は非課税となり、申告の必要もありません。
基礎控除額は以下の計算式で算出します。

  • 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円 = 基礎控除額

マンションのほか、現金などを含む相続財産の合計金額が基礎控除額を上回っていた場合には、相続税の申告が必要となります。
この相続税の申告と納税は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」に行わなければならないと決められており、期限に間に合わないと延滞税や無申告加算税を支払わなければならなくなるため注意が必要です。

マンションの評価額の計算方法

マンションの相続においては、先に説明した登録免許税や相続税といった税金を納めることがあります。
その税金の金額を算定するうえで重要なのが「評価額」です。
この評価額について確認しておきましょう。

固定資産税評価額

先に解説したとおり、不動産を相続したら所有権移転登記の手続きを行います。
その際に納付する登録免許税の金額は、「相続した不動産の固定資産評価額×0.4%」です。

この計算に必要となる固定資産評価額は、これは東京23区内であれば都税事務所で、その他の地域の場合は市区町村の役所で取得できる「固定資産評価証明書」に記載されています。
では、固定資産評価額はいったいどのように算出するのでしょうか?

マンションの固定資産評価額を計算するうえでは、実際に取得したマンションの部屋(専有部分)だけでなく、共用部分や、マンションが建っている土地の敷地権も考慮する必要があります。
専有部分の評価額には、法定共用部分(規約によりマンション住人の共用部分とされている共用部分)の評価額も含まれており、その「専有部分の評価額」と「敷地の評価額 × 敷地権の持分割合」を足した金額が、登録免許税算出の根拠となる固定資産評価額になります。

相続税評価額

相続税の計算には「相続税評価額」を用います。
マンションの建物部分と土地部分のうち、建物部分の相続税評価額に関しては、相続登記と同じく固定資産税評価額を用いることが一般的です。

土地に関しては、「路線価方式」または「倍率方式」という方法で評価額を算出します。
路線価が定められている市街地のマンションの場合、路線価方式により、マンションの敷地全体の評価額は「路線価×土地の面積×奥行価格補正率」によって算出できます。
郊外に建てられたマンションの場合には、倍率方式により、マンションが建っている土地の評価額を「土地の固定資産税評価額×評価倍率」で計算します。

この計算に用いる路線価および評価倍率は、国税庁のウェブサイトで確認することができます。

マンションを相続しても相続税が発生しないケースとは?

相続する財産がマンションだけの場合、相続税は発生しないケースが多くあります。その理由を詳しく紹介します。

基礎控除額の範囲内であれば相続税はかからない

先に説明したとおり、基礎控除額は「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」で計算します。
唯一の相続財産であるマンションの相続税評価額が基礎控除額を下回っていれば、相続税は発生しません。

相続をする際にさまざまな控除が受けられる

マンションを相続する場合は、基礎控除のほか、条件に該当するとさまざまな控除を受けることが可能です。
例えば、「配偶者控除(配偶者控除の控除額は1億6,000万円)」や「小規模宅地等の特例」などが挙げられます。
このように様々な控除があり、相続税が発生しないケースも多いことから、一度専門家に相談をし、ご自身の相続税の支払義務について確認をされるのが良いでしょう。

マンションを相続する際の注意点

最後に、マンションを相続する際に注意すべき点について確認しておきましょう。

相続後にもさまざまな費用が発生する

相続したマンションを賃貸物件として運用する場合には、ハウスクリーニングやリフォームが必要な場合があります。
また、不動産会社に仲介や管理を依頼するため、不動産会社に手数料を支払う場合もあります。
さらに、入居者が見つかった後も、マンションを管理する費用や手間が発生します。

売却する場合、買い手がつかない可能性がある

相続したマンションに居住せず、維持費もかけたくない場合は、「売却すれば良い」と考えるかもしれません。
しかし、中古マンションは売却に時間がかかることも多いですし、築年数の古いマンションであれば、希望する金額では売れないことも考えられます。
メンテナンスやリフォームのための支出も必要になるでしょう。

専門知識が必要になる

今回説明した相続人・相続財産の調査、遺産分割協議、そして所有権移転登記や相続税の申告といった一連の流れの中で、正確な調査や評価額の計算など、相続に精通した専門家の助力が必要な場面は多くあります。
マンションの相続が発生したら、なるべく早い段階で専門家に相談するのがよいでしょう。

まとめ

マンションの相続にはさまざまな注意点があり、手元に残る財産の額に大きく影響することもありえます。
しかし、相続は頻繁に発生するものではないので、手続きの流れや方法が分からないという方も非常に多いです。
マンションの相続手続きや相続税について不安や疑問がある場合には、お早めにAuthense法律事務所の弁護士にご相談ください。

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