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公開 2026.06.18 更新 2026.06.22

遺留分侵害額請求における不動産の評価方法は?弁護士がわかりやすく解説

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遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分相当額の金銭の支払いを求めるものです。
この遺留分侵害額を正確に算定するには、遺産である不動産を評価する必要があります。

では、遺留分侵害額請求にあたり、不動産はどのように評価されるのでしょうか?
また、遺留分侵害額請求はどのような流れで行うのでしょうか?

今回は、遺留分侵害額請求における不動産の評価方法や、遺留分侵害額請求において不動産評価が重要である理由、遺留分侵害額請求の一般的な流れなどについて弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(Authense法律事務所)は遺留分侵害額請求に関して豊富なサポート実績を有しています。
遺留分侵害額請求をされたものの、不動産の評価方法を見直すことで遺留分を大きく減額できたケースも少なくありません。

遺留分侵害額請求をご希望の際や、遺留分侵害額請求をされたものの支払うべき遺留分を減らしたくてお困りの際などには、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

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遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求とは、遺言や生前贈与によって侵害された遺留分相当額の金銭を支払うよう、遺産を多く受け取った相手に求めるものです。
遺留分侵害額請求がされたら、請求を受けた者は、実際に遺留分侵害額相当の金銭を支払わなければなりません。

遺留分とは、亡くなった人(「被相続人」といいます)の配偶者や子どもなど、一定の相続人に保証された相続での最低限の取り分です。
遺留分を侵害する遺言や生前贈与が、自動的に無効になるわけではありません。

しかし、遺留分を侵害する内容の遺言や生前贈与は、相続開始後の遺留分侵害額請求の原因となります。

遺留分減殺請求との違い

遺留分の請求は、2019年7月1日に民法の改正法が施行されるまで「遺留分減殺請求」という名称でした。
改正後は、これが「遺留分侵害額請求」へと改められています。

「遺留分侵害額請求」と「遺留分減殺請求」の最大の違いは、請求の効果です。

遺留分減殺請求は、侵害された遺留分に相当する遺産の返還(減殺)が原則でした。
たとえば、長男と二男の2人が相続人であり、長男が唯一の遺産である8,000万円相当の土地を遺言により取得したとします。

この場合に遺留分減殺請求がなされると、土地のうち二男の遺留分に相当する4分の1(=遺留分割合2分の1×二男の法定相続分2分の1)が二男の名義となります。
その結果、この土地は長男4分の3、二男4分の1の共有となります。

これに対し、改正後の遺留分侵害額請求は金銭請求権です。
そのため、同じ事例で遺留分侵害額請求がなされても、土地が自動的に共有となることはありません。

この場合には、長男から二男に対して2,000万円(=8,000万円×4分の1)の遺留分侵害額を支払うこととなります。

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不動産の主な評価方法

素材_不動産

1,000万円の現金の価値は1,000万円であり、2,000万円の預貯金の価値は既経過利息などを加味してもおおむね2,000万円です。
これに対し、不動産は「一物四価」や「一物五価」ともいわれるように、複数の評価方法があります。

不動産の主な評価方法には、次の5つがあります。

  • 不動産鑑定評価額
  • 時価(実勢価格)
  • 公示価格
  • 路線価(相続税評価額)
  • 固定資産税評価額

不動産鑑定評価額

不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士が個別で評価した不動産の価額です。
周辺の取引事例に、その不動産の個別状況を加味して評価されます。

最も精度が高く個別事情も加味した評価方法であるため、不動産の評価について争いがある場合などに、裁判所の判断で鑑定評価がなされることがあります。

時価(実勢価格)

時価(実勢価格)とは、不動産の実際の売買価格です。
近隣の不動産の取引実例などから算出されます。

一般的に、時価は路線価や固定資産税評価額などよりも高くなります。

公示価格

公示価格とは、国土交通省が公表する評価額です。
全国の一定の地点に関して、毎年1月1日時点の評価額が3月下旬頃に公表されています。

路線価(相続税評価額)

路線価(相続税評価額)とは、相続税や贈与税の算定に用いられる評価額です。
国税庁により道路(路線)ごとに評価額が付けられ、これに面積を乗じたり土地の形状に応じた調整率を乗じたりして土地の評価額を算定します。

路線価は、時価の8割程度の額となることが多いでしょう。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税の算定に用いられる評価額です。
固定資産税評価額は、毎年4月から6月頃に市区町村役場から送付される「固定資産税納付書」に同封されている課税明細書などで確認できます。

固定資産税評価額は時価の7割程度であることが多く、最も評価額が低くなりやすい評価方法であるといえます。

遺留分侵害額請求において不動産の評価方法が重要である理由

遺留分侵害額請求において不動産の評価方法が重要なのは、不動産の評価方法により支払うべき遺留分が大きく変動する可能性があるためです。

不動産は、評価方法により評価額が大きく変動し得ます。
たとえば、時価が1億円程度の不動産でも、固定資産税評価額は6,000万円程度である場合も少なくありません。

仮に相続人が長男と二男の2名、遺産がこの不動産のみである場合、時価をベースに二男の遺留分を算定すると遺留分は2,500万円程度となります。
一方で、6,000万円である固定資産税評価額をベースに算定すると遺留分は1,500万円となり、1,000万円もの差が生じます。

これは一例であるものの、このように、採用する不動産の評価方法は遺留分の額に直結します。
そのため、遺留分侵害額請求においては、不動産の評価方法の選定が非常に重要であるといえます。

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遺留分侵害額請求では不動産はどの方法で評価する?

