コラム
公開 2016.06.20 更新 2024.06.27

遺産分割協議とは?やり方と流れ、いつまでに行うべきか弁護士がわかりやすく解説

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相続が起きて確定的に遺産を分けるためには、遺産分割が必要です。

遺産分割で主張できる割合は、どの程度なのでしょうか?
また、遺産分割はどのような流れで行えばよいのでしょうか?

今回は、遺産分割の割合など基本的な概要と併せて、遺産分割における預貯金の取り扱いや遺産分割でもめてしまった場合の対応まで、弁護士がくわしく解説します。

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遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、遺産を分けるための話し合いです。

人が亡くなり相続が発生すると、原則として故人(「被相続人」といいます)が有していた財産は自動的に相続人全員での共有となります。
しかし、共有のままでは遺産の使い勝手がよくありません。
また、被相続人の銀行預金を解約したり、株などの有価証券を売却したりすることも困難です。

そこで、被相続人の遺産を確定的に分けるため、相続人全員で話し合いを行います。
たとえば、「自宅の土地建物は被相続人の妻が相続して、A銀行の預金は長男が相続して、B証券会社に預託している有価証券は長女が相続する」といった具合です。
この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議が不要なケース

相続が起きても、遺産分割協議が不要な場合があります。
ここでは、遺産分割協議が不要なケースを2つ紹介します。

相続人が1人しかない場合

1つ目は、被相続人の相続人が1人しかいない場合です。

たとえば、被相続人には亡くなった時点で配偶者がおらず、子どもは長女1人だけである場合、他に特別な事情がない限りは長女だけが相続人となります。
この場合、遺産分割協議をする必要はありません。
なぜなら、遺産分割協議をするまでもなく、長女が全財産を相続することとなるためです。

なお、相続人が1人だけというケースは、実はさほど多くありません。
子どもがいない夫婦の場合、夫が亡くなると妻だけが相続人になるとの誤解が散見されます。
しかし、子どもがいない場合は、妻とともに夫の両親(他界している場合は、夫の兄弟姉妹や甥姪)が相続人となることに注意が必要です。

遺言書ですべての遺産の承継先が決まっている場合

2つ目は、被相続人が有効な遺言書を遺しており、その遺言書ですべての遺産について承継先が決まっている場合です。

「A土地とB建物は長男に相続させ、C銀行の預貯金とその他の遺産はすべて二男に相続させる」のように、遺言書ですべての遺産の承継先が決まっている場合、原則として遺産分割協議をする余地はありません。
ただし、相続人全員(相続人以外に受遺者がいる場合や遺言執行者がいる場合は、相続人と受遺者、遺言執行者全員)の同意がある場合は、遺言書と異なる遺産分割協議を成立させることもできます。

なお、遺言書があっても「全財産の3分の2を長男に、3分の1を二男に相続させる」など相続分を指定する内容の遺言書であれば、遺産分割協議は必要です。

また、遺言書で「A土地とB建物は長男に相続させる」など、一部の遺産についてだけ承継先が指定されている場合は、遺言書で承継先の指定がないその他の遺産について遺産分割協議が必要となります。
遺言書がある場合において、遺産分割協議が必要かどうか判断に迷う場合には、弁護士などの専門家へご相談ください。

遺産分割協議に期限はある?

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さまざまな事情により、相続が起きてからすぐに遺産分割協議をすることが難しい場合もあるでしょう。
では、遺産分割協議に期限はあるのでしょうか?
ここでは、順を追って解説します。

遺産分割協議自体に期限はない

遺産分割協議自体に、期限はありません。
そのため、相続が起きてから数十年が経ってから遺産分割協議をすることも可能です。

実際に、不動産が数十年前に亡くなった先代名義のままとなっており、名義変更をするために遺産分割協議をするケースは少なくないでしょう。

ただし、被相続人が亡くなる前に遺産分割協議を成立させることはできません。

相続税申告が必要な場合は申告期限までの協議成立を目指す

相続税とは、遺産などに対してかかる税金です。
遺産や被相続人が過去に行った一定の贈与などの合計が次の「基礎控除額」を超える場合は、相続税の申告が必要となります。

  • 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日(通常は、被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内です。
そして、各相続人の納税額を正しく算定するには、申告期限までに遺産分割協議がまとまっていなければなりません。
そのため、相続税の申告が必要な場合は、相続税の申告期限までの遺産分割協議成立を目指すこととなります。

