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2021.01.20

遺留分の権利についてわかりやすく解説!

遺留分とは一定範囲の相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。たとえば不公平な遺言書が残された場合、兄弟姉妹以外の相続人には最低限度の遺産取得分が保障されます。遺留分の権利、遺留分の割合、請求方法についてわかりやすく解説します。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(東京弁護士会)
創価大学法学部卒業、創価大学法科大学院法務研究科修了。離婚問題、遺産相続などの家事事件を中心に、個人からの依頼案件を数多く担当。これまで解決に携わった案件数は500件を超える。

1.遺留分とは

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。

遺留分が特に重要になるのは、不公平な遺言書が遺されたケースです。
遺言により「長男にすべての遺産を相続させる」「愛人にすべての財産を遺贈する」など、特定の人に全部あるいは多くの遺産が遺贈されたり相続分として指定されたりした場合を考えてみてください。

他の相続人は遺産をほとんど受け取れなくなってしまい、不満を持つでしょう。子どもや配偶者であるにもかかわらず遺産を受け取れないと「できるだけ近い親族に遺産を分け与える」ことを目的とした法定相続人制度の趣旨にも合いません。
そこで民法は一定範囲の近しい相続人に、最低限の遺産取得分として「遺留分」(民法第1042条等)を保障しているのです。

兄弟姉妹以外の法定相続人は、遺言によって遺留分を侵害されたら侵害者へ「遺留分侵害額請求」(民法第1046条第1項)を行い、侵害された遺留分を取り戻せます。

1-1.遺留分が認められる相続人

遺留分が認められる相続人は「兄弟姉妹以外の相続人」です(民法第1042条第1項参照)。具体的には以下の人が該当します。

配偶者

夫や妻には遺留分が認められます。内縁の配偶者には相続権がないので、遺留分も認められません。

子ども、孫などの直系卑属

子どもには遺留分が認められます。子どもが親より先に死亡したため孫が代襲相続する場合、孫も先に亡くなっていてひ孫が再代襲相続する場合には、孫やひ孫に遺留分が認められます。

親、祖父母などの直系尊属

親にも遺留分が認められます。両親ともに先に亡くなっていたら祖父母、祖父母も先になくなっていたら曾祖父母が相続しますが、その場合の祖父母や曾祖父母にも遺留分が保障されます。

1-2.遺留分が認められない相続人

以下の相続人には遺留分が認められません。

兄弟姉妹、甥姪

兄弟姉妹やその代襲相続人である甥姪には遺留分がありません。

相続放棄した人

子どもや配偶者などの相続人であっても相続放棄したら相続権を失い、遺留分も認められなくなります。

相続欠格者、相続廃除された人

相続欠格者や相続廃除された人にも遺留分が認められません。ただし相続欠格者や相続廃除された人の子どもや孫が代襲相続(再代襲相続)するときには、遺留分が認められます。

2.遺留分を請求できる3つのケース

遺留分を請求できる3つのケース

実は遺留分を請求できるのは、不公平な遺言があった場合だけではありません。以下の3つのケースで遺留分を請求できるので、押さえておきましょう。

2-1.遺言

遺言によって遺留分を侵害された場合には、遺留分侵害額請求できます。

2-2.死因贈与

死因贈与とは、死亡を原因として財産を贈与する契約です。父親が長男と合意して「死亡した際にはすべての遺産を贈与する」と契約していた場合が典型例となります。
死因贈与契約も遺留分請求の対象になるので、不公平な死因贈与があれば遺留分権利者は侵害者へ遺留分を請求できます。

2-3.生前贈与

生前贈与も遺留分請求の対象になります。生前贈与とは、被相続人が生前に財産を贈与する契約です。ただし生前贈与の場合、すべてが遺留分請求の対象になるわけではありません。

死亡前1年間の生前贈与

相続人以外の受贈者に対しては、基本的には死亡前1年以内に行われた生前贈与が遺留分侵害額請求の対象になります。それより古い生前贈与については遺留分を主張できないのが原則です。

受贈者が法定相続人の場合、死亡前10年間の生前贈与

生前贈与の受贈者が相続人の場合には、死亡前10年間の婚姻若しくは養子縁組のため、または生計の資本としてなした生前贈与について遺留分侵害額請求の対象になります。

当事者が遺留分侵害について知っていた場合の生前贈与

死亡の1年以上前の生前贈与でも、当事者双方が「この贈与によって遺留分を侵害する」と知りながら行った場合には遺留分侵害額請求の対象となります。

3.パターン別 遺留分の割合

遺留分の割合は、法定相続人の種類や個々の法定相続分によって変わります。
具体的には以下の表のとおりです。

相続人別の遺留分の割合

配偶者 子ども
配偶者のみ 2分の1
配偶者と1人の子ども 4分の1 4分の1
配偶者と2人の子ども 4分の1 8分の1ずつ
1人の子ども 2分の1
2人の子ども 4分の1ずつ
配偶者と両親 3分の1 12分の1ずつ
配偶者と片親 3分の1 6分の1
両親のみ 6分の1ずつ
片親のみ 3分の1
配偶者と兄弟姉妹 2分の1

4.法律によって変わった遺留分の請求方法

法律によって変わった遺留分の請求方法

遺留分を侵害されたとき、遺留分を請求するにはどうすれば良いのでしょうか?
実は遺留分の請求方法は近年の法改正によって大きく変更されているので、正しい知識をもっておきましょう。

遺留分は「お金」で請求する(遺留分侵害額請求)

新しい民法では、遺留分は「お金」で請求するルールになっています。この「金銭の請求権」を「遺留分侵害額請求権」といいます。

つまり遺留分を侵害されたら、侵害された分をお金で精算してもらうのが原則です。遺産そのものの返還を求めることはできません。

遺留分侵害額請求の具体例

兄弟2人が相続人となっている事案において全相続財産であった評価額5,000万円の不動産が長男に遺贈されたために、二男の遺留分が侵害されたとしましょう。
二男の遺留分割合は4分の1です。

二男は長男に対し、遺留分侵害額請求権を行使して「1,250万円の支払い」を請求できます。不動産自体の取り戻しは請求できません。

話し合いによって物で返還する方法もある

新民法のもとでも、当事者同士の話し合いにより、物で遺留分を返還することも可能です。

たとえば全相続財産であった評価額3,000万円の株式が長男に遺贈されたために二男の遺留分が侵害されたとしましょう。二男の遺留分割合は4分の1なので、本来、二男は長男へ遺留分侵害額として750万円の請求が可能です。
ただ長男に現金がなければ、お互いの話し合いにより750万円分の株式を引き渡して解決してもかまいません。

法改正前は「現物返還」が原則だった

法改正前は、「遺留分を物で取り戻す」のが原則的な取扱いとなっていました。不動産なら共有、株式なら準共有となります。このように現物で遺留分の返還を求める権利を「遺留分減殺請求」といいます。
新法が施行されたのは2019年7月1日なので、その前に発生した相続については「遺留分減殺請求」により、遺産そのものを取り戻すのが原則となります。

5.遺留分侵害額請求権の時効

遺留分侵害額請求権には「時効」があります。相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内に請求しなければなりません。
確実に期限内に請求した証拠を残すため、「内容証明郵便」を使って「遺留分侵害額請求書」を送りましょう。

まとめ

遺言や贈与によって兄弟姉妹以外の相続人の遺留分を侵害されたら、「遺留分侵害額」の請求が可能です。時効は1年間で短いので、早めに対応しましょう。遺留分がどのくらい認められるか知りたい方、請求しても返還に応じてもらえずお困りの方など、いらっしゃいましたら弁護士までご相談ください。

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