先ほど解説したように、不動産の評価方法の選定により遺留分侵害額が大きく変動する可能性があります。
では、遺留分侵害額請求において、不動産はどの方法で評価するのが適切なのでしょうか?

遺留分侵害額請求を「する」側:できるだけ評価額が高くなる評価方法が望ましい

遺留分侵害額請求を「する側」としては、遺留分として受け取れる金銭ができるだけ多くなる評価方法を採用したいと考えるのが自然です。
そのため、時価など、不動産の評価額ができるだけ高くなる評価方法を採用できるよう交渉することとなるでしょう。

遺留分侵害額請求を「される」側:できるだけ評価額が低くなる評価方法が望ましい

遺留分侵害額請求を「される側」としては、支払うべき金銭ができるだけ少なくなる評価方法を採用したいことでしょう。
そのため、固定資産税評価額など、不動産の評価額を抑えやすい評価方法を採用できるよう交渉することとなります。

合意ができた場合:合意できた評価方法

遺留分侵害額請求では、具体的な請求額についてまずは当事者間で交渉を行い、交渉で合意ができない場合に調停や訴訟などへと移行することが一般的です。

交渉段階で合意が成立するのであれば、不動産の評価方法についてもどの方法を採用しても構いません。
双方が時価で評価することに合意するのであれば時価で評価すればよく、双方が固定資産税評価額の採用に合意するのであればこの方法で評価すればよいということです。

訴訟に発展した場合:ケースバイケース

遺留分侵害額請求が訴訟にまで発展した場合、不動産の評価方法は状況によって異なります。
一般的には時価をベースに算定することが多いものの、両者が主張する価額の中間となる額が採用される場合もあります。

また、不動産の評価方法について争いがある場合には、鑑定評価となる可能性もあるでしょう。

訴訟で思いがけない結論が下り後悔しないためにも、訴訟に発展した場合の結論をあらかじめある程度想定したうえで、相手方との交渉の戦略を練る必要があります。

遺留分侵害額請求での不動産評価でお困りの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
当事務所は遺留分侵害額請求に関して豊富なサポート実績を有しており、ご相談者様の利益に資する適切な不動産の評価方法を提案します。

遺留分侵害額請求における不動産評価の時期は?

素材_弁護士相談

遺留分侵害額請求において不動産の評価の基準となる時期は、相続の発生時点です。
相続の発生後に不動産の評価が大きく変動していたとしても、原則として加味されません。

また、生前贈与を遺留分の対象とする場合、生前贈与された不動産も、原則として相続発生時点を基準に評価されます。
生前贈与から相続開始までの期間が長い場合、贈与時点の評価額と相続発生時点の評価額の差が大きくなる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

遺留分侵害額請求の一般的な流れ

遺留分侵害額請求は、一般的にどのような流れで行うのでしょうか?
ここでは、遺留分侵害額請求の流れを紹介します。

  1. 弁護士に相談する
  2. 請求する遺留分侵害額を検討する
  3. 弁護士から遺留分侵害額請求をする
  4. 具体的な遺留分侵害額について交渉する
  5. 遺留分侵害額請求調停で解決をはかる
  6. 遺留分侵害額請求訴訟で解決をはかる

1.弁護士に相談する

遺留分侵害額請求には、注意点が少なくありません。
そのため、弁護士のサポートを受けて行うことをおすすめします。

お困りの際は、Authense法律事務所までご相談ください。
当事務所は遺留分侵害額請求について豊富なサポート実績を有しており、安心してご相談いただけます。

2.請求する遺留分侵害額を検討する

次に、請求する遺留分侵害額を検討します。
遺産に不動産がある場合、請求する遺留分侵害額の算定にあたっては、不動産の評価方法も検討することになります。

3.弁護士から遺留分侵害額請求をする

請求内容が固まったら、弁護士から遺留分侵害額請求をします。

民法には、遺留分侵害額請求の具体的な方法の指定はありません。
そのため、法律上は口頭や普通郵便などでの請求も可能です。

しかし、遺留分侵害額請求には期限があり、期限内に請求することが重要です。
そのため、期限内に遺留分侵害額請求をしたことの証拠を残すことを目的として、実務上は配達証明付きの内容証明郵便で請求することが一般的です。

内容証明郵便とは、いついかなる内容の郵便が誰から誰に送られたのかを、謄本により日本郵便株式会社が証明する制度のことです。

4.具体的な遺留分侵害額について交渉する

遺留分侵害額請求をしても、相手方が請求額をそのまま支払うケースは多くないでしょう。
多くのケースで、相手方から金額の減額を求められたり、支払を拒絶されたりします。

