コラム

相続財産の固定資産税は誰が払う?相続税からの控除も解説

相続財産の固定資産税は誰が払う?相続税からの控除も解説

相続財産の固定資産税は誰が支払い、評価額はどのように決めるのか解説します。亡くなった人(被相続人)に未払い固定資産税がある場合、支払い義務は相続人にあります。遺言や遺産分割協議で定めることもできます。債務控除の対象となり、相続税の対象となる財産から差し引いてもらうことが可能です。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
東京都立大学理学部化学科卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了。民事事件から刑事事件まで様々な類型の事件に積極的に取り組み、実績を積む。現在は、家事事件や一般民事事件を中心に、企業法務まで幅広く取り扱う。訴訟(裁判)の経験も多く、法廷弁護を得意とする。

固定資産税は誰が支払う税金?

土地や建物を持っている限り、毎年課税される税金が固定資産税です。
固定資産税は地方税であり、納付された固定資産税は市町村(東京23区内のみは、都)の財源となります。
まずは、固定資産税は誰が支払うべき税金なのか、基本を把握しましょう。

固定資産税は1月1日時点の所有者に課税される

固定資産税は、1月1日現在、土地や家屋など固定資産税の対象となる財産の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人に対して課税されます。
固定資産税課税台帳に登録されている人は、通常、1月1日時点での登記名義人です。

また、法務局に登録がされていない未登記の不動産だからといって、固定資産税が課税されないわけではありません。
未登記であっても現地調査などを経て固定資産台帳に登録され、課税の対象となります。

亡くなった人の財産にも固定資産税は課税される

固定資産税は、その所有者が亡くなったからといって免除されるわけではありません。
亡くなった人名義の財産に課された固定資産税を誰が負担すべきかについては、後ほど解説します。

固定資産税はどう計算される?

固定資産税の計算は、市町村側が行います。
所得税や相続税などとは異なり、納税者側で税額を計算する必要はありません。

ただ、どのように固定資産税が計算されているのか知りたい方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、固定資産税の計算の基本をお伝えします。

固定資産の対象となる財産とは

固定資産税の対象となる主な財産は、土地と建物です。

しかし、実はそれ以外にも固定資産税の対象となる財産が存在します。
固定資産税の対象となる財産は、次のとおりです。

土地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)
家屋 住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物
償却資産 構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産。ただし、自動車税種別割、軽自動車税種別割の課税対象となるものは除く。

これらの中で、土地や家屋はイメージが湧きやすいかと思いますが、償却資産は耳慣れないという方も少なくないでしょう。
償却資産とは、土地と家屋以外の事業用資産で、その減価償却費が法人税法や所得税法上の規定による所得の計算上、損金または必要経費に算入されるものです。

ただし、車両は自動車税・軽自動車税の課税対象となり、固定資産税も課すと二重課税となってしまうため、固定資産税の対象とはなりません。
つまり、事業を営んでいる場合、機械や構築物などの事業用資産にも固定資産税がかかると考えておくと良いでしょう。

事業を営んでいない場合は、固定資産税がかかる財産は土地と建物だけだと考えて差し支えありません。
これ以降は、土地と建物にかかる固定資産税を前提に解説します。

固定資産税はいつの評価額で課税される?

固定資産税は、その年の1月1日時点で固定資産台帳に登録されている評価額で課税されます。
この評価額が見直される頻度は3年に1度で、令和3年度がこの基準年度です。
つまり、次の基準年度までの3年間は、原則として評価額が据え置かれます。

ただし、家屋の新築や増改築などをした場合や、土地の分合筆などがあった場合など、基準年度の価格によることが適当でない場合は評価がし直されることとなっています。

なお、固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税課税明細書を確認すればわかります。

固定資産税はどう計算される?

