債権回収のよくある質問

未収金にならないための予防方法

未収金にならないためには、契約書にどのように工夫すればよいでしょうか。

契約書に入れた方がよい条項としては、期限の利益喪失約款、損害賠償額の予定に関する定め、担保保証に関する定め、相殺の予約についての規定、契約解除条件などがあります。
条項の具体的な調整方法は、是非一度弁護士に相談することをお勧めいたします。
また、もし詳細な契約書を結ばずに取引をしてしまった場合は、納品書や発注書、請求書、担当者同士の具体的なやり取りなど、取引内容や金額を裏付けることが可能になる証拠はできるだけ前もって保存しておきましょう。このような証拠は後で紛争になった際に非常に役立ちます。

契約をする前に、取引先から話を聞いて信用調査をしたいのですが、どのようにするべきでしょうか。

取引先の信用調査には、相手方から直接情報を取得する方法と、相手方以外から間接的に情報を取得する方法があります。その際には、まず①支払能力や②支払意思について確認しましょう。
ここでは、ご質問の相手方から直接情報を取得する方法を説明します。
まず、営業担当者が相手方(法人であれば代表者や役員)から、会社の工場や支店、取引金融機関、主要な取引先等の会社の概要や相手方の主たる資産(代表者の個人名義の資産も含みます。)について聴取する方法が考えられます。信用調査をしていることが相手方にわからないよう、さりげなく調査事項を聴取しましょう。
聴取した結果は、まとめて情報を管理し、取引開始後に行う与信管理にあててください。
もっとも、この手法がうまいかないことも考えられますので、営業担当者に相手方の本社や営業所の現場を十分に観察させて、相手方に関する情報を取得する方法も考えられます。
観察のポイントとしては、本社や営業所の現場に資金繰りに窮しているような兆候が現れていないか、在庫が目立ったり従業員の離職が相次いだりしていないか等をチェックすることが挙げられます。
さらに、可能であれば、相手方に過去2~3年分の貸借対照表と損益計算書の提出を求め、これら決算書で有利子負債の額や売上高の増減等を分析することで、支払能力の有無を判断する方法も有益でしょう。
ただし、この手法は取引上、自己が相手方よりも強い立場である場合に使えるものですし、決算書に粉飾がある可能性も考えられますので、単なる数字のみから相手方の信用を判断するのはご法度です。様々な情報を考慮して、総合的に判断するようにしたほうがよいでしょう。

契約をする前に、取引先を介さずに信用調査をしたいのですが、どのようにするべきでしょうか。

ここでは、相手方以外から間接的に情報を取得する方法についてご説明します。
相手方以外から①支払能力や②支払意思について間接的に情報を取得する方法として、まず、相手方の商業登記簿謄本を入手してその内容を確認することが挙げられます。
ここで確認すべきポイントとしては、会社設立の年月日や資本金の増加の有無、役員の辞任登記の有無、商号や本店所在地を頻繁に変更していないか等が挙げられます。特に、会社の設立年月日に関する情報は取引の相手方がどのくらい業界の歴が長いのかを判断する材料になります。また、本店所在地を移転しているのであれば、閉鎖登記簿謄本を入手し、現在の商業登記簿謄本と見比べて、事業目的や役員が変化していないかを調べましょう。仮に、役員等が一切変わっているのであれば、取込詐欺目的の会社である疑いがあるので注意が必要です。
さらに、取引の相手方の不動産の登記簿謄本を入手してその内容を確認することが挙げられます。
ここでのポイントとしては、不動産の登記簿謄本にある甲区という欄において、誰が所有者であるかを確認するとともに、その欄に差押・仮差押登記の記載がなされていないか、抵当権者が数多くいないか等を確認できるとよいでしょう。
最後に、間接的に情報を取得するその他の方法としては、信用調査会社から取引先の情報を取得することが挙げられます。ただし、信用調査会社の提供する情報であっても、それに頼り過ぎることなく、あくまで信用性を判断する際の一資料とするのが無難でしょう。

取引開始前に、取引の相手方に人的担保を求める際の注意点はどんなものがありますか。

取引先の相手方に人的担保を求める場合、取引先の代表者に保証人や連帯保証人になってもらうよう求めることが通常です。
もっとも、人的担保は連帯保証人等の資力によって債務の支払いの確実性に違いがあるので、取引先の代表者に人的担保になることを求める場合には、事前に不動産登記簿謄本等を入手して代表者の財産状況を調査する必要があります。事前に調査してみた結果、代表者の財産状況に不安がある場合には十分に資力を有する者を人的担保として求めることも考えるべきでしょう。
具体的には、連帯保証人等になる者に実際に会社に出向いてもらい、免許証等で本人確認をしましょう。
そのうえで、問題がないと判断できた場合には、連帯保証契約書に自筆で住所・氏名を記載してもらう方法が一般的です。その際、保証の意思をよりいっそう明確化するために、実印による押印と印鑑登録証明書の提出も求めるとよいでしょう。

債務者以外からも未収金を回収することはできるのですか。

保証人や連帯保証人をつけていれば、その者から未収金を回収することは可能です。
また、約定担保として契約締結前に抵当権を設定していれば、債務者に対して債務を負っているものから、未収金を回収することも可能ですし、そうでなくとも法定担保から債権を回収することも可能です。
もっとも、未収金を回収する場面では、他の債権者と競合することも十分あり得るため、この点に留意しながら債権回収を図ることが大切です。

保証人に請求をする際に、気を付けることは何でしょうか。

保証債務は、主債務の存在を前提とします。つまり、主債務が時効消滅すると、保証債務も消えてしまうことになりますし、他方において保証債務だけが時効にかかってしまうこともあります。
そのため、権利が消滅してしまう時効について常に気を配っておく必要があります。
消滅時効を中断させたいときは、債務者から「債務承認書」などの書類に一筆もらっておくとよいでしょう。

取引先の相手方からもらう担保にはどんなものがありますか。

担保権には、抵当権・譲渡担保権・連帯保証など当事者間の合意で成立する「約定担保」と、留置権・先取特権など法律上の一定の要件を満たした場合に当然に成立する「法定担保」があります。
「法定担保」は何らかの手段を事前に講じることなく法律上の要件を満たせば当然に発生しますが、これに対して、「約定担保」の場合は事前に当事者の間で合意が必要になります。その際には、どの目的物を対象とするか、どの債権を対象にするのかなどを事前に合意することになります。なお、現実の取引社会においては、取引前に相手方から抵当権等のいわゆる物的担保の提供を受けることは困難であることが多いです。

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