なお、相続争いが起きている場合など、相続税の申告期限までの協議成立が難しい場合もあるでしょう。
この場合は、相続税の申告期限までに仮の申告と納税を行います。
その後、遺産分割協議(または、調停や審判)が成立したら、成立の翌日から4ヶ月以内に修正申告や更正の請求をすることとなります。

ただし、この仮の申告では、相続税の大きな軽減につながる「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などの特例は使うことができません。
そのため、これらの特例の適用がない前提で、いったん納税をする必要が生じます。

もっとも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税の申告期限までに提出した上で、申告期限から3年以内に遺産分割協議がまとまった場合は、修正申告や更正の請求をすることでこれらの特例の適用を受けることができます。
しかし、申告期限から3年を過ぎてしまうと、もはやこれらの特例の適用を受けることはできません。

まとめると、相続税申告が必要な場合の遺産分割協議の期限は次のとおりです。

  1. まずは、申告期限(相続開始の翌日から10か月以内)の協議成立を目指す
  2. 1が難しい場合は、申告期限から3年以内(相続開始から3年10か月以内)の協議成立を目指す

相続開始から10年が経つと寄与分などの主張ができなくなる

令和5年(2023年)4月1日に施行された改正民法により、相続開始から10年が経過した後の遺産分割協議では、次の主張ができないこととなりました。

  • 寄与分(被相続人の遺産増加や遺産が減らなかったことに寄与した相続人に認められる、相続分の増額)
  • 特別受益(被相続人から生前贈与や遺贈で財産を取得した相続人の、相続分の減額)

そのため、遺産分割において寄与分や特別受益を考慮したい場合は、相続開始から10年以内の遺産分割を目指すこととなります。
ただし、10年経過前に家庭裁判所に遺産分割請求をしていたなど、一定の場合には10年が経過してからでも寄与分や特別受益の主張が可能です。

なお、相続人全員の協議さえまとまれば、どのような遺産分割協議を成立させても構いません。
つまり、相続開始から10年が経ってからでも、相続人全員が合意するのであれば、寄与分や特別受益を考慮した遺産分割協議を成立させることは可能です。

そのため、この規定は当事者間で遺産分割協議がまとまらず、裁判所での調停や審判で遺産分割をする場合を想定するとよいでしょう。

遺産分割協議の進め方

遺産分割協議は、どのように進めればよいのでしょうか?
ここでは、遺産分割協議の基本的な流れを解説します。

  • 遺言書の有無を確認する
  • 被相続人の自宅内を探す
  • 遺産を調査する
  • 相続人を調査する
  • 遺産分割協議を行う
  • 遺産分割協議書を作成する

遺言書の有無を確認する

相続が起きたら、まずは被相続人の遺言書の有無を確認します。
先ほど解説したように、すべての遺産について承継先が指定された有効な遺言書があれば、原則として遺産分割協議をする余地はないためです。

遺言書を探す主な方法は、次のとおりです。

  • 被相続人の自宅内を探す
  • 被相続人と生前付き合いのあった専門家(弁護士など)へ問い合わせる
  • 最寄りの公証役場で照会をかける(公正証書遺言の場合)
  • 最寄りの法務局で照会をかける(法務局での保管制度を使っている自筆証書遺言の場合)

遺言書が見つかったものの、不審な点があり偽造が疑われる場合や遺言書の内容に不服がある場合は、弁護士へご相談ください。

遺産を調査する

ここからは、被相続人が遺言書を遺していなかった前提で解説を進めます。

遺産分割協議を行う前に、被相続人の遺産を調査しましょう。
遺産の全容がわからなければ、遺産分割協議を行うことが難しいためです。

判明した遺産は、一覧表にまとめておくと便利です。

遺産の調査では、次の資料などが参考となります。

  • 不動産:固定資産税課税明細、登記済権利証(登記識別情報通知)、全部事項証明書
  • 預貯金:通帳、キャッシュカード
  • 有価証券:証券会社から送付される「預かり資産明細書」など
  • 車:車検証