固定資産税は、次の計算式で算定されます。

  • 課税標準額×税率(ほとんどの場合で1.4%)=固定資産税額

固定資産税の税率は各市町村が定めており基本的に1.4%ですが、異なる税率を取っている市町村も存在します。
税率を正確に知りたい場合は、その土地や建物のある市町村に確認してください。

住宅用の土地や家屋にかかる固定資産税は減額される

住宅用の土地や家屋にかかる固定資産税には、次のような減額制度があります。

  • 土地:住宅用地のうち200㎡までの分の固定資産税を6分の1に減額、200㎡を超えた部分は3分の1に減額
  • 家屋:新築住宅にかかる固定資産税を3年間(マンション等の場合は5年間)、2分の1に減額

減額制度の適用にはさまざまな要件がありますので、詳しくはその土地家屋のある市町村に確認すると良いでしょう。

都市計画税が上乗せして徴収される

固定資産税には、次の式で計算された都市計画税が上乗せして徴収されます。

  • 課税標準額×税率(ほとんどの場合で0.3%)=都市計画税額

都市計画税の税率は基本的には0.3%ですが、市町村によっては異なる場合がありますので、詳しくは土地や建物のある市町村へ確認してください。
なお、固定資産税と同様に、都市計画税にも一定の減額制度があります。

被相続人の未払い固定資産税は誰が支払う?

亡くなった人(「被相続人」といいます)の未払い固定資産税があれば、相続人に支払い義務があります。
ここでは、未払い固定資産税について詳しく解説していきましょう。
被相続人の未払い固定資産税は誰が支払う?

未払い固定資産税とは

固定資産税は一括で支払うこともできますが、年4回の分割払いをすることも可能です。

例えば、その年1月1日に確定した固定資産税について、4月、7月、12月、翌年2月の分割払いをしていた被相続人が10月に亡くなってしまった場合、12月と翌年2月分に支払うはずであった固定資産税が未納になってしまいます。

これが、未払い固定資産税です。
なお、固定資産税を分割払いしている場合の支払い月は、市町村によって異なります。

未払い固定資産税は法定相続分での負担が原則

被相続人の未払い固定遺産税は、相続人に支払い義務があります。
その負担割合は、原則として法定相続分です。

例えば、未払い固定資産税が12万円で、法定相続人が配偶者と長男、二男の3名であった場合、それぞれ次のとおり固定資産税を支払う義務があります。

  • 配偶者:6万円(=12万円×2分の1)
  • 長男と次男:それぞれ3万円(=12万円×4分の1)

遺産分割協議や遺言などで負担者を決めることも可能

被相続人の未払い固定資産税の負担者は、遺言や遺産分割協議で別途定めることも可能です。
例えば、被相続人の債務を配偶者がすべて負担するという内容の遺産分割協議が成立したのであれば、未払い固定資産税も配偶者が支払う必要があるでしょう。

ただし、未払い固定資産税など債務についての遺産分割は、原則として相手方には主張できません。
そのため、配偶者が滞納した場合は、他の相続人に対して市町村から請求がなされる可能性があります。

未払い固定資産税は債務控除の対象になる

相続人が支払った被相続人の未払い固定資産税は、相続税の計算上、債務控除の対象となります。
つまり、相続税の対象となる財産から差し引いてもらえるということです。

収受印が押された領収書など、支払ったことがわかる資料を保存しておきましょう。

遺産分割協議成立までの固定資産税は誰が支払う?

遺産分割協議成立までの固定資産税とは、その年1月1日時点ですでに被相続人が亡くなっているものの、その時点では遺産分割協議が成立していない場合の固定資産税です。

例えば、被相続人が令和2年10月に亡くなったとします。
令和2年分の固定資産税を分割払いにしていた場合、令和2年12月分と令和3年2月に支払う固定資産税は、上で解説した被相続人の未払い固定資産税です。

しかし、令和3年1月1日を基準日として令和3年4月から6月頃に納付書が送付される固定資産税は、もはや被相続人の未払い固定資産税ではありません。
仮に不動産の名義が被相続人のままとなっていたとしても、この固定資産税ははじめから相続人に対して課税されたものです。

この場合、基準日時点ですでに遺産分割協議が成立し、固定資産税の対象となる不動産の相続人が決まっていたのであれば、その不動産を相続した人が固定資産税を支払えば良いでしょう。

では、遺産分割協議が成立していない場合は、誰が固定資産税を支払えば良いのでしょうか?

