コラム

公開 2023.01.13

遺言書の書き方は?例文をもとに作成方法を弁護士がわかりやすく解説

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遺言書は、自分の死後における財産の行き先などを決めておく、非常に重要な文書です。
では、遺言書はどのように作成すればよいのでしょうか?

今回は、遺言書の書き方や、遺言書を書く際の注意点などについて弁護士が解説します。

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遺言書とは

遺言書とは、遺言者である本人が亡くなったあとにおける遺産の配分などを、生前に決めておく文書のことです。

遺言書がない場合、ある人が亡くなった後で遺産を配分するためには、相続人全員の話し合いである「遺産分割協議」を行い、相続人全員が合意の下で話し合いを成立させる必要があります。
仮に一人でも分割内容に納得しない人がいれば、遺産分割協議書を成立させることができず、最終的には家庭裁判所で遺産分割協議を行う「調停」や、裁判所が分け方を決める「審判」を行って解決しなければならなくなる場合もあります。
これが、いわゆる相続争いです。

一方、適切な遺言書があれば遺言書どおりに遺産を配分すればよく、遺産分割協議が不要となります。

遺言書でできること

遺言書に書いて法的効力を生じる事項は、法律で規定されています。
たとえば、「私が亡くなったら〇〇会館で葬儀をしてほしい」という記載や、「私の死後、妻の〇子は再婚しないように」という記載などには、遺言者の意向を遺族に伝える程度の意味はあるものの、法的な効力がありません。

遺言書でできる主なことは、次のとおりです。

遺産の配分

遺言書の効力のうち、メインとなるものが遺産の配分です。
遺産に含まれる財産をそれぞれ誰に相続(遺贈)させたいのかを記すことで、亡くなった後の名義変更などの手続きがスムーズとなります。

遺言で財産を渡す相手には、特に制限はありません。
相続人である子や配偶者などに財産を渡すことができるのはもちろんのこと、お世話になった友人など、親族ではない人に財産を渡すことも可能です。

相続権の剥奪

遺言書には、特定の相続人の相続権を剥奪する内容を記載することが可能です(民法893条)。
これを、「相続人の廃除」といいます。

ただし、相続人の廃除は、遺言書に書いたからといって必ずしも認められるわけではありません。
相続人から廃除するためには、次のいずれかの要件を満たしたうえで、排除が相当と家庭裁判所が認めることが必要です。

  • 被相続人(遺言者)を虐待したこと
  • 被相続人(遺言者)に重大な侮辱を加えたこと
  • 推定相続人(廃除対象者)にその他の著しい非行があったこと

このように、廃除のハードルは決して低くありません。
たとえば、会うたびに口論になるなど単に相性が悪いという場合や、前妻の子には財産を渡したくないといった理由による場合などには、廃除が認められる可能性は低いでしょう。

そのため、相続人からの廃除について詳しく知りたい方は、あらかじめ弁護士へご相談ください。
また、廃除の方法として、遺言書に記載する以外にも、生前に家庭裁判所に請求することも可能ですので、あわせてご相談ください。

子どもの認知

認知とは、父親が、ある人が自分の子どもであると法的に認める行為です。
認知をして法的に父子関係が成立することで、認知をした子に相続権を発生させる効果があります。

認知は生前に行うこともできますが、事情により生前に行うことが難しい場合には、遺言書で認知をすることも可能です。
ただし、この場合には認知の手続きが必ず行われるよう、後述する遺言執行者を弁護士へ依頼しておくことをおすすめします。

遺言執行者の指定

遺言執行者とは、遺言書を遺言書どおりに実現させる人です。
遺言執行者は遺言書内であらかじめ指定しておくことが可能です。

遺言執行者には遺言書で財産を渡す親族などを指定することもできますし、弁護士などの専門家を指定することも可能です。
争いが予見される場合や複雑な手続きを伴う場合には、弁護士を遺言執行者として指定しておくとよいでしょう。

生命保険金の受取人変更

遺言書に記載することで、生命保険金の受取人を変更することが可能です。

ただし、遺言書への記載で受取人が変更できるのは、平成22年(2010年)4月1日の保険法改正以後に締結された保険契約に限られます。
また、相続発生後に保険会社へ通知しなければ効力は生じず、仮に保険会社が遺言書の存在を知らないまま変更前の受取人へ生命保険金を支払ってしまった後では、変更後の受取人が支払いを受けることはできません。

遺言書の種類とそれぞれの書き方

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遺言書の種類には、普通の方式と特別の方式の二種類があります。今回は、普通の方式の遺言書として、次の3つを説明します。なお、特別の方式は非常に珍しいケースですので説明は割愛します。
それぞれの書き方(作成方法)は、次のとおりです。

自筆証書遺言

自筆証書遺言(968条)とは、遺言者が自書するタイプの遺言書です。
自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑さえあれば作成できます。
使用する筆記具に法律上の制限はありませんが、鉛筆では書き換えられてしまうリスクが高いため、ボールペンや万年筆など書き換えが難しい筆記具を作成すべきでしょう。

