コラム

公開 2021.11.02 更新 2021.11.04

配偶者居住権とは?遺産分割における取り扱いについて解説

配偶者居住権とは?遺産分割における取り扱いについて解説

相続法改正により、配偶者居住権(2020年4月1日より施行)という新しい権利が創設されました。
配偶者居住権とはなにか?配偶者居住権の内容や遺産分割でどのように取り扱われるのかを、相続に詳しい弁護士が解説いたします。

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配偶者居住権の改正経緯・種類

近年、被相続人の所有不動産に住んでいた配偶者が、代償金などを準備できず、被相続人とともに住んでいた不動産に住み続けることができなくなり、居住場所を失うという事態が生じてきました。
そこで、民法は、配偶者の居住権を確保するために、「配偶者居住権」という権利(2020年4月1日施行)を新しく創設しました(※)。

配偶者居住権には、「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」の2種類が創設されました。

「配偶者短期居住権」は、被相続人の持ち家に無償で住んでいた配偶者が、遺産分割の確定まで、最短でも相続開始から6か月間、引き続き住み続けることができる権利です。

「配偶者居住権」は、遺言や遺産分割などの一定の要件を満たせば生じる、長期間にわたる居住権です。

ここでは、それぞれの配偶者居住権について、要件や効果、注意点などを解説いたします。

※本相続法改正のきっかけは、内閣が国会に、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1と定める民法900条4号ただし書前段の条項を削除する法案を提出した際に、与党の一部国会議員から法律婚を尊重する国民意識が損なわれるなどの批判が相次ぎ、法務省が生存配偶者を保護するため相続法の見直しを検討することを条件として、法改正が実現した経緯があります。このような経緯もあり、配偶者の保護の一貫として、「配偶者居住権」が創設されました。

配偶者短期居住権について

配偶者短期居住権について

配偶者短期居住権は、配偶者が被相続人の財産に属した建物(以下、「自宅」といいます。)に相続開始の時に無償で居住していた場合に認められる権利です。

遺言などで、自宅の承継者が決定していない場合は、「遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日」、もしくは「相続開始の時から6ヵ月を経過する日」のいずれか遅い日までの間、配偶者は自宅に無償で住むことができます。

遺言などで、自宅の承継者が決定している場合は、承継者が配偶者に対し、配偶者短期居住権の消滅の申入れを行ってから6ヵ月を経過するまでの間、配偶者は自宅に無償で住むことができます。

配偶者短期居住権については、被相続人の相続の際に、当該居住権により受けた利益を配偶者の相続分から控除する必要はありません。
また、配偶者が、相続放棄を選択した場合でも、配偶者短期居住権を主張することができます。

配偶者居住権について

配偶者居住権は、被相続人の財産に属した建物(以下、「自宅」といいます。)に相続開始の時に居住していた場合で、下記に当てはまるときに認められる権利です。

  1. 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき
  2. 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき
  3. 被相続人と配偶者との間に配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があるとき

①については、遺産分割協議や遺産の分割の調停・審判にて取得するものとされた場合、②については、遺言にて取得するものとされた場合をいいます。

配偶者は、配偶者居住権を取得すると、別途期間を定めない限り、終身の間、無償で自宅に住み続けることができます。
ただし、自宅が、被相続人と配偶者以外の者の共有である場合は、この配偶者居住権を配偶者が取得することはできませんので、ご注意ください。

配偶者居住権は、配偶者短期居住権とは異なり、被相続人の相続の際に、当該居住権により受けた利益を配偶者の相続分から控除することになります。
つまり、配偶者居住権は、金銭評価され、配偶者は当該評価額の遺産を取得したものとみなされます。

また、配偶者居住権については、当該居住権の登記が第三者への対抗要件となりますので、忘れずに登記を入れるようにしましょう。

遺産分割の際の配偶者居住権の評価について

遺産分割の際の配偶者居住権の評価について

配偶者居住権の評価方法について、遺産分割における評価方法は民法には定められていませんが、相続税法上の評価方法が参考にされることが考えられます。
相続税法上の評価方法は、以下のとおりです。

相続税法上の評価方法

国税庁HP No.4666 配偶者居住権等の評価 参照。
※耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令に定める住宅用の耐用年数を1.5倍したものを用います。
※存続年数は、配偶者居住権の存続年数のことをいい、終身の間であれば、配偶者の平均余命の年数を用います。

各項目の数字が分かれば、配偶者居住権の相続税法上の評価金額を算出することができます。
相続税法上の評価金額を目安として、遺産分割における配偶者居住権の評価金額を出すことも考えられますが、遺産分割調停や審判にて、評価金額について当事者間で合意が出来ない場合も少なくありません。
当事者間で合意ができない場合は、家庭裁判所が選任した不動産鑑定士に配偶者居住権の評価金額を出してもらうこととなり、不動産鑑定士の報酬は、調停・審判の当事者で負担することとなります。

なお、相続税法上は、配偶者居住権を取得した配偶者が亡くなった場合(いわゆる二次相続の場合)、配偶者居住権は消滅しますが、配偶者から居住建物の所有者に相続を原因として移転する財産はないため、相続税の課税関係は生じないとされています(令和元年度税制改正の解説参照。)。

遺産分割においても、同様の考え方をとるか否かは、現状では明らかではありませんので、今後の裁判事例の結果によることになります。

以上のとおり、配偶者居住権の評価は、専門的な知識も必要となりますので、配偶者居住権の評価金額を知りたい場合は、弁護士などの専門家に相談するようにしてください。

配偶者居住権の注意点について

配偶者居住権の注意点としては、配偶者居住権の換価が容易ではないという点があげられます。

例えば、配偶者居住権を取得した配偶者が、施設入所のために配偶者居住権を換価したいとしても、第三者への譲渡が禁止されているため、自宅の所有者に譲渡するか、自宅の所有者の承諾を得た上で、自宅を第三者に賃貸させる方法しかとることができません。

そのため、配偶者と自宅の所有者の関係性が良好ではない場合は、配偶者は、配偶者居住権を換価できず、施設入所費用の捻出などに苦労するかもしれません。

また、配偶者居住権を取得した配偶者は、自宅の所有者との間で、修繕や必要費の負担についてやり取りをする必要があります。

そのため、前妻との間の子どもが自宅の所有者となっている場合などは、配偶者が自宅の所有者とうまくコミュニケーションをとることができず、経済的・精神的な負担が大きくなってしまう可能性があります。

そのため、配偶者居住権については、自宅の所有者との関係性や将来の施設入所の可能性なども検討した上で、取得するか否かを判断されるとよいでしょう。

まとめ

配偶者居住権については、ここでご紹介したルール以外にも、細かいルールがあります。
また、長期の配偶者居住権については、被相続人の相続にも大きな影響を及ぼすため、配偶者居住権を設定する場合は、必ず事前に弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・配偶者居住権は、2020年4月1日に開始されたとても新しい制度です。そのため、法律の専門家であっても、遺産分割協議や遺産分割調停などの相続に関する案件を日常的に扱っている方でないと、配偶者居住権について詳細には知らないということもあるかと思われます。そのため、配偶者居住権に関するご相談などをされる場合、相続に詳しい弁護士を選ぶべきであると考えられます。また、配偶者居住権以外の点が問題となる場合も十分に考えられますので、相続全般に精通している弁護士を選ぶことをお勧めします。

・Authense法律事務所では、相続に関する案件を常に多数扱っており、各弁護士間にその知識やノウハウが共有、蓄積されておりますので、配偶者居住権はもちろん、その他の相続に関する問題について詳しい弁護士が多数在籍しております。そのため、相続に関してお困りのことがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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