相続税・贈与税対策

相続税の控除について

相続税の基礎控除である「3000万円+(600万円×法定相続人の数))」以外にも相続税の控除があります。
それらをしっかり把握しておくことは、相続税を減額することにつながります。

配偶者控除(配偶者の税額軽減)

法定相続人が配偶者の場合、以下の条件に当てはまるのであれば、相続税が控除されます。

・配偶者が相続する割合が法定相続分以下の場合
・配偶者が相続する財産が1億6,000万円以下の場合は相続税はかかりません。

但し、この制度を利用するためには、原則として期限内(10ヶ月以内)に相続税の納付の有無にかかわらず、相続税申告書の提出が必要です。

未成年者控除

法定相続人に未成年者がいる場合は、未成年者が20歳に達するまでの年数1年につき、6万円が控除されます。※相続開始時の年齢が1年未満の端数は1年として計算します。

6万円×(20歳-相続開始時の年齢)=未成年者控除額

贈与税控除

贈与税額控除とは、贈与税に加えて相続税が二重に課税されることを防ぐために設けられた規定です。すでに贈与税を支払っている方は特に注意してください。

相続開始前3年以内の贈与財産は、相続税の対象として加算されてしまいますが、贈与税を既に支払っている場合には相続税から控除されます。

障害者控除

以下対象者は、障害者控除を受けることができます。

  • 知的障害者と認定されている方
  • 1~6級の身体障害者手帳をお持ちの方
  • 1~3級の精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方

以上の該当者は、85歳に達するまでの年数に6万円(特別障害者の方は12万円)を乗じた金額を相続税額から控除されます。

相次相続控除

10年以内に2回以上の相続があった場合に、前回の相続において被相続人に課税された相続税額のうち前回相続から今回相続までの経過年数1年につき相続税額10%の割合で減額した残額を今回の相続における相続税額から控除しようとするものです。

外国税額控除

相続により取得した財産が国外にある場合、その国外財産について相続税に相当するものが課税されている場合は、二重課税を防止するために国内で相当する税額を相続税額から控除できます。

相続税の計算方法

必ずしもすべての相続財産に相続税が課されるわけではありませんし、基礎控除の範囲内であれば相続税は発生しません。
財産調査をしっかり行い、該当するかどうかを見定めましょう。

1.課税価格の算出

相続税がかかる財産から相続税がかからない財産を引いたものです。

【相続税がかかる財産】
・プラスの相続財産
・みなし相続財産
・(a)相続時精算課税の適用を受けた贈与財産
・(b)(a)を除く3年以内の贈与財産

【相続税がかからない財産】
・墓地や仏壇など
・相続税申告期限内における国などへの寄付金
・死亡退職金・保険金の一定額(500万円×相続人数)
・葬儀費等

2.課税遺産総額を算出

これは、相続税課税対象となる遺産の総額のことです。
上記の「課税価格」から「基礎控除額(5000万円+法定相続人の数×1000万円)」を差し引いたものです。

3.相続税の総額を算出

ここからが相続税額の計算です。
まずは、遺産総額にかかる相続税を計算します。ややこしいですが、大切なところなのでしっかり読み進めてください。

①「課税遺産総額」×法定相続割合

課税遺産総額を一度、法定相続分に分けて、各相続人の取得額を算出します。

②「取得金額」×税率-控除額

各相続人が取得する金額に相続税速算表というものを見ながら税率をかけて、取得金額が1000万円を超える場合には基礎控除とは別に控除が発生しますので、それを差し引きます。相続税は、累進課税となっており、取得金額ごとに税率が異なります。

③各相続人の相続税を足す

各相続人の仮相続税額が算出されたら、これをすべて加えることによって相続税の総額が算出されます。

3000万円+(600万円×法定相続人数)
例:課税価格合計額が5000万円で法定相続人が配偶者と子1人。
この場合、計算式から基礎控除額は4200万円。相続財産の総額5000万円から基礎控除額4200万円を差し引いた残りの800万円が相続税の課税遺産額となります。
課税価額合計額が基礎控除額を超えない場合は相続税の申告は必要ありません。

※平成26年12月31日以前に被相続人が亡くなった場合の基礎控除額は上記と異なります

Check!法定相続人の中に相続の放棄をした人がいた場合

相続放棄をした人がいた場合、民法では法定相続人ではありませんが、税法では法定相続人になります。

Check!法定相続人全員が相続放棄をした場合

税法では相続放棄の有無にかかわらず、相続発生時の法定相続人の数で計算します。

Check!被相続人に養子がいる場合の法定相続人数

法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人数は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までを法定相続人に含めます。

Check!内縁の妻(夫)は法定相続人にならない

内縁の妻(夫)は婚姻関係にないため、法定相続人にはなりません。しかし、その間に子がいる場合、その子は法定相続人になります。

4.各人の相続税額を算出

相続税の総額が算出されたら、各相続人にかかる相続税の金額を計算します。

「相続税の総額」×「各人の按分割合(各人の課税価格/課税価格合計)」

したがって、各相続人の相続税額は、「相続税の総額」から自分がもらう相続財産の割合を掛けることによって算出されます。

5.各相続人の納付額

さらに、相続人よっては、これらの相続税額から加算または控除が発生します。
加算項目に該当する場合はそれをプラスしたもの、控除に該当する場合はそれを差し引いたものが実際の納付額になります。

相続税総額×実際の相続割合=各人の相続税額

Check!被相続税率

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

Check!財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子以外の場合

税額控除を差し引く前の相続税額にその20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。

Check!子が被相続人の死亡以前に死亡しているときの孫(その子の子)

相続税額に20%相当額を加算する必要はありませんが、子が被相続人の死亡以前に死亡していない場合の被相続人の養子である孫については加算する必要があります。

相続時精算課税の特定贈与者(相続時精算課税に係る贈与者(親や祖父母)をいいます。)が死亡した場合には、相続時精算課税の適用者(受贈者)が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産は相続又は遺贈により取得したものとみなされ、贈与時の価額で相続税の課税価格に算入されることになります。

【加算項目】
相続税を血縁関係の遠い方がもらう場合には税額が加算されます。
・税額の2割加算(1親等血族(世襲相続人を含む)配偶者以外の人に適用されます)

【控除項目】
・贈与税額控除
・配偶者の税額軽減
・未成年者控除
・障害者控除
・相次相続控除
・外国税額控除

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