債権回収のよくある質問

債権回収トラブルのよくある悩み -事例で解説-

取引先が景気が悪いことを理由に代金を支払ってくれません。

最終的には、訴訟を提起してそこで勝訴し、強制執行を行うしかありません。
そのためには、まず取引先との話し合い、経営状況、資産状況の調査が必要になります。
ただし、債権は一定期間が経過すると消滅してしまうので、時効が完成間近に迫っていた場合は、相手方に少額でも支払ってもらうか、支払い延期願いでも書いてもらうことをお勧めします。
また、内容証明郵便で金銭を請求することも効果的でしょう。

妻が購入した商品の代金を夫に請求できますか。

食料品や衣類を買った場合は夫にも支払い義務が生じます。なぜなら、民法上家庭で通常消費されるような物の購入代金は、夫婦が連帯して責任を負うとしているからです(日常家事債務の連帯責任)。
比較的金額の低いもので夫婦の共同生活に必要であると思われるものは夫も責任を負うのですが、不動産の購入などは日常的なものではないのが通常であるため、日常家事債務として認められないでしょう。

親会社が下請け代金を支払ってくれません。

下請業者については、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法。)という法律が制定されています。
親会社は下請業者に製造委託、修理委託、情報成具物作成委託、役務提供委託をしたときに、この法が適用されます。ただし、親会社、下請業者については一定の要件を満たす場合に限られるため、この点は事前に調べておくことが大切です。
この法律では、親会社は納品後60日以内に支払い期日を定めた書面を交付し、この支払いが遅延したときは遅延利息を支払うことが定められています。
したがって、本件のようなケースで、下請法が適用されるのであれば、下請け代金だけでなく、遅延した利息も請求することができます。まずは公正収引委員会、中小企業庁に確認してみることをお勧めします。

商品に欠陥があると難癖をつけられ代金を支払ってもらえない。

会社同士の売買契約では、買主は商品を受領したときは遅滞なく検査しなければならないというのが法律に定められています(商法526条1項)。
そして、買主が遅滞なく検査した結果、受け取った商品に欠陥を発見したら直ちに売主に通知することが必要で、これを怠ると、そのことを理由に履行の追完や契約解除、損害賠償、代金滅額を請求することはできません。
なお、直ちに発見することができない契約の不適合を、6か月以内に買主が発見した場合も直ちに売主に対して通知が必要です(同条2項)。
したがって、取引先にその旨を伝え、それでも取引先が売買代金を支払わない場合には、訴訟を起こすことも検討しましょう。

受け取った手形を銀行で割り引いたが不渡りとなった。

手形が不渡りになるのは、振出人の当座預金の預金不足、解約済みで当座預金の口座がない(1号事由)、手形が偽造、変造、盗難などにあった場合(2号事由)です。
いずれにせよ、割引にした手形は買い取ることが必要になります。
その後は、手形の振出先に対して手形訴訟を起こし、そこで勝訴したのち、強制執行により回収を図る手段も考えられます。まずは、取引先の支払い意思や返済計画を確認してみましょう。

貸した相手が弁済できないので保証人に請求したい。

保証人を立てさせるのは、債権の担保の一種で、物的担保と区別して、人的担保と言われています。
もし、その保証人が連帯保証人であれば、直接に貸金返還請求をすることもできます。
保証人に金銭的余裕があれば、債権の回収は容易です。
ですが、保証人が債権の回収に応じない場合、保証人相手に貸金返還請求訴訟を起こすことになります。そこで、勝訴したら、相手の財産に強制執行をすることができます。
しかし、訴訟・強制執行には手間・費用・時間がかかるため、請求金額次第では、必ずしも最適な解決法ではありません。借主および保証人と十分に話し合い、分割払い等で回収を図るのが得策となるケースもあります。

離婚で決まった財産分与や養育費を支払ってもらえません。

離婚に際し、とにかく早く離れたいという一心から、相手方が離婚にともなう財産給付には応じても、離婚後には協議内容を履行しないケースはよく見受けられます。
もちろん、訴訟をすれば債権を回収できる可能性がありますが、離婚前にお互いに話し合い決めた離婚の条件を記載し、公正証書にしておくほうがよいでしょう。
相手方が条件を履行しないときは強制執行を受けてもよい旨の文言を入れておけば、相手からの支払いがない場合に、訴訟を提起しなくても、相手の財産や給与等の差押えができるようになります。
なお、調停離婚や裁判離婚では、調停調書や確定判決(債務名義)により強制執行ができます。

賃金を支払ってくれないので、法的手段に訴えたい。

まずは、雇用主と賃金の支払い方法について話し合ってみてください。話し合いをしてみても、折り合いがつかない場合、最寄りの各地の労働局や労働基準監督署で相談し、個別紛争解決手続きをすることができるので利用してみましょう。
さらに、地方裁判所に労働審判を申し立てる方法もあります。労働審判では、裁判官と労働委員が話し合いを進め、双方の言い分を聞き、最終的に審判が出されます。
この場合、訴訟と異なり、3回の期日で審判が出されます。手数料が訴訟の半額である点も、この手法を用いることのメリットのひとつです。

口約束だけでお金を貸しました。裁判をしてもお金を回収することはできないですか。

借用書や契約書が作成されていなくとも、口約束と金銭の授受があったときに、金銭消費貸借契約は締結しています。ここで問題なのは、相手方が「借りた記憶がない」などと証言している場合です。
裁判では、実際に金銭の交付があったのか等を直接的に示す証拠がなくとも、ほかの間接的な証拠を集めて、立証することが可能です。
証拠を積み重ねていくことにより、口約束だけでお金を貸したとしても、裁判をしてお金を回収できる可能性はあります。

友人に貸したお金に利息をつけて返してほしい。

個人同士での金銭消費貸借契約では、利息に関する合意がなければ、支払い義務は発生しません。
仮に、利息の約束はあるが、利率の定めがない場合は、法定利率分で請求することが可能です。
また、事前に決めた返済日を過ぎても、ご友人が返済しない場合は、遅延損害金を請求することができます。

交通事故の示談で、約束した賠償額を確実に支払ってもらえるようにしたい。

相手方が任意保険に加入していれば、相手方加入の保険会社と示談交渉することができます。相手の任意保険の加入の有無、どこに加入しているかなどを事前に聞いておきましょう。
相手方が任意保険に加入しておらず、相手方の支払いに不安がある場合は相手方との示談がまとまった際に公正証書を作成することをお勧めします。
執行認諾文言付きの公正証書があれば、加害者が金銭を支払わなかったときに直ちに強制執行ができます。
示談交渉がまとまらないのであれば不法行為に基づく損害賠償請求を相手方に提起することになります。

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