コラム

2021.02.08

「換価分割」とは?メリットとデメリットを弁護士が解説

遺産分割の方法として「換価分割」があります。
換価分割とは、不動産や株式などの資産を売却してお金で分け合う方法のことです。
不要な資産を売却し、相続人どうしで公平に分けることができます。
換価分割にはメリットだけではなくデメリットもあるので、正しく理解しましょう。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(大阪弁護士会)
同志社大学法学部法律学科卒業、立命館大学法科大学院修了。離婚、相続問題を中心に、一般民事から企業法務まで幅広い分野を取り扱う。なかでも遺産分割協議や遺言書作成などの相続案件を得意とする。

1.換価分割とは

換価分割とは、遺産を売却して、相続人どうしで分け合う遺産分割の方法です。
たとえば不動産を相続したときに、相続人が誰も住みたいと思わず、かといって活用したい希望もないとしましょう。
そんなとき、不動産を残しておくよりは、売却した上で、相続人間で現金で分けるのがベストです。
そこで不動産を売却し、相続人が法定相続分に応じて売却金を分け合います。
これが換価分割です。

換価分割は、不動産や株式などで検討することになります。現金や預貯金は始めからお金ですので、換価する必要はありません。

2.換価分割のメリット

換価分割には以下のようなメリットがあります。

2-1.公平に分けられる

換価分割を行う場合、売却金を法定相続分に応じて分配するのが通常です。
このとき「1円単位」で計算できるので、完全に法定相続分に即して公平に遺産を分け合うことができます。
現物分割や代償分割ではどうしても相続人間で不公平になりやすいので、それと比べると換価分割には「公平に相続できる」メリットがあるといえるでしょう。

2-2.資金がなくても分割可能

マンションや戸建てなどの不動産を、できるだけ公平に分ける方法としては「代償分割」があります。
代償分割とは、例えば遺産がマンションのみの場合に、マンションを一人で相続した相続人が、他の相続人に対して、法定相続分相当の金銭(代償金)を渡すという方法です。
ただ代償分割するには、不動産を取得する相続人に「代償金の支払い能力」があることが必要です。
資力のない相続人が自宅などの取得を希望しても、代償分割はできません。

この点、換価分割であれば相続人の誰にも資力がない状態でも、上記のようなことにはなりません。
資金がなくても公平に分けやすいメリットがあるといえるでしょう。

2-3.納税資金を用意できる

換価分割は、相続税が発生するケースでも威力を発揮します。
相続税を支払わなければならない場合、相続人たちは、原則として相続開始後10ヶ月以内に現金一括で相続税を納めなければなりません。
資金がなければ延滞状態となってしまいます。

換価分割によって不動産や株式などを売却してまとまった資金を得られたら、相続税を納税できるメリットがあります。

2-4.相続税を節税できるケースも

被相続人が生前に不動産を売却するより、相続発生後に相続人が換価分割で不動産を売却する方が相続税の節税になります。
なぜなら現金より不動産の方が、相続税評価額が下がるためです。
相続税評価額は、土地なら現金資産の8割程度、建物の場合は現金資産の7割程度が目安となります。

不動産のかたちで相続して相続税評価額を下げ、後に市場価格で売却して現金を得たら、より多くの資産を残せるでしょう。

3.換価分割のデメリット

換価分割には以下のようなデメリットもあります。

3-1.手間がかかる

換価分割するためには、相続人全員が合意して協力し、不動産の売却手続きを進めなければなりません。
まずは遺産分割協議をして、不動産を売却することに相続人全員が納得しなければなりませんし、その後に不動産会社へ依頼して売却活動もする必要があります。
非常に手間がかかる点はデメリットとなるでしょう。

3-2.安くしか売れないケースも

換価分割するとき、相続人としては「できるだけ早く売ってしまいたい」と考えるものです。
特に相続税の納税資金にしたい場合、税金の納付時期までに売却金の支払いを受けなければなりません。
ただ不動産は、売り急ぐと買い叩かれる傾向があります。
また景気の動向により、時期を待てないと安くしか売れないケースも少なくありません。

換価分割をすると、良い相場時期や良質な買い主を待つのが難しいので、売却価格が低くなってしまう傾向があります。

3-3.経費がかかる

換価分割を選択すると、不動産仲介会社へ支払う手数料や印紙代、測量費用、境界確定費用などの諸経費がかかります。
額面額より手取りが低くなる可能性が高いので、注意しましょう。

3-4.所得税が発生する可能性がある

不動産を売却すると「譲渡所得税」が発生する可能性があります。
譲渡所得税は、不動産を売却した価額から購入価額、売却や購入にかかった費用を引き算した「利益」に対してかかる税金のことです。
譲渡所得税がかかると住民税も増額されます。
「相続した空き家の譲渡所得税控除の制度」などを上手に利用しないと、譲渡によって高額な税金が発生するケースもあるので注意してください。

4.換価分割の手順

換価分割の手順

換価分割するときには、以下の手順で進めましょう。

4-1.遺産分割協議で換価分割に合意する

まずは相続人全員が参加して遺産分割協議を行い、換価分割に全員が同意する必要があります。
1人でも反対したら換価分割はできません。
合意できたら「遺産分割協議書」を作成し、換価分割することを明記してください。

4-2.物件を売り出す

遺産分割がととのったら、不動産を売り出しましょう。
このとき、基本的には法定相続人全員が協力して、売却活動をしなければなりません。
不動産業者の選定、契約などについても全員の共同作業となります。
相続人の代表者を定めて不動産業者と連絡をとることが効率的です。

もしくはいったん不動産を相続人代表者の名義にして、代表者が単独で売却活動を進めることも可能です。ただし、この場合には、後々トラブルになる可能性もあるため、注意が必要です。

4-3.売却金を受け取る

不動産を売却できたら、相続人の代表者が売却金を受け取りましょう。
このとき、代表者の個人財産と混ぜてしまうと混乱が発生するので、できれば相続用の専用口座を作ることをお勧めします。

4-4.法定相続人間で分配する

売却金から経費を差し引き、法定相続人間で分配しましょう。
分配割合は、基本的に「法定相続分」に従います。
ただし相続人全員が合意すれば、別の割合にしてもか構いません。
たとえば配偶者がほとんどの部分を取得し、残りを子どもが受け取るなど、状況に応じて全員が納得できる方法で分け合いましょう。

まとめ

換価分割をすると、不動産などの分けにくい資産でも相続人間で公平に分割しやすいメリットがあります。
相続税の納税資金にできるケースも少なくありません。
手元に残す必要がない遺産であれば、換価分割のメリットが大きくなるでしょう。
ただし売却活動に手間がかかったり余計な経費が発生したりするデメリットもあります。
譲渡所得税等の税金にも注意しなければなりません。

相続人間で分け方についての意見が合わずトラブルになったら、弁護士に相談しましょう。
当事務所では相続トラブルの予防にも万一トラブルが発生した場合の解決にも対応可能ですので、相続関係のお悩みはお気軽にご相談ください。

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