被相続人と同居していた相続人がいない場合や、被相続人が財産について家族にさえ話していなかった場合など遺産の全容がわからない場合は、弁護士などの専門家へご相談ください。

相続人を調査する

遺産の調査と並行して、相続人の調査を行います。

被相続人に配偶者がいれば、その者は常に相続人です。
また、次の者がいれば、第1順位の相続人から優先的に(被相続人に配偶者がいれば、配偶者とともに)相続人となります。

  • 第1順位:被相続人の子。被相続人より先に死亡するなどして相続権を失った子がいる場合は、その相続権を失った子の子(被相続人の孫)
  • 第2順位:被相続人の父母。父母がいずれも他界しており、祖父母のうち存命の者がいる場合は、その存命の祖父母
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹。被相続人より先に死亡するなどして相続権を失った兄弟姉妹がいる場合は、その相続権を失った兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪)

相続人の確定は、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本などを取り寄せて行います。
自身で相続人を確定することが難しい場合は、弁護士などの専門家へご相談ください。

遺産分割協議を行う

遺産の全容がわかり、相続人が確定できたら遺産分割協議を行います。

遺産分割協議の成立には、相続人全員による合意が必要です。
相続人が1人でも漏れた遺産分割協議は無効であることには注意が必要です。

なお、必ずしも相続人全員が一堂に会する必要はありません。
代表の相続人が一人ひとりの相続人と話し合うなどして協議をまとめても構いません。

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議がまとまったら、その結果を記した遺産分割協議書を作成します。
協議がまとまった証拠となるほか、不動産の名義変更や預貯金の解約などさまざまな手続きで必要となるためです。

遺産分割協議書には、誰がどの遺産を取得することとなったのかを明確に記載したうえで、相続人全員が実印での押印と署名をします。

遺産分割の方法

遺産分割には、主に次の4つの方法があります。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有分割

ここでは、4つの遺産分割方法について概要を解説します。
なお、実際にはこれらの方法をいくつか併用して遺産分割をすることも少なくありません。

現物分割

現物分割とは、財産をそのままの形で分ける方法です。
「自宅不動産は長男が相続し、貸地とA銀行の預貯金は長女が相続し、B証券会社に預託している有価証券は二男が相続する」などがこれに該当します。

現物分割は、もっともシンプルな遺産分割方法です。
ただし、現物分割だけで平等に遺産を分けられるケースはさほど多くないでしょう。

代償分割

代償分割とは、一部の相続人がまとまった遺産を相続する代わりに、他の相続人に金銭(「代償金」といいます)を支払って配分を調整する遺産分割方法です。
「唯一の遺産である自宅不動産を長男が相続し、その代わりに長男から長女と二男に対してそれぞれ〇円の金銭を支払う」とする場合などがこれに該当します。

金銭で調整するため、代償分割は平等な遺産分割を実現しやすい手法です。
ただし、まとまった遺産を相続する者(例の場合は、長男)に代償金を支払えるだけの余力がなければ、この方法を取ることは難しいでしょう。

換価分割

換価分割とは、遺産を売却(換価)して、得た金銭を分ける遺産分割方法です。
「被相続人の死亡によって空き家となった不動産を売却して、その売却対価を長男、長女、二男で3分の1ずつ分ける」場合などがこれに該当します。
お金で分けるため、平等な遺産分割を実現しやすい手法です。

ただし、たとえば長男は「3,000万円以上でないと売却したくない」と考えている一方で長女が「2,500万円もよいので早く金銭を得たい」と考えている場合など、売却方針がまとまらず売却が進まない場合もあります。
また、相続人の一部が遺産を売りたくないと考えている場合には、この手法を取ることはできません。

共有分割

共有分割とは、遺産を共有する遺産分割手法です。
「唯一の遺産である自宅不動産を、長男、長女、二男が各3分の1の割合で共有する」場合などがこれに該当します。

共有分割では平等な配分が可能であり、よい分割方法であると感じるかもしれません。
しかし、その後すぐに遺産の売却を控えている場合などでない限り、共有分割はおすすめできません。

なぜなら、不動産などの共有はトラブルの原因となりやすいためです。
また、その後年月が経過し次の相続が発生すると共有関係が複雑となり、合意をまとめることがより困難となります。

このように、共有分割は問題の先送りでしかありません。
そのため、他の分割方法が取れないなどやむを得ない場合を除き、共有分割は避けた方がよいでしょう。

遺産分割協議がまとまらないとどうなる?