固定資産税の支払いは相続人全員の連帯責任

遺産分割協議前の固定資産税の支払いは、相続人全員の連帯責任となります。
遺産分割ができていない以上、不動産は一時的に相続人全員での法定相続分による共有扱いとなっているため、原則としてそれぞれが法定相続分に応じて支払います。

ただし、実務上は、相続財産から支払うことも考えられます。

また、基準日である1月1日時点では遺産分割協議がまとまっていなかったとしても、その後納期限までに協議がまとまっているのであれば、その不動産を取得することとなった相続人が固定資産税も支払うことが一般的だといえるでしょう。

固定資産税の納付書や評価証明書は被相続人宛てに送られる

不動産の所有者が亡くなったとしても、不動産の名義変更や市町村への届出をしていなければ、固定資産税の納付書や評価証明書などは被相続人の従前の住所宛に送付されることが一般的です。

被相続人の住んでいた家が空き家になっている場合などには、郵送物に気がつくのが遅れて滞納状態となってしまう可能性もあるため注意しましょう。

相続人代表者指定届を出せば納付書などは相続人宛てに送られる

遺産分割協議が長引いており、被相続人の従前の住所宛に納付書を送られては困るという場合は、市町村役場へ「相続人代表者指定届」を出しておきましょう。
この届出を出すことで、指定をした代表者宛に納付書などを送ってもらうことが可能です。

なお、ここで届け出た代表者が固定資産税を全額負担すべきということではありません。
あくまでも送付先として指定をするのみで、支払い義務は原則どおり相続人全員での連帯のままです。

協議成立までの固定資産税は債務控除の対象にならない

上で解説をした被相続人の未払い固定資産税とは異なり、被相続人が亡くなった後に基準日(1月1日)が到来した固定資産税は、相続税の債務控除の対象とはなりません。

ただし、その不動産が賃貸マンションなどの収益不動産である場合は、相続人が行うその賃貸収入の確定申告において、必要経費に計上することは可能です。

固定資産税の相続手続きは何をする?

固定資産税の相続手続きは何をする?

最後に、遺産分割協議がまとまった場合に行う固定資産税の相続手続きを確認しておきましょう。

相続登記をする

不動産を相続する相続人が決まったら、法務局で相続登記を行います。
通常は、相続登記をすれば自動的に固定資産税の納税義務者も書き換わりますので、市町村へ別途届出などをする必要はありません。

ただし、固定資産税は1月1日時点での所有者に対して、4月から6月頃に送付されます。
そのため、例えば3月頃に相続登記をした場合にはその年分は被相続人宛に固定資産税の納付書等が送付され、翌年以降新たな所有者宛に送付されることに注意してください。

その年分から相続人宛に送付して欲しい場合には、市町村役場へ相談しましょう。

未登記家屋は市町村役場に変更届を出す

建物の中には、法務局に登記がされていない未登記建物が存在します。
未登記建物がある場合は、市町村役場へこの未登記建物についての所有者変更届(市町村により名称は異なります)を出しておきましょう。

所有者変更届を出すことで、次回以降の固定資産税の納付書などが新所有者宛てに送付されます。

まとめ

被相続人の持っていた不動産にかかる固定資産税は、引き続き誰かが支払っていかなければなりません。
滞納をしてしまえば延滞税が発生したり差し押さえをされたりする可能性がありますので、たとえ遺産分割協議がなかなかまとまらない場合であっても、きちんと納付するようにしましょう。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

上記のとおり、遺産分割が済んでいない場合、固定資産税は、原則として各相続人が法定相続分に従って負担することになります。もっとも、全く知らない相続人が存在する場合などもあり、相続人の確定及び法定相続分の確定のためには被相続人の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍を取得する必要があります。
また、本コラムでは固定資産税にフォーカスしていますが、実際には、相続人間でどのように遺産を分けるのか、遺産分割協議をしなければなりません。遺産分割協議がまとまらず、なかなか遺産を分けることができないという場合も少なくありません。
Authense法律事務所では、遺産分割などをするにあたって必要となる戸籍の収集や遺産分割協議など、相続問題にかかわるあらゆる手続きについてご依頼を受けております。また、相続に関するご依頼を多数受けており、相続に関する専門的知識を有している弁護士が多数所属しております。相続に関してお困りのことがございましたら、お気軽にAuthense法律事務所にご相談ください!

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