事業譲渡、会社分割

事業譲渡は、売り手の「全部」または「一部」の事業を買い手に売却する方法(主に、対価は現金であるケースが多い。)で、会社の事業に関する個々の権利・義務を取引行為として譲渡することにより、当該事業を承継する手法です。会社分割は、企業の全部又は一部の事業を分割して、新たに設立する企業(新設分割)又は既存の企業(吸収分割)に承継する手法です。
事業譲渡や会社分割は、株式譲渡と異なり、会社の事業を他の会社に移転・承継するので、譲渡する対象資産等を特定でき、買い手にとっては予期せぬ簿外債務等を承継するリスクを少なくできるという点で共通していますが、様々な点で異なっています。
まず、事業譲渡は、会社の事業に関する個々の権利・義務を取引行為として譲渡しますが、会社分割は、事業に関する権利・義務を包括的に移転・承継する制度です。
次に、事業譲渡は、通常の私法取引上の契約と同様であるため、会社以外の法人や個人を相手方とすることもできます。また、免責的債務引受けについて債権者からの同意を得ればよく、最低限確保しなければならない期間はありません。一方、会社分割は、会社法に定められた組織法上の行為であるため、当事会社となることができる会社に制限があります。また、債権者異議手続等履践しなければならない会社法上の手続があるため、最低でも1ヶ月の期間を要します。

さらに、事業譲渡の場合、譲渡会社は、当然に競業避止義務を負うほか、譲渡会社が事業譲渡の対価をその会社の株主に割り当てる際、財源規制の適用があります。一方、会社分割は、競業避止義務を負わず、人的分割が想定されているため、財源規制の適用がありません。

加えて、事業譲渡は、個々の従業員との労働契約を承継対象に含めるかどうかは譲受先との合意によって決定されるのが原則です。一方、会社分割の場合は、労働契約承継法によって、特段の事情のない限り、分割事業の雇用が保障されることから、従業員の雇用が継続されます。 事業譲渡は、私法上の取引として行うため、現経営者が売却益を得ることができ、新規事業等に用いることが可能になります。もっとも、 法人税や消費税等の課税があり得ます。

一方で、手元に残したい事業を経営者自身が選別したり、また、複数の後継者にそれぞれ別の事業を引き継がせたいという経営者のニーズがある場合には、会社分割の手法が有効です。もっとも、会社分割によって事業を切り出した後も、もとの会社そのものは存続しているので、その会社を完全に廃止したいというニーズに応えるためには、別途、清算の手続をとらなければならないことに留意が必要です。

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