コラム

遺産分割調停にかかる弁護士費用はいくら?誰が払う?弁護士がわかりやすく解説

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相続人間での遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停へと移行して解決を図ることになります。

では、遺産分割調停への対応を弁護士に依頼する場合、どの程度の費用を要するのでしょうか?
また、遺産分割調停にかかる弁護士費用は、誰が負担するのでしょうか?

今回は、遺産分割調停を依頼した場合の弁護士費用や費用の負担者などについて詳しく解説します。

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遺産分割調停とは

遺産分割調停とは、家庭裁判所で行う遺産分けの話し合いです。
はじめに、遺産分割調停の基本について解説します。

遺産分割調停の位置づけ

人が亡くなると同時に相続が発生します。
相続が発生すると、亡くなった人(「被相続人」といいます)が有していた財産は、遺言書などがない限り、当然に分割される遺産(貸していたお金の返還請求権や、ローンのような金銭債務など)を除き、一時的に相続人全員での共有となります。
しかし、共有状態のままでは使い勝手がよくないうえ、原則として遺産である預貯金の解約や有価証券の移管などができません。

そこで、相続人全員で遺産を分けるための話し合いをすることになります。
この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議が無事にまとまると、合意できた遺産の分け方を記した「遺産分割協議書」を作成し、これを使って遺産の名義変更や解約などの手続きを行います。

しかし、遺産分割協議の成立には相続人全員による合意が必要であり、1人でも協議に納得しない相続人がいれば遺産分割協議を成立させることはできません。
そこで、当事者間での遺産分割協議がまとまらない場合は遺産分割調停を申し立て、遺産分割を目指します。

遺産分割調停の概要

遺産分割調停は家庭裁判所で行う手続きであるものの、あくまでも話し合いの手続きであり、成立に至るためには相続人全員による合意が必要です。
とはいえ、当事者が直接顔を合わせて対峙するわけではありません。

遺産分割調停は、裁判所の調停委員が当事者から交互に意見を聞く形で進行します。
また、調停では待合室も申立人と相手方とで分かれており、原則として両者が顔を合わせることがないように配慮されています。

遺産分割調停にかかる期間

遺産分割調停が1回の期日だけで終わることは稀であり、終結までに4回から8回程度の期日が開かれるのが一般的です。
期日から期日までの間は1か月から1か月半程度が空くため、遺産分割調停の申立てから終結までには、おおむね半年から1年程度の期間を要します。

遺産分割調停の弁護士費用はいくらくらい?

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遺産分割調停について弁護士に対応を依頼した場合には、どの程度の費用がかかるのでしょうか?

弁護士費用は自由化されており、一律ではないため、依頼する事務所によって報酬は異なります

そのため、遺産分割調停の対応を弁護士へ依頼する際は、依頼を検討している事務所に、依頼した場合にかかる費用をあらかじめ確認するとよいでしょう。

ここでは、遺産分割調停を弁護士へ依頼した場合における費用の目安を紹介します。

初回相談料

遺産分割調停に関して弁護士へ依頼する際は、依頼前に相談をするのが一般的です。
この相談は、相談だけで問題を解決するのではなく、今後の対応方針を検討したり弁護士との相性を確認したりするものと考えておくとよいでしょう。

初回の相談料は1時間1万円程度であることが多いものの、無料で対応する事務所もあります。

Authense法律事務所では、遺産分割調停など相続に関するご相談を初回60分間無料でお受けしていますので、お気軽にご相談ください。

着手金

遺産分割調停への対応を弁護士へ依頼する場合、依頼をする時点で着手金が発生することが一般的です。
遺産分割調停のサポートを依頼した場合の着手金は30万円前後が目安となります。

成功報酬

遺産分割調停の依頼では、着手金とは別途成功報酬が発生することが多いでしょう。
成功報酬とは、遺産分割調停の結果得られた経済的利益の額に比例して発生する報酬です。

遺産分割調停の対応を依頼する場合の成功報酬は、経済的利益の5%から15%程度が目安となります。

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遺産分割調停の弁護士費用は誰が払う?