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先ほども触れたように、遺産分割協議を成立させるには相続人全員の合意をまとめる必要があります。
しかし、中には遺産分割への意見が相続人間で食い違い遺産分割協議がまとまらない場合もあるでしょう。
ここでは、相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合の対応を解説します。

弁護士が代理で交渉する

相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合は、弁護士へご相談ください。
弁護士が代理で交渉し、仮に審判にまで移行した場合の見通しなどを説明することで、協議がまとまる可能性があるためです。

遺産分割調停を申し立てる

当事者間で遺産分割協議がまとまらない場合などには、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。

遺産分割調停とは、裁判所の調停委員が意見を調整する手続きです。
調停では、当事者が直接対峙するのではなく、調停委員が当事者双方から交互に意見を聴きこれを調整する形で進行します。

数回の期日を経て相続人全員の合意がまとまれば、調停の成立となります。
調停が成立すると、その結果をまとめた調停調書が作成され、これを使って遺産の名義変更などを行います。

遺産分割審判に移行する

遺産分割調停を経ても相続人間の意見がまとまらない場合は、遺産分割審判へと移行します。
遺産分割審判とは、諸般の事情を考慮のうえで裁判所が遺産の分割方法を決める手続きです。

審判は法令の規定に基づいて厳格になされるため、法定相続分を原則としたうえで、これに寄与分や特別受益を加味した分割となります。
「家を継ぐ立場だから長男が多く相続する」や「二男は生活に余裕がないから多く相続する」のような、法令にない要素は原則として考慮されません。

審判結果に不服がある場合は、審判書を受け取った日の翌日から2週間に即時抗告をして、高等裁判所で改めて裁判をすることができます。
一方、期間内に即時抗告をしなければ、その時点で審判が確定します。
審判が確定したら、その審判書を使って遺産の名義変更などを行います。

遺産分割協議はやり直しできる?

いったん成立した遺産分割協議をやり直すことはできるのでしょうか?
ここでは、遺産分割協議のやり直しについて解説します。

相続人全員が合意すればやり直しができる

相続人全員が合意すれば、遺産分割協議をやり直すことができます。
多数決ではないため、1人でもやり直しに合意しない相続人がいる場合には、遺産分割協議をやり直すことはできません。

やり直した場合は贈与税などの対象となることがある

相続人全員が合意すれば遺産分割協議をやり直せるとはいえ、実際にやり直す際は税金に注意しなければなりません。
なぜなら、遺産分割協議をやり直すと、贈与税などの税金がかかる可能性があるためです。

たとえば、当初の遺産分割協議では長男が取得することになっていた不動産を、遺産分割協議をやり直して二男が取得することとなったとします。
この場合、長男から二男に対する贈与であるとして、贈与税がかかる可能性があるということです。

そのため、遺産分割協議をやり直そうとする際は、あらかじめ税理士にも相談することをおすすめします。
なお、Authense法律事務所はグループ内に税理士法人を擁しているため、一気通貫でのトータルサポートが可能です。

遺産分割協議で揉めやすいケース

遺産分割協議がスムーズにまとまることもあれば、相続争いに発展してしまうこともあります。
ここでは、遺産分割協議で揉めやすいケースを5つ紹介します。

このようなケースにあてはまる場合は、相手方に遺産分割協について切り出す前に弁護士へご相談ください。
また、相続の対象者が存命である場合は、あらかじめ遺言書を作成するなど予防策を講じることをおすすめします。

相続人同士が疎遠である場合

1つ目は、相続人同士が疎遠である場合です。

たとえば、被相続人が再婚である場合、前婚の子と、後婚の配偶者や子がともに相続人となることがあります。
再婚した時期によっては、前婚の子と後婚の配偶者などにほとんど交流がない場合もあるでしょう。