自筆証書遺言の書き方のルールは、次のとおりです。

  • 遺言者が全文を自書すること:本文は全て自書する必要があります。財産目録を別紙として添付することもでき、その場合財産目録についてはワープロ打ちなどでも構いませんが、ワープロ打ちした財産目録にも署名と捺印をすることが必要になります。
  • 遺言者が日付を自書すること:「吉日」はNGです。年月日まで特定できるように記載します。
  • 遺言者が氏名を自書すること:戸籍上の氏名を自書しましょう。
  • 遺言者が印を押すこと:印の種類に制限はありませんが、実印が望ましいでしょう。

これらのルールから一つでも外れてしまうと無効となってしまうため、注意して遺言書を作成しましょう。

なお、令和2年(2020年)7月10日から、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が始まっています。
制度を利用することで紛失や偽造などのリスクがなくなり、遺言書の検認も不要となりますので、自筆証書遺言で遺言をする場合には保管制度の利用も検討するとよいでしょう。

公正証書遺言

公正証書遺言(民法969条)とは、公証人の関与のもとで作成する遺言書です。
公正証書遺言の書き方の流れは、次のとおりです。

  1. 遺言書の内容を検討する:自分で検討するか、弁護士などの専門家とともに検討します。
  2. 公証役場に事前相談へ出向く:公証役場はどこでも構いませんが、自宅などから近い公証役場で相談することが一般的です。
  3. 公証役場で文案を作成してもらう:希望の遺言内容に従って、公証役場に文案を作成してもらいます。
  4. 予約する:遺言書作成日の予約をします。なお、入院中などでどうしても公証役場に出向くことができない場合には、公証人に病院などに出張に来ていただくことも可能な場合があります。
  5. 証人を手配する:公正証書遺言の作成には、証人2名が必要です。相続人になる予定の人や遺言書で財産を渡す相手などは証人になれません。もし、適切な人が周りにいない場合、有料にはなりますが、公証役場に手配を依頼することも可能です。
  6. 予約日時に公証役場へ出向く:公証人と2名の証人の面前であらためて遺言内容を口授し、公証人作成の文案を確認します。問題がなければ遺言者と2名の証人が遺言書に署名捺印をして遺言書が完成します。

公証役場とのやり取りなどに手間はかかりますが、もっとも確実で安心な遺言方法であるといえるでしょう。

秘密証書遺言

秘密証書遺言(民法970条)とは、遺言内容を誰にも知られることなく、公証役場で保管をしてもらうタイプの遺言です。

秘密証書遺言の書き方(作成方法)の要件は、次のとおりです。

  • 遺言者が証書に署名して印を押すこと:自筆証書遺言とは異なり、本文は自書でなくても構いません。
  • 遺言者がその証書を封じて封印すること:証書に使用したのと同じ印で封印します。
  • 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨と自分の氏名住所を申述すること:すでに封印した状態で公証役場に提出するため、公証人と証人は遺言書の内容を確認しません。
  • 公証人が、その証書を提出した日付と遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者と証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

なお、秘密証書遺言はほとんど利用されておらず、年の作成件数は100件程度と言われています。

遺言書の内容は、本人以外には誰にも確認がされないため、無効になる可能性がある点は、大きなデメリットと考えられます。

遺言書の書き方文例とポイント

遺言書の文例と書き方のポイントは、次のとおりです。

遺言書の文例

遺言書の文例は、次のとおりです。

遺言書

遺言者 相続 太郎 は、次のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、遺言者の有する下記の財産を、遺言者の妻 相続 花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

(1) 土地

  所在  〇〇市〇〇町1丁目

  地番  1番

  地目  宅地

  地積  200.00㎡

(2) 家屋

  所在  〇〇市〇〇町1丁目1番地

  家屋番号  1番

  種類    居宅

  構造    木造瓦葺2階建

  床面積   1階 120.00㎡ 

2階 100.00㎡

(3) 預貯金

  ゆうちょ銀行 通常貯金 記号番号12345-1234567

第2条 遺言者は、遺言者の有する下記の財産を、遺言者の長男である 相続 一郎(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

(1) 土地

  所在  〇〇市〇〇町

  地番  1234番

  地目  原野

  地積  500㎡

(2) 預貯金

  ABC銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号0123456

第3条 遺言者は、遺言者の有する下記の財産を、遺言者の長女である 遺産 良子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

(1) 預貯金

  DEF銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号9876543

(2) 有価証券

  GHI証券 〇〇支店 口座番号000001 に預託する有価証券及び預け金すべて

第4条 遺言者は、第1条から前条までに記載する財産を除く遺言者の有する全ての財産を前記 相続 花子 に相続させる。

第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、前記 相続 一郎 を指定する。

(付言事項)