遺産分割調停への対応を弁護士へ依頼した場合、弁護士費用は誰が支払うのでしょうか?
ここでは、弁護士費用の負担者について解説します。

依頼者が支払うことが原則

遺産分割調停の場合、弁護士費用は依頼した者が自ら支払うことが原則です。
複数の相続人が協力して弁護士へ依頼した場合は、依頼者同士で決めた割合で費用を出し合うことになります。

相手方に請求することはできない

遺産分割調停は遺産を分け合うものであり、その性質上「勝ち」「負け」が明確にあるものではありません。
そのため、「相手の不法行為によって損害を被り、相手に損害賠償請求をする」といった形態の裁判などとは異なり、相手方に弁護士費用を請求できないのが原則です。

遺産分割調停について弁護士に依頼するメリット

先ほど解説したように、遺産分割調停の対応を弁護士へ依頼すると費用がかかります。
しかし、遺産分割調停を申し立てる際や相手方から遺産分割調停を申し立てられた際は、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

ここでは、遺産分割調停について弁護士へ依頼する主なメリットを4つ解説します。

遺産分割調停を有利に進めやすくなる

1つ目は、遺産分割調停を有利に進めやすくなることです。

遺産分割調停は話し合いの手続きであるとはいえ、あらかじめ主張書面を用意したり自身の主張を裏付ける証拠を揃えたりすることで、有利となりやすくなります。
弁護士へ依頼することで、その状況に応じた書類を作成してもらえるほか、必要な証拠についてもアドバイスを受けることが可能となります。

また、弁護士とともにあらかじめ調停で聞かれることなどをシミュレーションしたり、調停当日に弁護士に同席してもらったりすることで落ち着いて対応しやすくなり、この点からも調停を有利に進めやすくなるでしょう。
状況によっては、弁護士だけが調停に出席する対応も可能です。

書類の準備などを任せられる

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2つ目は、遺産分割調停に必要な書類の準備を任せられることです。
遺産分割調停の申立てには、さまざまな書類が必要になります。
申立てに必要となる書類は、次のものなどです。

  • 作成が必要な書類
    • 申立書
    • 当事者等目録
    • 遺産目録
    • 相続関係図
    • 申立ての実情
  • 集めるべき書類
    • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本などすべて
    • その他、相続人の確定に必要な戸籍謄本や除籍謄本など
    • 相続人全員の現在の戸籍謄本
    • 被相続人の除票または戸籍の附票
    • 相続人全員の住民票
  • その他、遺産の内容によって必要となる書類
    • 不動産:登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産税評価証明書
    • 預貯金:通帳または残高証明書
    • 有価証券(株式や投資信託など):残高証明書
    • 自動車:車検証または運輸支局等が発行する登録事項証明書
  • その他、ある場合に必要となる書類
    • 相続税申告書の写し
    • 遺言書の写し

これらをすべて自分で作成したり集めたりすることは、容易ではないでしょう。
弁護士へ依頼すると、弁護士が書類の作成などを行ってくれるため手間や時間を大きく削減できるうえ、こちらの主張を有効に伝える書面を作成してもらえるため安心です。

連絡の窓口になってもらえる

3つ目は、連絡の窓口になってもらえることです。

弁護士に依頼することなく遺産分割調停を進める場合は、相手方や裁判所などからの連絡が直接入ることとなります。
この点にストレスを感じてしまう人も少なくないでしょう。

弁護士へ依頼する場合は、弁護士が窓口となってくれるため、相手方や裁判所からの連絡が直接入る事態を避けやすくなります。

審判に移行しても対応を任せることができる

4つ目は、遺産分割審判に移行しても対応を任せることができることです。

遺産分割調停を経ても意見の合意が得られない場合は、調停が不成立となります。
この場合は、自動的に「遺産分割審判」へと移行します。

遺産分割審判とは、遺産分割調停による解決が難しい場合に、裁判所に遺産の分け方を決めてもらう手続きです。
裁判所が下した結論には原則として当時者双方が従うほかなく、仮に不服がある場合は審判の告知から2週間以内に高等裁判所へ即時抗告をするほかありません。

遺産分割調停の対応を弁護士へ依頼する場合は、たとえ調停が不成立となり遺産分割審判に移行しても対応を任せることができるため、安心です。

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遺産分割調停について相談する弁護士の選び方

弁護士事務所は数多くあり、どこの事務所へ依頼すべきか迷うことも多いでしょう。
最後に、遺産分割調停についてのサポートを依頼する弁護士の選び方について解説します。

遺産相続問題に力を入れている事務所を選ぶ

1つ目は、遺産相続問題に力を入れている事務所を選ぶことです。

遺産分割事件は弁護士へ持ち込まれることの多いトラブルの中でも主要な事件の一つであり、企業法務を専門としている一部の事務所を除き、ほとんどの事務所が取り扱っています。
とはいえ、弁護士にもそれぞれ得意分野があるのは事実であり、遺産相続問題に特に力を入れている事務所を選択することをおすすめします。

