コラム

VTuberが巻き込まれやすいトラブルとは?弁護士が詳しく解説!

Vtuberが巻き込まれやすいトラブルとは?弁護士が詳しく解説!

バーチャルユーチューバー(VTuber)は、平成28年頃から、技術の発達、機器等の準備に要するコストの低下、所属事務所等のサポート体制の充実を背景として、急激に世の中に広まり、現在では最も注目される存在の1つといえます。
本コラムでは、VTuberやその所属事務所、取引先等が留意すべき法的問題点について解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(千葉県弁護士会)
早稲田大学法学部卒業。早稲田大学大学院法務研究科修了。企業法務を中心に活動。離婚・相続問題、刑事事件、交通事故被害などの一般民事案件の実績も数多く有し、インターネット上の誹謗中傷問題にも積極的に取り組んでいる。

バーチャルユーチューバー(VTuber)とは

そもそも「バーチャルユーチューバー」とは何でしょうか?
一律的な定義はないものの、YouTube等の動画投稿・ライブ配信サービスを利用し、コンピューターグラフィックのキャラクターを用いて動画配信やライブ配信を行う者をバーチャルユーチューバーといいます。
なお、動画投稿・ライブ配信を行うプラットフォームがYouTube以外にも存在することから、「バーチャルユーチューバー」ではなく「VTuber」と呼称されることや、ライブ配信を行うことから「バーチャルライバー」あるいは「ライバー」と呼称される場合もあるようです。
以下、このコラムでは「VTuber」と呼称します。

VTuberの大きな特徴は、やはりコンピューターグラフィックのキャラクターを使用する点にあり、このことがVTuberの意義や魅力を形成しているといえます。
中には演者を公表していないVTuberもおり、その秘匿性や神秘性から、VTuberの魅力がより増して捉えられているケースもあるのではないでしょうか。

しかし、その人気の一方で、コンピューターグラフィックを利用していることや動画投稿・ライブ配信を行うことに起因する問題、その他様々な法的な問題がVTuberやその所属事務所・取引先等を取り巻く状況にあります。

VTuberと著作権

VTuber、所属事務所、取引先等が注意すべき問題として、著作権法の問題があります。

著作権法とは、創作活動の成果を保護する法律の1つであり、その成果(著作物)について、著作権者の多種多様な権利等を規定しています。
著作権や著作物と聞くと、映画や書籍や音楽を思い浮かべる方が多いのではないかと思いますが、著作権法上、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(著作権法第2条第1項第1号)とされています。

VTuberでいえば、キャラクターのコンピューターグラフィック、ロゴ、投稿・配信される動画も著作物に該当し得ます。
そのため、その創作者が著作権者ということになります。

キャラクターのコンピューターグラフィックについては、演者自身が創作していれば、そのキャラクターのコンピューターグラフィックを利用している演者が著作権者ということになりますので、何ら問題ありません。

しかし、キャラクターのコンピューターグラフィックを第三者に創作してもらい、それを利用しているという場合には、キャラクターのコンピューターグラフィックの著作権者は元来その創作者であり、演者ではないということになります。
このような場合には、適切に契約書等で契約を結んでおかなければ、演者による創作者に対する著作権侵害が生じる可能性がありますので、注意が必要です。
また、VTuberが事務所に所属するような場合、キャラクターのコンピューターグラフィック等の著作権についてどのような取り決めとするかは、VTuberとしても所属事務所としても重要な事項になりますので、双方ともに注意をする必要があります。

他に問題となりやすいのが、いわゆるゲーム配信です。
VTuberの中にもゲーム配信を行う方がいらっしゃいますが、ゲームも著作物であることから、ゲーム配信を行う場合には著作権者の許諾を得る、あるいは著作権者が公表しているガイドラインに沿った配信を行う必要があります。

ゲームの著作権者のガイドラインの例として、有名なのが任天堂株式会社です。
任天堂株式会社のガイドラインは、ゲーム著作物の利用に関するガイドラインであり、同ガイドラインに沿って利用している限り、ゲーム著作物の利用という面においては著作権侵害にはならないということになります。
ただし、同ガイドラインにも記載されているとおり、ゲーム著作物「以外の任天堂の知的財産権の利用や創作は、各国の法令上認められる範囲内で」行う必要があり、商標等その他の知的財産権については別途注意が必要です。

その他の注意点

VTuber、所属事務所、取引先等にかかわる問題として著作権を取り上げましたが、それ以外にも様々な問題があります。

例えば、動画投稿やライブ配信においては、映り込み等により、第三者の肖像権やパブリシティ権、著作権等を侵害していないかどうかや、コラボ動画においては、コラボ配信者のプライバシー権、著作権等を侵害していないかどうか等が問題になります。

また、企業がVTuberに自社商品等のプロモーションを委託するケースがありますが、この場合は委託する企業側にも注意すべき点があります。

VTuberは、芸能人やYouTuberと同様に、動画・ライブでの配信内容や言動が原因で、インターネット上でいわゆる炎上状態になることがあります。
人気がでてくると、過去の動画についても注目され、それに起因して炎上することもしばしばあります。

特に、一部のVTuberに悪感情を抱いている方を発端に、一般的には炎上するとは考えにくい内容で配信していたにも関わらず炎上してしまうこともあり得ます。
また、VTuberはコンピューターグラフィックのキャラクターを利用しており、その演者が明らかにされてないケースも多いため、演者のプライバシー情報や、過去にどのような活動を行っていたか(「前世」とも表現されるようです。)等がインターネット上で話題になり、炎上に繋がることもあります。

委託する企業としては、プロモーション業務の遂行前や遂行過程において、委託したVTuberに起因する問題が生じた場合、プロモーション対象となった自社商品等や企業自体に悪影響を与えかねません。
これらのリスクから、企業としては、解除事由や補償条項を網羅的かつ明確に記載した契約書にて契約を締結するということが重要になります。

加えて、VTuberが事務所に所属して活動するということも多くありますが、この点については、いわゆる芸能人と芸能事務所との間の契約関係の問題と同じように、独占禁止法上の問題があります。
本コラムでは詳述しませんが、公正取引委員会が「人材と競争政策に関する検討会報告書」、「人材分野における公正取引委員会の取組」等を公表し、これらを受けて日本音楽事業者協会が契約書ひな型の変更を行う等、非常に大きな動きがあったことが比較的記憶に新しいのではないでしょうか。
VTuberと所属事務所との間においても同様に留意しなければならない点といえるでしょう。

まとめ

以上のとおり、VTuber、所属事務所、取引先等においては、多方面に様々な法的問題が身近に潜んでいる状況にあります。
可能な限りリスクを低減し、受容するリスクに備えられるよう、専門家である弁護士に早期にご相談いただくことをおすすめします。

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