また、被相続人に配偶者はいるものの子どもがいない場合、配偶者とともに被相続人の兄弟姉妹や甥姪が相続人となることが一般的です。
しかし、配偶者と被相続人の兄弟姉妹や甥姪との間が疎遠であることも少なくありません。

このように相続人同士が疎遠である場合は、それぞれが自身の主張を通そうとする結果、相続争いとなる可能性があります。

相続人同士の関係性がよくない場合

2つ目は、相続人同士の関係性がよくない場合です。

たとえ兄弟姉妹など近しい親族であっても、関係性が悪い場合もあります。
もともと関係性がよくない場合、相続の場面で金銭が絡むことでさらに熾烈な争いとなるおそれがあります。

遺産が分けづらい場合

3つ目は、遺産が分けづらい場合です。
相続人が複数いるにもかかわらず、被相続人の主な遺産が自宅不動産しかない場合などがこれに該当します。

この場合であっても、自宅不動産を換価して分けることに相続人全員が合意する場合や、自宅不動産を相続したい相続人に代償金を支払うだけの資力がある場合には協議がまとまりやすいでしょう。
一方で、ある相続人が自宅不動産を相続したいと主張する一方で代償金の支払いも拒否する場合などには、争いに発展する可能性が高くなります。

一部の相続人だけが生前贈与を受けていた場合

4つ目は、長男など一部の相続人だけが、被相続人から生前贈与を受けていた場合です。
このようなケースでは感情面の不満も相まって、相続争いに発展するおそれがあります。

相続人間で遺産分割に関する考え方が異なる場合

5つ目は、相続人間で遺産分割に関する考え方が大きく異なる場合です。

たとえば、長男は「家を継ぐ自分が遺産の大半を取得するのが常識だ」と考えている一方で、長女は「被相続人の子どもである以上、平等に遺産を配分すべきだ」と考えている場合などがこれに該当します。
それまでは関係性がよかったとしても、相続に対する考え方が大きく異なっていると、争いに発展する可能性が高まります。

遺産分割協議に関するよくある誤解

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遺産分割協議については、誤解が少なくありません。
ここでは、遺産分割協議にまつわるよくある誤解をまとめて解説します。

自分が何ももらわない内容で遺産分割協議を成立させると相続放棄をしたことになる

自身が何も遺産を相続しない内容の遺産分割協議を成立させたことをもって、「相続放棄をした」ということがあります。
しかし、厳密には、これは相続放棄ではありません。

相続放棄とは、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述して行うものです。
家庭裁判所で相続放棄をすると、その者ははじめから相続人はなかったこととなります。

遺産を何も取得しない内容の遺産分割協議の成立と相続放棄との最大の違いは、借金の取り扱いです。
相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったこととなります。
そのため、遺産を一切取得できないだけではなく、負債(借金など)も一切承継しません。

一方で、「何も取得しない」との遺産分割協議をさせただけでは、原則どおり負債は承継します。
つまり、被相続人にお金を貸していた者(「債権者」といいます)から返済を求められた場合に、対抗できません。

そのため、負債の承継を避けたい場合は、何も取得しない内容の遺産分割協議を成立させるのではなく、家庭裁判所で相続放棄の手続きを取る必要があります。

認知症の人は無視して遺産分割協議をすればよい

相続人の中に、認知症の人がいる場合があります。
この場合であっても、認知症の者を無視して遺産分割協議を成立させることはできません。
なぜなら、遺産分割協議の成立には、例外なく相続人全員の合意が必要であるためです。

しかし、認知症の者は、自身で有効な法律行為(遺産分割協議)を成立させることはできません。
そこで、「成年後見人」の選任が必要となります。
そのうえで、選任された成年後見人が、認知症の相続人の代わりに遺産分割協議を行います。

ただし、この成年後見人は遺産分割協議が終われば解任できるというわけではありません。
いったん選任された後見人は、原則としてその認知症の者が亡くなるまで後見人であり続けます。
また、弁護士や司法書士などの専門職が後見人となった場合は、毎月報酬が発生します。

成年後見人については、注意点が少なくありません。
相続人の中に認知症の者がいる場合は、あらかじめ弁護士などの専門家へご相談ください。

行方不明の相続人は無視して遺産分割協議をすればよい

相続人の中に、行方不明の者がいる場合があります。
この場合であっても、行方不明の者を無視して遺産分割協議を成立させることはできません。
繰り返しとなりますが、遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要であるためです。