そのため、請求後は、具体的な遺留分侵害額について相手方と交渉するステップが生じます。
弁護士に依頼している場合は弁護士が代理で交渉するため、依頼者が直接相手方とやり取りをする必要はありません。

5.遺留分侵害額請求調停で解決をはかる

交渉により遺留分侵害額の合意が得られない場合には、調停を申し立てて解決をはかることとなります。
調停とは、裁判所の調停委員が当事者双方から交互に意見を聴き、意見を調整することで合意形成を目指す手続きです。

調停は1か月に1度ほど、複数回の期日が開かれます。
無事に合意がまとまれば、調停は成立となります。

6.遺留分侵害額請求訴訟で解決をはかる

調停を経ても合意が得られない場合には、遺留分侵害額請求訴訟を申し立てて解決をはかることとなります。

訴訟では、裁判所が諸般の事情を考慮し、法律の規定に従って遺留分侵害の有無や不動産の適切な評価方法などについての結論を下します。
裁判所が下した結論(判決)に不服がある場合には、判決の送達から2週間以内に限り審理のやり直しを求める控訴ができます。

いずれの当事者も控訴することなくこの期間を経過すると判決が確定し、両当事者がこの判決に縛られます。

なお、遺留分を支払うべきとの判決が下ったにもかかわらず、所定の期日までに遺留分が支払われない場合には、遺留分を強制的に回収する「強制執行」の対象となります。

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不動産が関係する遺留分侵害額請求に関するAuthense法律事務所の主な解決実績

不動産の評価が争点となる遺留分侵害額請求についても、Authense法律事務所には豊富なサポート実績があります。
ここでは、遺留分侵害額請求や不動産の評価に関する当事務所の主な解決実績を紹介します。

不動産を単独で相続したら、遺留分侵害額請求がなされた事例

祖母(被相続人)が亡くなり、孫(相談者)が代襲相続人となりました。
祖母の唯一の遺産はアパートとして賃貸している土地・建物であり、これを孫が遺言により相続することとなっています。

これを受け、孫に対し、祖母の子ら(相談者の叔母ら)から遺留分を求める請求がなされました。
請求額は高額であり、孫にはこれを支払えるだけの資力はありません。

そこで、孫からAuthense法律事務所にご相談いただきました。

当事務所の弁護士が不動産業者に不動産の評価額の査定を依頼したところ、叔母らによる請求額が高過ぎることがわかりました。
また、叔母らが祖母から、生前に資金援助を受けていたことも判明しています。

これらを踏まえて弁護士が粘り強く交渉した結果、相手方主張額よりも100万円低い解決金を支払う形で合意が得られ、解決に至りました。

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遺留分侵害額請求や不動産評価に関するよくある質問

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最後に、遺留分侵害額請求や不動産評価に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

遺留分侵害額請求で不動産の返還を求めることはできる?

原則として、遺留分侵害額請求で不動産の返還を求めることはできません。
改正により、遺留分の請求は遺留分「減殺」請求ではなく、遺留分「侵害額」請求(金銭請求権)になっているためです。

ただし、遺留分権利者と義務者との交渉により、金銭ではなく不動産の返還で対応する旨を取り決めることは可能です。

遺留分侵害額請求の不動産評価額が高過ぎて遺留分を支払えない場合の対処法は?

不動産評価が高過ぎて遺留分を支払えない場合には、まず弁護士にご相談ください。
不動産の評価方法を見直すことで、支払うべき遺留分を減額できる可能性があるためです。

また、それでも遺留分の支払いが難しい場合には、相手方に分割払いを申し入れるなどの方法を検討するとよいでしょう。

まとめ

遺留分侵害額請求の概要や遺留分侵害額請求における不動産の評価方法、遺留分侵害額請求の流れなどについて解説しました。

遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分相当額の金銭を支払うよう遺産を多く受け取った相手に求めるものです。
遺留分計算の基礎に不動産が含まれる場合、この不動産の評価方法について双方の意見が食い違うことがあります。

遺留分侵害額請求をする側としては、評価額が高くなりやすい時価などでの評価を求めることになるでしょう。
一方で、遺留分侵害額請求をされる側としては、評価額が比較的低くなりやすい固定資産税評価額などの採用を求めて交渉することとなります。

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼している場合には、この交渉を弁護士に任せられます。
また、合意がまとまらず調停や訴訟に移行する場合にも対応を弁護士に任せられ、負担を大きく軽減できます。

遺留分侵害額請求や具体的な金額交渉などを、すべて自分で行うことは容易ではありません。
そのため、遺留分侵害額請求をする際は、実績豊富な弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。

Authense法律事務所は、遺留分侵害額請求に関して豊富なサポート実績を有しています。
遺留分は、不動産の評価方法により大きく変動することも少なくありません。

遺留分侵害額請求をしたい際や、遺留分侵害額請求がされてお困りの際などには、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。明治大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学法科大学院を修了(法務博士)。相続分野を中心に多くの案件を取り扱うほか、離婚や刑事事件など、様々な案件に意欲的に対応している。多量の資料であっても隅々まで精査し、証拠として重要なポイントを抽出することを得意としている。
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