なぜなら、遺産相続問題に力を入れている事務所は基本的な知識や書籍などで調べられる情報に加え、事務所で取り扱った事件をもとに知識や対応ノウハウが蓄積しているためです。
遺産相続問題に強い弁護士へ依頼することで、調停をより有利かつスムーズに進めやすくなるでしょう。

初回相談で相性を確認して選ぶ

2つ目は、初回相談で相性を確認して選ぶことです。

弁護士といえども人であり、相性などがあることと思います。
特に、遺産分割事件は長期化しやすく、その弁護士とは少なくとも1年近くの付き合いとなります。

また、遺産分割事件は親族同士での争いという性質から大きなストレスを感じることも多く、これに加えて相性のよくない弁護士と頻繁に連絡を取らなければならなくなると、大きな苦痛を感じてしまうでしょう。

そのため、弁護士を選ぶ際は初回相談を行い、その際の対応などで相性を確認して選ぶのがおすすめです。
初回相談は高くても1時間1万円程度の費用で受けられる事務所が多いうえ、Authense法律事務所のように初回は無料としている事務所もあります。

報酬体系が分かりやすい事務所を選ぶ

3つ目は、報酬体系がわかりやすい事務所を選ぶことです。

遺産分割調停の際に弁護士を探している方の中には、弁護士へ依頼することが初めてという方も少なくないでしょう。
そのため、「費用はいくらかかるのか」「後から追加の費用もかかるのだろうか」などと不安に感じることもあると思います。

依頼者の立場に立った弁護士であれば、依頼した場合の費用についても初回相談時に丁寧に説明してくれることが一般的です。
そのため、費用についても不安のないように説明してくれるかどうかも踏まえ、依頼先の弁護士を検討することをおすすめします。

まとめ

遺産分割調停のサポートを弁護士に依頼する場合の費用や、弁護士へ依頼するメリットなどについて解説しました。
遺産分割調停は、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、弁護士に依頼することで調停を有利に進行しやすくなるほか、書類の作成などを任せることができるためです。
また、相手方などから直接連絡が入る事態を避けられるのも大きなメリットの一つでしょう。

遺産分割調停について弁護士に依頼すると、着手金のほか成功報酬が必要となるのが一般的です。
ただし、報酬体系や報酬額は事務所によって異なるため、実際に依頼を検討する際は、依頼したい弁護士へ個別に費用や報酬体系を確認することをおすすめします。

また、遺産分割調停は申立てから終結までに半年から1年程度の期間を要することも多く、弁護士との関わりも長期となる傾向にあります。
そのため、弁護士の知識や費用の明確さに加え、弁護士との相性も含めて依頼先の事務所を検討するとよいでしょう。

Authense法律事務所では遺産分割事件の対応の力を入れており、多くのサポート実績があります。
また、報酬体系も明確であり、安心してご依頼いただけます。

遺産分割調停を申し立てたい場合や相手方から遺産分割調停を申し立てられてお困りの場合、その他相続についてお悩みの場合は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。
遺産分割調停など相続事件に関するご相談は、初回60分間無料にてお受けしています。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所には、遺産相続について豊富な経験と実績を有する弁護士が数多く在籍しております。

これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。

また、遺言書作成をはじめとする生前対策についても、ご自身の財産を遺すうえでどのような点に注意すればよいのか、様々な視点から検討したうえでアドバイスさせていただきます。

遺産に関する問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。

相続に関する知識がないまま遺産分割の話し合いに臨むと、納得のできない結果を招いてしまう可能性がありますが、弁護士に依頼することで自身の権利を正当に主張できれば、公平な遺産分割に繋がります。
亡くなった被相続人の財産を調査したり、戸籍をたどって全ての相続人を調査するには大変な手間がかかりますが、煩雑な手続きを弁護士に任せることで、負担を大きく軽減できます。

また、自身の財産を誰にどのように遺したいかが決まっているのであれば、適切な内容の遺言書を作成しておくなどにより、将来の相続トラブルを予防できる可能性が高まります。

私たちは、複雑な遺産相続の問題をご相談者様にわかりやすくご説明し、ベストな解決を目指すパートナーとして供に歩んでまいります。

どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学大学院法務研究科修了。離婚、相続を中心に家事事件を数多く取り扱う。交渉や調停、訴訟といった複数の選択肢から第三者的な目線でベストな解決への道筋を立てることを得意とし、子の連れ去りや面会交流が関わる複雑な離婚案件の解決など、豊富な取り扱い実績を有する。
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