相続人の中に行方不明の者がいる場合は、まず本当に「行方不明」であるかどうかを調査します。
そのうえで、住民票上の住所に居住していないなど本当に行方不明であることがわかったら、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらいます。
不在者財産管理人が選任されたら、その者が行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加します。

未成年者の遺産分割協議は常に親が代理できる

相続人の中に、未成年者がいる場合があります。
未成年者の法律行為は通常は親権者が代理するため、遺産分割協議の場面でも親権者が代理できると考えるかもしれません。
しかし、中には親権者が代理できない場合もあります。

たとえば、被相続人が父であり、相続人が母(被相続人の配偶者)と未成年の長女である場合などです。
この場合、長女だけではなく、長女の親権者である母も遺産分割協議の当事者です。
両者の利益が相反することから、遺産分割協議において母は長女を代理することができません。

このケースでは、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらう必要があります。
そのうえで、被相続人の配偶者である母と、長女の特別代理人とで遺産分割協議を行います。

遺産分割協議の注意点

最後に、遺産分割協議の注意点を2つ解説します。

相続人が1人でも漏れると無効となる

遺産分割協議は、相続人が1人でも漏れると無効となります。

先ほど解説したように、認知症の者や行方不明者、未成年者なども例外ではありません。
また、被相続人の前婚の子どもや認知をした子どもなども相続人であるため、このような者を漏らさないよう注意が必要です。

相続人に漏れがないか不安がある場合には、あらかじめ弁護士へご相談ください。

生前の遺産分割協議は無効である

遺産分割協議に期限はないものの、相続が開始してから行うことが必要です。
被相続人の生前に行った遺産分割協議は無効であることには注意してください。

まとめ

遺産分割協議を進める流れや注意点、遺産分割の方法などについて解説しました。

相続開始後、遺産を確定的に分けるには、原則として遺産分割協議を行わなければなりません。
遺産分割協議の成立には相続人全員の合意が必要であり、相続人が1人でも漏れた遺産分割協議は無効です。

また、多数決ではないことから、1人でも協議内容に納得しない相続人がいる場合、遺産分割協議遺産を成立させることはできません。
遺産分割協議で揉めそうなケースに該当している場合や相続争いが起きている場合は、弁護士への相談をおすすめします。

Authense法律事務所では遺産分割トラブルの解決や予防に力を入れており、多くのサポート実績があります。
遺産分割協議に不安がある際や、遺産分割に関してトラブルに発展している際などには、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。
相続や遺産分割協議に関するご相談は、原則として初回60分間無料でお受けしています。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所には、遺産相続について豊富な経験と実績を有する弁護士が数多く在籍しております。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。

また、遺言書作成をはじめとする生前対策についても、ご自身の財産を遺すうえでどのような点に注意すればよいのか、様々な視点から検討したうえでアドバイスさせていただきます。

遺産に関する問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。

相続に関する知識がないまま遺産分割の話し合いに臨むと、納得のできない結果を招いてしまう可能性がありますが、弁護士に依頼することで自身の権利を正当に主張できれば、公平な遺産分割に繋がります。
亡くなった被相続人の財産を調査したり、戸籍をたどって全ての相続人を調査するには大変な手間がかかりますが、煩雑な手続きを弁護士に任せることで、負担を大きく軽減できます。

また、自身の財産を誰にどのように遺したいかが決まっているのであれば、適切な内容の遺言書を作成しておくなどにより、将来の相続トラブルを予防できる可能性が高まります。

私たちは、複雑な遺産相続の問題をご相談者様にわかりやすくご説明し、ベストな解決を目指すパートナーとして供に歩んでまいります。
どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。創価大学法学部卒業。創価大学法科大学院修了。不動産会社やIT企業などの顧問弁護士として企業法務に携わるとともに、離婚や相続をはじめとする一般民事、刑事弁護など、様々な案件に取り組んでいる。また、かつてプロ選手を志した長年のサッカー経験からスポーツ法務にも強い意欲を有し、スポーツ法政策研究会に所属し研鑽を重ねる等、スポーツ法務における見識を広げている。
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