私の亡きあと、万が一にも私の相続でもめてしまうことのないよう、この遺言書をのこします。

一郎、良子は、花子のことをよろしく頼みます。

これからも、家族が仲良く、必要な時には助け合って生きて欲しいと、心から願っています。

今までありがとう。

令和5年1月1日

〇〇市〇〇町1丁目1番1号 

相続太郎 ㊞

遺言書を書く際のポイント

遺言書を書く際の主なポイントは、次のとおりです。
ここでは、上の文例をもとに解説します。

遺言書であることを示す

遺言書には、その文書が遺言書であることがわかるようタイトルを記載しましょう。
「遺言書」と記しておけば問題ありません。

財産を渡したい相手の情報を明確に書く

遺言書には、誰に遺産を渡したいのか明確に記載しましょう。
渡す相手が親族である場合、記載すべき内容は次のとおりです。

  • 氏名:戸籍謄本どおりに正確に記載します。
  • 続柄:自分から見た続柄です。戸籍の記載どおりに書きましょう。

生年月日:西暦でも和暦でも構いませんが、誤りのないよう住民票や戸籍謄本どおりに記載することをおすすめします。

なお、遺産を渡す相手が親族以外の場合には続柄では特定ができないため、相手の住所も記載してください。
住所は、住民票どおりに正確に記載しましょう。

財産の情報を明確に書く

遺言書では、対象とする財産について正確に記載しましょう。
それぞれ、次の資料を参考に正確に記載してください。

  • 土地・家屋:全部事項証明書(登記簿謄本)
  • 預貯金:通帳
  • 有価証券:証券会社に預託している場合には証券会社から送られてくる取引履歴報告書など

財産の記載があいまいであったり、間違っていたりする場合には、手続きができない可能性がありますので、参照資料どおりに正確に記載しましょう。

その他の財産について記載する

遺言書に、細かな財産まですべてを網羅して記載することは現実的ではありません。
そのため、遺言書に書ききれない動産類などは、「その他の財産」として、行き先を明記しておきましょう。

たとえば、「前条まで記載の財産を除く遺言者の有する全ての財産を〇〇に相続させる」などです。

日付と氏名を書き、印を押す

自筆証書遺言では、遺言書全文の自書のほか、氏名と日付の自書が必須とされています。
そのため、忘れないように必ず記載してください。

なお、日付は「吉日」や年月のみの記載では不十分です。
必ず「令和5年1月1日」にように、日付まで特定して記載しましょう。

遺言者の住所の記載は、法律上必須ではありません。

最後に、必ず押印をします。
自筆証書遺言では押印も要件の一つとされており、押印がないと無効になってしまうためです。

遺言書を書く際の注意点

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遺言書を作成する際には、次の点に注意しましょう。

書き損じに注意する

特に自筆証書遺言では、書き損じに注意しましょう。
仮に書き損じた場合には訂正方法が厳格に定められており、訂正方法を誤れば無効となるリスクがあります。

そのため、仮に書き損じた場合には、可能な限りはじめから書き直した方がよいでしょう。

付言事項を活用する

付言事項とは、遺言書に付け加えるメッセージのようなものです。
付言事項をうまく活用することで、より想いの伝わる遺言書となります。

付言に法的効力はないものの、付言をうまく活用して相続人などに、遺言を書いた際の想いなどが伝わることで、相続争いのリスクを引き下げることができるかもしれません。

遺留分に注意する

遺留分とは、配偶者や子どもなど一部の相続人に保証されている相続での取り分です。

遺留分を侵害した内容の遺言書であっても、遺言書自体が無効になるわけではありません。
しかし、遺留分を侵害された相続人から、遺産を多く受け取った相手に対して遺留分侵害額請求がされて、トラブルになる恐れがあります。遺留分侵害額請求とは、侵害した遺留分相当の金銭を支払うよう請求することです。

そのため、遺言書を作成する際には、遺留分について理解した上で、作成することが望ましいといえるでしょう。

専門家にサポートを依頼する

スムーズに相続手続きを終えられるような内容の遺言書の作成は、容易ではありません。
問題のない遺言書を作成するためには、さまざまな視点から、リスクなどを確認しつつ作成する必要があるためです。

法的に問題の残る遺言書を作成してしまえば、トラブルの原因となる可能性もあるでしょう。
そのため、遺言書を作成する際には、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

遺言書には、普通の方式として、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言の3つが存在します。
作成方法はそれぞれ異なりますので、要件をよく確認のうえ作成しましょう。

また、遺言書の書き方を誤らないためにも、遺言書を作成する際は弁護士へご相談いただくことがおすすめです。

遺言書の書き方でお困りの際には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。
Authense法律事務所には相続や遺言書にくわしい弁護士が多数在籍しており、親身になって遺言書作成をサポートいたします。

記事を監修した弁護士
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弁護士 
(大阪弁護士会)
同志社大学法学部法律学科卒業、立命館大学法科大学院修了。離婚、相続問題を中心に、一般民事から企業法務まで幅広い分野を取り扱う。なかでも遺産分割協議や遺言書作成などの相続案件を得意とする。
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