未上場のC社の創業社長が他界。会社は遺された子のA氏とB氏のうち、A氏が継ぐことに。
生前、創業社長が株の大半を持っていましたが、一部は名義だけを先代社長に貸していた、いわゆる「名義株」の状態でB氏の配偶者にもわたっていました。
ほどなくしてB氏夫婦は離婚することとなり、この名義株と財産分与について、B氏より相談を受けた当事務所の弁護士が解決した事例をご紹介します。
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ご相談までの経緯・背景
未上場のC社の創業社長が亡くなり、遺されたお子さんのA氏とB氏のうちA氏が会社を継ぐことになりました。
生前、創業社長が株の大半を持っていたのですが、一部はB氏の配偶者にもわたっていました。
しかし、合意書も契約書も作成しておらず、譲渡契約、贈与契約を結んでいるわけでもありません。実質的には、名義だけを先代社長に貸していた、いわゆる「名義株」の状態でした。
折悪しく、創業社長が亡くなった直後、B氏夫婦は離婚することになりました。
その際、B氏の配偶者はこの「名義株」を、評価額の半分の数千万円で買い取れと要求してきました。
また、婚姻期間中にできた資産の半分を渡すようにとも要求してきており、困ったB氏が相談にお見えになりました。
解決までの流れ
まず、創業社長の相続に際して、国税庁とのやりとりで、B氏名義の株が「名義株」であり、実質的には創業社長の株であることが確認されていました。
B氏の配偶者は、なお「自分の株である」と主張していましたが、法的な解釈を伝えて説得。
また、財産分与に関しては、B氏夫婦でおよそ2億円程度の資産がありました。
これをそのまま半分ずつ分けるとするならば、双方1億円。ここから、いかにB氏側の資産を維持できるかが課題となりました。
分ける対象となる資産は、夫婦で頑張って稼いだもの。
結婚前に持っていた特有財産などは対象になりません。
そこで、膨大な資料を集めて預金通帳の現金の流れや不動産の売買など、資産の動きを一つ一つ調べ上げ、「これくらいあなた方夫婦の貢献ではない資金が入っているはずだ」等、調査を進めていきました。
その結果、本来であれば1億円ずつ分割することになりえた財産分与も、相手方に渡す金額は2000万円に収まり、無事、解決しました。
結果・解決ポイント
名義株は、事業承継の場面でよく問題が顕在化します。
親族で企業を経営している場合などでよく見られるのですが、株のやり取りをなあなあで行ってしまっている場合、早めに処理しておかないと、後々大問題へと発展する可能性があります。
また、多くの資産を保有する経営者や経営者に準ずる方々が離婚する場合、財産分与の規模も大きくなります。
膨大な量の株が絡んでいたりする場合、一般のサラリーマンとは異なり、経営している企業に直接多大な影響が及ぶ可能性もありますので、慎重な判断が求められます。
当事者同士での解決は非常に難しく、感情的にもスムーズな解決を目指すのは困難ですので、専門家である弁護士にご相談されることをおすすめします。