債権回収のよくある質問

取引先の倒産手続きが開始した場合の債権回収

法的倒産手続き開始後の債権の取扱いついて教えてください。

取引先について、破産、民事再生、会社更生の各種倒産手続きが開始すれば、あなたの会社が従前の取引によって有していた債権は破産債権、再生債権、更生債権となり、手続きごとに債権の取り扱いも異なります。
すべからく法的倒産手続きが開始されると、原則として、取引先から通常どおりの支払いを受けることができなくなってしまいます。この場合すでに申立てをし、開始していた強制執行手続きがあったとしても、倒産手続き開始決定によって、原則として、効力がなくなってしまうので注意が必要です。

破産債権を持っているのですが、届け出期間を徒過してしまいました。

破産債権の届け出は裁判所が定め、破産手続き開始の通知に記載された届け出期間内にしなければなりません。
もっとも、何らかの事情により、期間を経過してしまっていても、破産手続きでの権利行使が認められる可能性があります。そのため、期間経過後でも、債権の届け出をしてみましょう。
例えば、債権届け出ができなかった理由が、あなたの会社の「責めに帰することができない事由」によるときは、その事由が消滅してから1か月以内に届け出することができます。破産開始決定については、官報公告により広く周知されているので、この要件が認められるケースは非常に例外的です。
したがって、なるべく届け出期間をすぎないように注意し、仮に過ぎてしまっても例外的に許容される可能性もあるので、事前に弁護士などに確認しておきましょう。

破産手続きにおける破産債権の取り扱いについて教えてください。

破産手続きでは、取引先の事業は原則として停止され、財産の管理処分権限はすべて破産管財人に移ります。
そして、破産管財人が取引先のすべての財産を処分し、換価した資金から配当するといった形式で破産債権者に財産が分配されることになります。
そこで、まずは破産債権の届け出をして手続きに参加することから始まります。
届け出をし、破産債権の確定が行われた後、配当を受けるのが破産手続きによる破産債権回収の唯一の方法です。

民事再生手続きにおける再生債権の取り扱いについて教えてください。

民事再生手続きでは、原則として、取引先の経営陣が引き続き財産を管理し、事業を継続します。もっとも、重要事項を決定するためには、監督委員からの同意を得る必要があります。
この場合は、再生計画案が作成され、この案が認可されることによって、この計画に沿って再生債権への弁済がなされることになります。
債権者はまず、届け出をしたのち、一定の事項に異議を述べ、申立てをすることで、可決認可された再生計画による弁済を受けるのが、再生債権の回収方法です。

会社更生手続きにおける更生債権の取り扱いについて教えてください。

更生手続きにおいては、取引先の有していた財産を管理処分し、事業の運営をする権限は、更生管財人に移ります。
更生手続きは、強力な再建型の手続きです。破産・再生手続きでは、担保権でカバーされた範囲の債権は、原則として手続きに拠らないで、担保権を実行することができます。
しかし、更生手続きでは、担保権でカバーされた範囲も手続きに従うことになります。
更生債権者は、債権を届け出ることで、手続きに参加し、更生計画案に賛同するかどうかを示し、申立てをすることになります。
そのうえで、上記計画によって変更された内容による弁済を受けるのが、更生債権の回収方法です。

倒産手続きにおいても、受働債権(債務)の範囲内で相殺をする際に、注意するべきポイントは何ですか。

取引先に原材料を販売する一方で製品を購入しているなど同じ相手方と債権債務の関係を有している場合、相手の資力が低下して債権の回収が困難となったときでも、相対立する債権と債務を相殺することによって実質的に債権を回収することができます。
しかしながら、倒産手続きではその前後において、民法上の要件を満たす限りどのような場合であっても、相殺が許されるとすれば、債権者間の公平を害するなどの弊害を生じることが多いので相殺ができる場面に制限があります。そのため、相殺ができない場面に当たらないか事案ごとにしっかりとチェックしておきましょう。

倒産手続き開始後の担保権の取り扱いについて教えてください。

まずは、開始された倒産手続きの種類と担保権の種類ごとに対応を検討しましょう。
これによって、手続きの影響を受けずに担保権を行使できるかが大幅に変わるからです。
例えば、抵当権が設定されている場面で、破産手続が開始されている場合、この抵当権を有する者は破産管財人が進める手続きの影響を受けることがなく、抵当権を自由に行使することができるとされています。
このように、権利の種類と倒産手続きの種類で担保権の取り扱いが変わるため、破産・民事再生・会社更生の手続きのいずれか、権利はどのようなものなのか等しっかりとチェックしておきましょう。

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